めまいの原因はむちうち?症状の種類や後遺障害等級認定についても解説
事故後に現れためまいは、むちうちが原因なのでしょうか? この記事では、めまいを引き起こすむちうちの種類や、むちうち以外のめまいの原因などについて解説します。 また、めまいが後遺症として残った場合の対処方法についても紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
「事故後のめまいがつらい」
「めまいとむちうちは関係あるの?」
「めまいが続くときはどうしたらいいの?」
交通事故の後にめまいが現れた場合、原因がわからない方も多いでしょう。
この記事では、むちうちや、それ以外のめまいの原因、めまいがあるときの通院先などを解説します。
また、むちうちによるめまいが起きた場合に請求できる賠償金や、後遺症が残った場合に申請する後遺障害等級認定についても解説しています。
この記事を読むことで、めまいとむちうちの関係性、めまいが起きたときの対処方法を理解することができるでしょう。
事故後のめまいで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
むちうちでめまいが起こるのはなぜ?
交通事故で首に大きな衝撃を受けることで、むちうち(頚椎捻挫)になることがあります。この場合、首周りの筋肉や、関節、神経も損傷していることも考えられます。
突然、事故の衝撃を受けることで、首に強い負荷がかかり、場合によっては、バランス(平衡)感覚を司る「前庭神経」を損傷してしまうことがあります。
前庭神経とは、平衡感覚を司る神経です。この神経を損傷してしまうと、めまいなどの症状を引き起こすでしょう。損傷の程度がより一層重度な場合、自律神経の乱れや、吐き気を催すこともあります。
このように、同じむちうちであっても、事故の程度や被害者の年齢などによって、現れる症状が異なるところに注意しましょう。
めまいの症状は主に2種類ある
めまいには、主に2つの種類があり、それぞれ症状が異なります。
1つ目は、「末梢性障害」による定型性めまいです。視界がぐるぐる回っているように感じたり、斜めに傾いているような感覚になる点が特徴です。症状は比較的軽度ですが、長期間に渡って症状が続いてしまうことが多いです。
2つ目は、「中枢性障害」による非定型性めまいです。めまいの症状が強く、耳鳴りや難聴などの重度な症状を伴うことがあります。また、視界が暗く感じたり、浮遊感があり、身体の安定を保つことが難しいという特徴があります。
むちうちでめまいを発症させる症状
むちうちには、主に5つの種類があります。この内、めまいを発症させる可能性のあるむちうちの種類について、2種類を解説していきます。
むちうちによるめまいでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
バレー・リュー症候群
むちうちによるめまいがある場合は、バレー・ルー症候群の可能性が考えられます。
この症状は、自律神経の損傷が原因と考えられており、めまいの他にも、耳鳴りや聴力の低下などの症状が現れることが特徴的です。
脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症も、むちうちの症状の1つとされており、事故で強い衝撃を受けた時に、脳髄液が漏れてしまうことが原因といわれています。
よくみられる症状は、めまいの他に、首の痛みや頭痛などの典型的なものや、記憶力の低下、倦怠感などがあり、睡眠障害や免疫の異常なども現れる可能性があります。
むちうち以外にめまいを引き起こす原因
めまいの原因は、むちうちだけではありません。
ここでは、むちうちの他にも考えられるめまいの原因を解説します。
軽度外傷性脳損傷(MTBI)
交通事故で強い衝撃を受けた時に、脳の損傷が原因で起こります。めまいや耳鳴り、頭痛などが主な症状です。
CTやMRIなどの画像検査では、症状を識別することができないこともあるため、PETやSPECT検査といったさまざまな検査を受けて、状態をよく検査してもらう必要があるでしょう。
出典・参照:軽度外傷性脳損傷(MTBI)|にわ法律事務所
良性発作性頭位めまい症
交通事故の衝撃によって、内耳の一部(卵形嚢と球形嚢)の中にある耳石(カルシウムの粒)が剥がれてしまい、内耳の別の部分に入ったことが原因で発症します。
これにより、短時間の回転性のめまいや、吐き気などの症状が現れることがあります。
外リンパ瘻(ろう)
この症状は、交通事故で受けた衝撃で内耳に大きな圧がかかり、外リンパ液が内耳から中耳へ流出してしまうことが原因とされています。
これにより、めまい、耳鳴り、平衡感覚障害など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
むちうちによるめまいの症状がある場合の通院先
ここでは、むちうちでめまいが現れたときの通院先を解説します。
通院先に悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
病院(整形外科)
むちうちでめまいがある場合、まずは病院の整形外科を受診しましょう。
事故直後に病院を受診していれば、人身事故への切り替えが認められたり、ケガなどの人的損害に関する賠償金の請求ができるようになります。
また、CTやMRIといった精密検査や、投薬、手術などの医療行為は病院でのみ受けることができます。正しい症状や身体の状態を診てもらうためにも、まずは病院を受診してください。
整骨院・接骨院
整骨院や接骨院では、柔道整復師による手や器具を使った施術を受けられます。
マッサージなどを受けられるため、患部の可動域が改善されたり、病院との治療と合わせることで、相乗効果も期待できるでしょう。
ただし、整骨院などへの通院は、最初に病院を受診して、医師に相談してから通院を始めましょう。施術費が支払われないなどのトラブルを防止するためです。
鍼灸院
鍼灸院では、鍼や灸を使ったさまざまな施術を受けることができます。
この施術を受けることで、特に神経症状の緩和が期待できるでしょう。
なお、鍼灸院も、医師に相談してから通院を始めるようにしましょう。
むちうちで請求できる賠償金
交通事故でむちうちになった場合、加害者に損害賠償を請求することができます。
ここでは、加害者に請求できる損害賠償の内容を解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
積極損害
積極損害 | 治療費、通院交通費、付添看護費、入院雑費、器具・装具などの購入費など |
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積極損害とは、交通事故によって、被害者が支払わなければならなくなった費用に対する損害です。
怪我の治療を受けるための手術費、診察費、投薬料などの治療費、通院交通費、付添看護費、入院雑費、器具・装具などの購入費などが交通事故の積極損害とされています。
消極損害
消極損害 | 休業損害、逸失利益(逸失利益・死亡) |
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消極損害とは、交通事故に遭わなければ得られたはずの利益のことです。
消極損害には、休業損害と、逸失利益(後遺障害・死亡)があります。
休業損害は、事故の影響で仕事を休まなければならなくなった場合に生じる減収を補償するためのものです。
また、逸失利益は、後遺障害が残った場合や被害者が死亡した場合に請求することができます。認定された等級や、死亡した被害者の立場によって、金額が大きく変わるところに注意が必要です。
慰謝料
慰謝料は、交通事故で被害を受けたことで受ける精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。
交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。
入通院慰謝料は、交通事故で怪我を負い、病院に入院・通院しなければならなくなったことで受ける精神的苦痛に対して支払われます。入院・通院した期間に応じて金額が算定されるため、完治するまでや、医師に症状固定と診断されるまでは通院を継続することが大切です。
また、後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことで受ける精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。事故の怪我が完治せず、後遺障害等級に認定された場合に請求できます。
最後に、死亡慰謝料は、事故で被害者が亡くなったことで受ける精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。死亡慰謝料には、被害者本人分と遺族分があります。
また、1ヶ月に1回など、通院頻度があまりにも少ない場合にも、治療費支払い対応が打ち切られてしまうでしょう。
損をしないためにも、通院中は特にこれらの点に注意しましょう。
めまいが治らない場合は後遺症になることも
残念ながら、むちうちによるめまいが治らず、後遺症が残ってしまうことがあります。
この場合は、後遺障害等級認定を申請することができます。
後遺障害等級に認定されれば、後遺障害に関する慰謝料や逸失利益を請求することができますので、正しい等級に認定されることが大切です。
ここでは、後遺障害の等級認定手続きについて解説します。
出典・参照:後遺障害等級表|国土交通省
後遺障害等級の認定基準
交通事故によるめまいが後遺症となってしまった場合は、後遺障害の等級認定を申請することができます。
症状の程度によって等級が判断され、等級が小さいほど症状が重く、それに伴って後遺障害慰謝料も高額になります。
めまいで認定される可能性のある等級は、次の通りです。
出典・参照:後遺障害等級表|国土交通省
等級 | 認定基準 |
---|---|
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、 軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、 服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
等級認定を受けるための必要な検査を受ける
後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害診断書の他に、症状の原因を示す所見を提出するようにしましょう。
めまいの原因は、神経などの身体の内部が損傷したことが原因のため、CTやMRIなどの画像検査やその他の必要な検査を受けて、これで得られた所見も提出することが大切です。
また、画像所見や神経学的所見もあわせて提出することで、医学的な根拠を示すこともできます。このように、後遺障害等級認定には、さまざまなハードルがあることを覚えておいてください。
むちうちが原因で起こるめまいについて知っておこう
交通事故後のめまいは、むちうちによるものと、それ以外の原因も考えられる難しい症状です。また、症状が長く続いてしまう場合は、後遺症として残る場合も考えられます。
めまいの症状がみられる場合は、適切な通院先で治療を受けるようにしましょう。正しい治療を受けることが、非常に重要なポイントになります。
本記事を参考にして、医師と相談しながら正しい治療を受けるようにしましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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