むちうちでの入院で請求できる損害賠償や後遺障害等級認定について解説
この記事では、むちうちで入院した場合に請求できる賠償金の種類や後遺障害等級認定の手続きについて解説しています。 この記事を読むことで、安心して治療に専念することができるでしょう。事故でむちうちを負い、お悩みの方は参考にしてみてください。
目次
「むちうちで入院が必要な場合は?」
「むちうちで請求できる損害賠償はどんなものがある?」
「むちうちで入院する際の注意点はある?」
むちうちで入院する場合、このようなたくさんの不安や疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、入院が必要なむちうちや、むちうちで入院した場合に請求できる損害賠償の種類について解説します。
この記事を読むことで、入院する必要があるむちうちになってしまっても、対処法を知ることができるでしょう。また、むちうちの治療費が打ち切られそうになった時の情報も状況別に知っておくと役立ちます。
むちうちで治療中の方や入院予定の方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
むちうちで入院が必要な場合とは?
入院が必要になるのは、厳重な安静と特別な治療を集中的に行うため、外来診療だけでは回復できない場合です。しかし、このような条件に該当するむちうちの症状は、滅多にないでしょう。
むちうちの場合、入院の必要性が医学的にみて合理的であり、入院治療の効果が高いと認められるような場合には、入院が認められるでしょう。
具体的には、むちうちによって、ひどい吐き気や嘔吐がある場合には、点滴治療や検査などを入院して受けることが認められるでしょう。
比較的症状が軽く、自宅で過ごしても問題ないような場合には、入院が認められないことがありますので注意が必要です。
むちうちで入院する際の注意点
むちうちで入院する際は、以下の2点に注意しておきましょう。
事前に保険会社に連絡する
むちうちで入院することが決まったら、まずは加害者側の保険会社に連絡することが重要です。
この際に被害者側は、保険会社が納得できるような説明を、準備しておくことが必要です。
保険会社が納得できなければ、入院にかかるさまざまな費用を請求することができなくなってしまうことがありますので、注意しましょう。
長期間の入院は避ける
むちうちで入院する場合、治療に必要かつ妥当な範囲で入院することが大切です。
症状の程度に見合う期間を超えて入院している場合、治療費の支払い対応を打ち切られてしまう可能性がありますので注意してください。
ただし、事故で負った怪我がむちうちのみの場合と、むちうち以外にも複数の怪我を負っている場合とでは、入院期間が異なる場合があります。
そのため、医師の指示に従いながら、入院することが大切です。
もし入院して治療を受けたい場合には、医師に相談するようにしましょう。
むちうちでの入院で請求できる損害賠償
ここからは、むちうちで請求できる損害賠償について紹介します。
積極損害
積極損害は、交通事故に遭ったことで、被害者が支払わなければならなくなった費用に対する補償です。
被害者の怪我を治療するための治療費や、治療を受けるために病院に通うための交通費、入院が必要な場合に生じるさまざまな出費を補償するための入院雑費などが該当します。
また、被害者が子どもであるなど、付添いの必要がある場合には、付添看護費も請求できます。
消極損害
交通事故による怪我の影響で、仕事を休まなければならないこともあるでしょう。この場合は、交通事故の賠償金の内、消極損害に分類される「休業損害」と「逸失利益(後遺障害・死亡)」を請求することができます。
休業損害は、入院や通院をするために仕事を休んだことで生じる減収を補償するためのものです。
逸失利益は、後遺症が残った場合や、被害者が死亡した場合に請求でき、これが原因で生じた減収を補償するために支払われます。
慰謝料
交通事故の慰謝料は、事故に遭ったことで受ける精神的苦痛を、お金で慰謝するためのものです。
むちうちで病院に入院・通院した場合は、加害者側に入通院慰謝料を請求することができます。被害者の方が実際に入院・通院した期間に応じて支払われます。
これ以外にも、後遺障害等級に認定された場合は後遺障害慰謝料を、被害者が事故で亡くなった場合には死亡慰謝料を請求することができます。
出典・参照:交通事故の慰謝料相場はいくら?入通院や後遺障害、死亡事故の場合にもらえる慰謝料の計算方法|交通事故弁護士広場
そのため、自己判断では通院を止めることはせず、医師の指示に従いながら通院をするようにしましょう。
むちうちで請求できる慰謝料の目安
交通事故による入院でもらえる慰謝料の算定基準は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)の3つがあります。
それぞれの算定基準によって、慰謝料金額が大きく異なります。最終的には、相手側の保険会社との示談交渉を経て、慰謝料の金額が確定します。
任意保険基準は、公開されていませんので、ここでは自賠責基準と弁護士基準に言及して紹介します。
出典・参照:交通事故の慰謝料相場はいくら?入通院や後遺障害、死亡事故の場合にもらえる慰謝料の計算方法|交通事故弁護士相談広場
自賠責基準
自賠責基準は、交通事故の被害者を救済するために、最低限の補償を目的としている自賠責保険での算定方法です。そのため、3つの算定基準の中で、金額が最も低額になります。
自賠責基準での慰謝料は、1日あたり4,300円で計算します。
また、実際に治療した日数の2倍、または、総治療期間の日数が少ない方が対象となり、4,300円に対象日数をかけた数字が、入通院慰謝料の金額となります。
たとえば、むちうちで90日通院した場合は、約38万円を請求することができます。
弁護士基準
弁護士基準は、過去に実際の請求が認められた裁判例に基づいてまとめられた基準です。弁護士が慰謝料などを算定するときに使われます。
慰謝料金額の目安としては、3つの算定方法の中で最も高いとされています。
弁護士基準(別表Ⅱ)で計算する場合、被害者が病院へ90日通院したときは、53万円を請求することができます。
なお、別表Ⅰは、骨折などの重傷の場合に使われるものです。むちうちなどの比較的軽傷の場合は別表Ⅱが適用されます。
弁護士基準では、自賠責基準に比べて、より高額な賠償金を請求することができます。
別表Ⅰ | 別表Ⅱ | |
---|---|---|
1ヶ月 | 28万円 | 19万円 |
3ヶ月 | 73万円 | 53万円 |
4ヶ月 | 90万円 | 67万円 |
6ヶ月 | 116万円 | 89万円 |
そのため、適切な賠償金を受け取るためにも、交通事故の示談交渉や賠償金の算出などを、弁護士に相談することをおすすめします。
むちうちが後遺症になったら
むちうちが後遺症になってしまった場合は、後遺障害等級認定を申請できます。
以下で詳細を解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
後遺障害等級認定の申請方法
等級認定の申請方法は、事前認定と被害者請求の2通りがあります。
事前認定は、加害者側の任意保険会社に、手続きを一任する方法です。被害者は、後遺障害診断書を、加害者の任意保険会社に提出するのみのため、手続きの手間がかからないというメリットがあります。
一方で、被害者請求は、被害者自身で申請に必要な書類を揃えて、加害者側の自賠責保険会社に対して、直接手続きを行う方法です。自分で手続きをする手間はかかりますが、等級認定に有利な書類を集められたり、内容を事前に確認できるというメリットがあります。
むちうちで認定される後遺障害等級
むちうちの場合は、14級9号、または、12級13号に認定される可能性があります。
14級9号は、医学的に症状を証明することができなくても、医学的に説明できる場合に認定される可能性があります。具体的には、CTやMRIといった画像検査で証明できなくても、スパーリングテストなどの神経学的検査で陽性の場合が考えられます。
次に、12級13号は、MRIやCTなどの画像検査で症状を医学的に証明できる場合に認定される可能性があります。
なお、後遺障害慰謝料は、認定された等級によって金額が大きく変わります。そのため、納得のいく正しい等級に認定される必要があります。
出典・参照:後遺障害の等級及び限度額 |自動車総合安全情報
むちうちの後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、認定された等級によって金額が大きく異なります。
具体的には、14級9号に認定された場合は、自賠責基準では32万円、弁護士基準では110万円となります。
また、12級13号に認定された場合は、自賠責基準では94万円、弁護士基準では290万円と、196万円もの差がありますので、正しい等級に認定されるようにしましょう。
少しでも認定の可能性を上げるために、必要な検査を受けてこれらの検査結果も後遺障害診断書とあわせて提出するとよいでしょう。
なお、自分で対応することが不安な場合は、被害者に代わって加害者の保険会社と交渉できるので、弁護士に相談することを検討するとよいでしょう。
むちうちで入院した場合に請求できる賠償金を理解しよう
交通事故でむちうちになった場合、入院しても賠償金を請求することは可能です。
ただし、むちうちで入院が必要であることを、加害者の保険会社へきちんと説明する必要があるところに注意が必要です。
むちうちの症状が後遺症として残った場合は、後遺障害等級認定の申請をすることも、忘れずに行いましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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