むちうちになったら整形外科に行くべき?整骨院・接骨院との違いも解説
むちうちになった時、整形外科の他に整骨院や接骨院という選択肢もありますが、その違いをご存じでしょうか。この記事では、整形外科と整骨院などの違い、整形外科での治療法や整骨院などに通院する際の注意点について解説しています。むちうちになった方は、ぜひご確認ください。
目次
むちうちについて
「むちうち」とは、追突や衝突といった交通事故の衝撃が首に加わることにより、頸部が損傷したことで起こる症状のことです。衝撃を受けた際、首がムチのようにしなることからむちうちと呼ばれています。
むちうちには「頸椎捻挫型」・「バレールー症候群型」・「神経根症型」・「脊髄症型」の4種類があり、むちうちと診断された場合の約7割程度は、頸椎捻挫型だと言われています。このような理由から、むちうちというと、首の痛みをイメージする人が多いのです。
また、むちうちには、損傷の度合いによって、軽度のものから重度のものまであります。症状の程度によって、完治するまでの期間が異なります。
出典・参照:むちうちでお困りの方へ|福間行政書士事務所
むちうちにはどんな症状がある?
むちうちと言えば首の痛みが有名ですが、他にもさまざまな症状が現れることがあります。痛みだけでも、首周りや頭、腕などに痛みが現れることがあるでしょう。
他にも、頭部や首周り、腕や指のしびれや麻痺といった症状があり、首や肩・背中に強い凝りが生じたり、動かしにくくなることもあります。
また、むちうちの症状によっては、めまいや耳鳴り、目のかすみや眼精疲労、倦怠感や吐き気といった症状が現れることもあるでしょう。一見すると、むちうちとは関係のないように見えるこれらの症状も起こる場合があります。
出典・参照:首の痛み(鞭打ち)|東整形外科
むちうちの原因と注意点
むちうちの原因は、交通事故の衝撃により首がムチのようにしなり、筋肉や神経を損傷することです。通常、首はこのような動きはしませんが、事故時には不自然な力がかかり、頸椎や首などを損傷してしまう場合があります。
また、首を損傷することで、さまざまな症状が起こってしまうでしょう。
むちうちでは、患部が炎症になり、痛むことが多いため、痛み止めを服用するとよいでしょう。しかし、痛み止めを服用して痛みが治った、あるいは、むちうちの症状が軽いと勘違いしてしまい、無理をして動かしてしまうことがあるため、注意しましょう。
出典・参照:首の痛み(鞭打ち)|東整形外科
整形外科で行うむちうちの治療法
整形外科に通院した場合、医療機関である整形外科では、レントゲンやMRI、投薬などの医療行為を受けることができます。
ここでは、整形外科で行うむちうちの治療法を解説します。
むちうちでよく行われる治療は、「理学療法」と「薬物療法」に分けられます。理学療法のみで治療する場合もあれば、理学療法と薬物療法を合わせて治療が行われる場合もあります。
各治療法によって、どのような治療が行われるのか、見ていきましょう。
理学療法
「理学療法」は、「物理療法」と「運動療法」に分けられ、症状に適した治療を受けることができます。
物理療法では、熱や電気、または振動といった刺激を患部に加えることでむちうちの症状を改善させる方法で治療が行われます。
運動療法には、ストレッチや筋力トレーニング、リハビリなどが含まれます。むちうちでは、大きな痛みが出ることもありますが、痛むからといって動かさないでいると、かえって動きが悪くなってしまう場合があり、これを防止するために運動療法が行われます。
ブロック注射
「ブロック注射」は薬物療法の1種であり、痛みを感じる部分へ局所麻酔を行います。
ブロック注射を受けることで、むちうちの痛みの軽減や筋肉の緊張をとることができ、症状を緩和させることを狙った治療法でもあります。とくに、むちうちの痛みがひどい場合に行われる可能性が高いでしょう。
ブロック注射の他には、「トリガーポイント注射」が行われる場合もあります。トリガーポイント注射は、患部を押して痛む場所を確認し、2~5か所に麻酔薬を注射する治療法です。
処方箋
処方箋もまた、薬物療法の1種です。整形外科ではむちうちに対して、さまざまな薬の投薬治療を行うことがあります。
むちうちの場合によく処方される薬としては、痛み止めや炎症を抑えることを目的とした鎮痛消炎剤や湿布があります。湿布にもさまざまな種類がありますが、整形外科ではむちうちの状態に合わせて処方されます。
他には、むちうちが原因で手足のしびれや麻痺といった症状がある場合に、神経痛薬が処方されることもあります。
整形外科と整骨院・接骨院との違いは?
むちうちになった際、整形外科の他に整骨院や接骨院へ通う場合がありますが、これらには明確な違いがあります。
もっとも大きな違いは、整形外科が医療機関であるのに対して、整骨院などは医療機関ではないということでしょう。
医療機関である整形外科では、医療行為を受けられ、医師が在籍し、診断書を取得することができます。
一方で、整骨院や接骨院などは医療機関ではないため、医師ではなく、柔道整復師が施術を行います。医療行為を受けることができない他、医師が在籍していないため、診断書を取得することはできません。
整骨院などの施術でもむちうちには効果がある?
医療機関ではない整骨院・接骨院などの施術でも、むちうちの回復には一定の効果があると言われています。
その理由は、むちうちの痛みの緩和や怪我の回復を促してくれる施術を受けることができるためです。
整形外科の治療だけでは、なかなかむちうちが改善しない場合や、整骨院などの施術も受けた方がよいと感じた場合は、整形外科と併用して施術を受けることができます。
整骨院などで行うむちうちの施術法
整形外科の治療のみではなく、整骨院などで施術を受けることができます。
そこでここからは、整骨院や接骨院で行われるむちうちの施術方法を解説します。
整骨院・接骨院では、柔道整復師がさまざまな手技を用いて施術を行うという特徴があります。また、捻挫や脱臼、打撲や骨折といった怪我に対して、整復・固定・後療などの施術を受けることができます。そして、このような施術を受けることにより、自然治癒力が高まる効果が期待できるでしょう。
電気療法
電気療法は、電気による刺激を体に与えることにより、筋肉をほぐして血流をよくし、むちうちを改善させるための施術法です。
もともと人間の体は電気を帯びている、というのは有名でしょう。人間の体は電気刺激に敏感なため、意図的に電気刺激を加えることで、損傷した体の回復を図るために行われます。
電気療法は、整形外科でも取り入れられているため、整形外科で電気療法を受けられる場合もあります。
運動療法
むちうちで痛みがあるときは、安静にして動かないようにすることが望ましいです。しかし、長い間動かさないでいると、関節が拘縮したり、筋肉が細くなって一時的に筋力が低下することがあります。そこで、筋力の低下を防止するために運動療法が行われます。
整骨院・接骨院では、器具や機器を使ったトレーニングだけでなく、柔道整復師による関節可動域の獲得、徒手抵抗運動による筋力強化、徒手による多関節同時運動といったことも行われる特徴があります。
牽引療法
牽引療法は、専用の「牽引療法器」を使い、頭部や首を牽引し、圧迫されている部分を引っ張り、神経を和らげたり、血液の流れをよくしたりすることで、むちうちの症状を改善させる療法です。整骨院・接骨院では、機器を使った牽引だけでなく、徒手による牽引療法も行われます。
むちうちでは、首(頸椎)の牽引がよく行われるでしょう。牽引療法は、10℃~20℃ほど軽く顎を引いた前屈の姿勢で、約8kg~10kgの力で8分~10分程度牽引を行います。これによって、頸椎への負担軽減の効果が期待できます。
整形外科と整骨院などの併用で起きる可能性があるトラブル
むちうちになった際、整形外科への通院と合わせて、整骨院や接骨院などを併用することができます。しかし、整形外科と整骨院などを併用することで、予期せぬトラブルが起こる場合があります。
そこで、整形外科と整骨院などを併用することで起こりえるトラブルを紹介します。
むちうちで、整骨院などの施術を受けたいと考えている方は、下記の項目をチェックしてから通院し、トラブルの発生を未然に防止しましょう。
整骨院などへの通院を自己判断で行った場合
自己判断で整骨院などに通院をした場合、整骨院や接骨院の施術にかかった費用が加害者の保険会社から支払われない可能性があります。
整骨院などへ通院する際には、原則として、医師の確認が必要です。医師の確認があれば、整骨院などで行われる施術も、治療の一環として認められる場合がありますから、施術費も加害者側に請求することができます。
そのため、自己判断で整骨院などへは通院せず、医師の確認を受けてから通院しましょう。
保険会社に併用や転院の報告をしていなかった場合
整形外科と整骨院などを併用する場合や転院をするときに、保険会社に報告しなかった場合、整骨院などの施術にかかった費用が支払われない可能性があります。
また、別の整形外科に転院する場合にも保険会社への連絡が必要です。保険会社に転院の意思を報告し、了承を得てから転院するようにしましょう。
もし、併用や転院の報告をしなかった場合は、施術費が支払われないといったトラブルが発生する可能性がありますので、注意が必要です。
整骨院や接骨院のみに通院している場合
整形外科に通わず、整骨院や接骨院のみに通院していた場合、入通院慰謝料が減額されたり、治療費の支払いが打ち切られる可能性があります。
その理由は、整形外科に通院していない場合、加害者側の任意保険会社に、必要な治療は終了していると判断される可能性があるためです。
これを防止するためには、定期的に整形外科にも通院することがポイントです。そのため、整形外科にも通院し、入通院慰謝料や治療費の支払いでトラブルにならないようにしましょう。
整骨院などへの通院は医師に確認しよう
交通事故にあった際は、痛みや症状がなくてもすぐに整形外科を受診しましょう。後日、むちうちの症状が現れてから通院しても、交通事故との因果関係が認められない可能性があるためです。
また、むちうちの自覚症状を医師に伝え、整骨院などを併用すべきかどうか、相談することも大切です。
そして、むちうちが完治した、あるいは、症状固定をした後の手続きでは、医師が作成する診断書や後遺障害診断書が必要です。必ず整形外科に通い、整骨院などを利用する場合は、医師の確認を受けてから通院すると、後のトラブルになる可能性を抑えられるでしょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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