交通事故で入院したときの慰謝料の相場を解説!他の賠償金についても
交通事故で入院したときの慰謝料の相場を解説します。受け取れる慰謝料の種類や、算定方法ごとにどのくらいの相場になるのかも説明!交通事故で入院したときに保険会社へ請求できる費用や、その他の賠償金についても載せているため、参考にしてください。
目次
交通事故で入院したときに慰謝料はどのくらいもらえる?
交通事故による損傷で入院が必要になったら、まずは適切な治療をして回復することが重要です。そして、しかるべき慰謝料や損害金を請求して、納得できる解決を図りましょう。
本記事では、交通事故の入院で請求できる慰謝料や損害金の種類について、徹底解説します。また、慰謝料の請求方法によって、相場はどのくらいであるかも紹介します。
交通事故で入院したときに請求できる慰謝料
慰謝料とは?
慰謝料は、交通事故に遭ったことで生じた精神的苦痛を、金銭に変えたものです。人身事故に遭った場合に、相手側に請求することができます。
物損事故の場合は、相手側の保険会社が、損傷した車の修理費用などを補償します。それで、物的損害が回復すれば、精神的苦痛は解消されると捉えるのです。そのため、物損事故の場合、慰謝料は支払われないのが、一般的です。
交通事故によってケガをして人身的な被害を受けた場合、請求できる可能性のある慰謝料は、「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」「後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)」「死亡慰謝料」の3種類あります。
出典: www.adire.jp
入通院慰謝料
交通事故による怪我の治療で、入院や通院をしたことによって生じた、精神的苦痛に対する慰謝料のことです。入通院が必要なほど受傷したということから、傷害慰謝料とも呼ばれています。
相手側の保険会社と示談交渉をして金額が確定したら、入通院慰謝料を請求します。示談交渉が成立すると示談書に署名と押印をして、約2週間後に指定の銀行へ振り込まれる流れです。
後遺障害慰謝料
交通事故による怪我の症状が完治せずに、後遺症として残ることがあります。その場合は、後遺障害として慰謝料を請求することが可能です。ただし、請求するには後遺障害等級に認定される必要があります。
病院で医師に症状固定と診断を受けたら、後遺障害診断書を作成してもらいましょう。診断書を入手したら、後遺障害等級認定の申請手続きを、忘れないようにしてください。
交通事故の入院でもらえる慰謝料の相場
慰謝料の算定基準
交通事故で入院したときにもらえる慰謝料の相場は、算定基準によって、どのくらいになるかが決まります。算定基準は、自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準の3通りです。慰謝料の相場は、自賠責基準が最も低く、弁護士基準が最も高くなります。
したがって、入院でもらえる慰謝料の相場は、被害者の症状や年齢、立場などで、変わるものではありません。被害者がどのようにして慰謝料を請求したのかが、大きく影響します。
目安①自賠責基準
自賠責保険の入通院慰謝料は、1日あたり4,300円と定められています。4,300円に入通院日数をかけた数字が、慰謝料の相場です。
ただし、自賠責保険の賠償金は、入通院慰謝料以外の休業損害なども含めて、上限が120万円と決まっています。それ以上の金額は支払われないため、注意しましょう。詳しい計算方法は、次の通りです。1と2の計算方法で、金額の少ない方が慰謝料額とされます。
- 【入院日数+(実通院日数×2)】×4,300円
- 治療日数×4,300円
目安②任意保険基準
任意保険基準は、加害者側の任意保険会社が、示談交渉の際に掲示してくる慰謝料額の算定基準です。
各任意保険会社によって、基準が異なり非公開のため、慰謝料の相場がどのくらいかは定かでありません。おおまかにいえば、自賠責基準よりは高額で、弁護士基準よりは低額です。
任意保険基準は、本来被害者がもらうべき慰謝料額よりも、非常に低い金額で掲示してくることが多いでしょう。そのため、安易に受け入れないように、注意してください。示談交渉によって、実際の慰謝料の金額は決定されます。
目安③弁護士基準
弁護士基準による算定方法は、算定表を使用して慰謝料額の相場を計算します。骨折や内臓損傷など重傷のケースと、むちうちなど軽傷のケースの算定表が2種類あるため、注意してください。弁護士基準による入院慰謝料の相場は、次の通りです。
軽傷の場合 | 重傷の場合 | |
---|---|---|
1ヶ月 | 19万円 | 28万円 |
3ヶ月 | 53万円 | 73万円 |
4ヶ月 | 67万円 | 90万円 |
6ヶ月 | 89万円 | 116万円 |
交通事故の入院で慰謝料以外に請求できる費用
費用①入院治療費
入院治療費の主な内容は、検査料や診察料、投薬料、手術料などです。必要かつ相当な範囲内でかかった費用に対して、補償されます。費用を請求する際は、病院の診断書や診療報酬明細書などが、必要になる可能性が高いです。
また、治療として医学的に必要性のない場合や、過剰診療、高額診療においては、必要かつ相当な範囲内として認められません。そのため、賠償金はもらえないでしょう。
入院治療費の請求は、事故日から3年以内に申請するようにしてください。なぜなら、損害賠償請求権が時効になるためです。
費用②入院雑費
入院雑費は、1日あたり約1,500円を基準として、請求することが可能です。入院をするために必要な寝具や衣類などの日用品、栄養補給などの費用が賠償されます。
なお、損害が少額であり立証することも困難な場合は、基準額の約1,500円とされます。そして、入院期間に応じて、どのくらいであるかを算定することが多いです。
費用③交通費
被害者が入院や退院をする際に必要な交通費は、公共交通機関の料金を基準とした損害金をもらえます。ただし、タクシーを利用する場合は、視力を失う、盲導犬を連れているなど、相当の理由が必要です。
また、自家用車を使った場合は、1kmあたり約15円で計算されます。ちなみに、近親者が付添や見舞いをするための交通費は、原則として損害賠償の対象にはなりません。
費用④個室・特別室料
医師による指示があった場合には、特別室や個室にかかった費用も請求可能です。他にも、怪我の症状が重篤であったり、特別室以外に空きがなかったという理由でも、賠償が認められるでしょう。
例えば、高次脳機能障害の影響で脱抑制症状が見られ、個室の必要があったケースなどです。また、被害者が話すことができない状態で、文字のやりとりが治療で必要なケースなども該当します。
費用⑤付添看護費
付添看護費とは入院や通院をするにあたり、被害者の家族や職業付添人が付き添うことで、必要なった費用です。ただし、補償される費用は、医師の指示があったり、必要性が認められる場合に限ります。
また、近親者の付き添いの場合は、1日あたり約6,500円が認められています。被害者の症状によっても、どのくらいの費用が補償されるのか異なるでしょう。通常、職業付添人の場合は、実費全額の賠償金が支払われます。
費用⑥器具・装具などの購入費
器具や装具などは、必要かつ相当な範囲内で補償が認められます。また、回復までの相当期間で、器具や装具の交換が必要な場合も、将来費用として請求が認められる可能性も高いです。器具や装具の主な種類は、次の通りです。
- 義歯・義眼・義手・義足
- 眼鏡・コンタクトレンズ
- 車いす・歩行訓練器
- 電動ベッド・介護支援ベッド
費用⑦休業損害
休業損害とは、交通事故による怪我によって休業を余儀なくされ、本来得られるはずの収入を損失したことに対しての補償です。
労働者はもちろんのこと、専業主婦なども条件を満たせば、休業損害が認められます。また、交通事故に遭っても、被害者に損失がなければ休業損害は認められません。
費用⑧逸失利益
逸失利益は、交通事故で受傷したことにより、将来得られるはずの収益を失ってしまったことに対する損害です。得られなくなった収益分が、支払われます。基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、中間利息などを参考にして、損害金の相場が算定されます。
費用⑨その他
交通事故で受傷したことにより、さまざまな損害を被ることになります。交通事故での受傷が原因で転居を余儀なくされた場合は、因果関係が認められる範囲で転居費用も請求可能です。
上記の他にも、必要かつ相当な範囲内で請求できる損害金が多くあります。主な内容は以下の通りです。
- 【学生・生徒の学習費】授業料・通学定期代・保育料など
- 【葬儀関係費用】葬儀費用・墓石建立費など
- 【文書料】診断書料・照会費用・刑事記録謄写代など
交通事故で入院したら慰謝料を請求しよう
交通事故で入院をしたときに請求できる慰謝料は、大きく分けて入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。また、慰謝料の請求方法によって、どのくらいの金額で受け取れるかが異なります。
可能であれば、弁護士基準で算定すると、最も高額になる可能性が高いです。慰謝料以外にも請求できる費用があるため、本記事を参考に確認してみてください。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
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