交通事故で股関節に痛みが出る原因は?通院先や後遺障害についても
交通事故で股関節に痛みが出る原因を解説します。機能障害など股関節を損傷することで引き起こす症状や、通院先、治療内容も詳しく説明!交通事故で股関節の痛みに関する後遺症が残った場合の、等級認定や慰謝料の相場も紹介するため、参考にしてください。
目次
交通事故で股関節に痛みが出る原因を解説
交通事故で身体に強い衝撃を受けると、さまざまな箇所に痛みを生じます。腰や膝などの下部を打撲すると、股関節に痛みが出る可能性が高いです。
本記事では、股関節の痛みの原因や症状、通院先などを解説します。また、股関節の痛みによる後遺障害等級や慰謝料についても、まとめています。
交通事故による股関節の痛みの原因
原因①骨折や脱臼
交通事故で強い衝撃を受けて、打撲をしたり転倒したりすると、骨折をすることがあります。足の付け根部分の骨折は、立つことや歩行することが、困難になるケースが多いです。
また、同様に交通事故による衝撃で膝を強打すると、股関節にもダメージを受けます。場合によっては、大腿骨が股関節から脱臼する可能性もあるでしょう。脱臼すると、痛みや腫れを伴い、足が内側に曲がる症状が出ることもあります。
原因②変形性股関節症
変形性股関節症の症状は、股関節の痛みや機能障害、筋肉に力が入らないなどです。股関節の可動域に制限が生じるため、日常生活に支障が出るケースもあります。
また、長時間立っていたり、歩いたりすることも困難です。症状が悪化すると、じっとしていても痛みを感じて、睡眠の障害になることもあります。
原因③脊椎変性すべり症
脊椎変性すべり症は、交通事故による衝撃で、椎間板にずれが生じることが原因で発症します。下半身の痛みやしびれなどが、主な症状です。
少しの距離であれば歩けても、長距離になると太ももやおしりに痛みを感じて、歩けなくなることもあります。そして、しばらく休むとまた歩けるといった人が多いです。脊椎変性すべり症の疾患から、坐骨神経痛を引き起こすこともあります。
原因④腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、交通事故による強い衝撃で椎間板が変形し、脊髄を通る神経を圧迫することで発症します。
股関節や腰、太腿から下腿にかけての痛み、足指の痛みやしびれなどが、主な症状です。腰椎椎間板ヘルニアは、圧迫された神経がどこを支配しているかによって、痛みの部位が異なります。
椎間板に負担がかかり、椎間板内部にある髄核という組織が外に飛び出して神経にぶつかった状態が椎間板ヘルニアです。
原因⑤坐骨神経痛
坐骨神経痛は、交通事故による衝撃で、腰部を打撲したことが原因で起こる疾患です。臀部から太ももの裏側あたりに、痛みを伴います。痛み方には個人差があり、しびれるような痛みやズキズキした痛み、熱を持ったような感覚などです。
また、坐骨神経痛は正式な傷病名ではありません。さまざまな理由から、坐骨神経を圧迫することで起こる、痛みやしびれなどの症状を総称して呼びます。
股関節の痛みがあるときの通院先と治療法
通院先①整形外科
整形外科では、医師のみが認められている、医療行為に該当する治療が受けられます。例えば、薬の投与や手術、レントゲンやMRIなどの画像検査です。
また、交通事故で賠償金を請求するときに必要になる、診断書の作成も依頼できます。ちなみに、整骨院や接骨院では、作成してもらえません。そのため、交通事故に遭ったら、まずは整形外科へ通院をしましょう。
通院先②整骨院・接骨院
整骨院などは休日や夜まで営業しているところが多く、通院をしやすいというメリットがあります。柔道整復師によって治療が行われ、内容は運動療法や手技を用いた物理療法などです。
整骨院や接骨院では、痛みのある患部にマッサージなどで、直接アプローチを行えます。整形外科と併用して通院すると、さらに回復の見込みが早くなることもあるでしょう。
主な治療法
股関節の治療法は、痛みの原因によってさまざまです。痛みが軽めであれば、鎮痛薬の投与や筋力を鍛えるためのストレッチをします。
我慢できないほどの痛みや、長引いて状況が良くならないときは、病院で手術を行うこともあります。医師に正確に痛みの症状を伝えて、適正な治療を受けましょう。
股関節の症状別後遺障害等級と慰謝料
症状①動揺関節
股関節の動揺関節における後遺障害等級は、症状の程度によって3通りの可能性があります。 硬性補装具を常に必要とする場合は、8級準用です。また、 硬性補装具をときどき必要とする場合は、10級準用になります。硬性補装具を労働などの際に必要としたり、 習慣性脱臼に該当すれば、12級準用になる可能性が高いです。
症状②機能障害(可動域制限)
股関節による機能障害の後遺障害等級は、関節の用を廃した場合に8級となります。また、股関節の機能に著しい障害を残すものは10級、股関節の機能に障害を残すものは12級です。関節による機能障害は、可動域の制限がどのくらいかによっても、評価されます。
症状③変形障害
股関節の隙間が狭くなったり、軟骨がすり減ったりすることを、変形性股関節症といいます。障害等級は、硬性補整具を常に必要とする場合に7級と認定されます。
また、常に硬性補整具を必要としない場合は8級です。骨端部の偽関節は、長管骨に変形を残すものとして12級になります。
症状④神経障害
股関節の骨折や脱臼が原因で、痛みやしびれなどの神経症状が残ってしまうことを、神経障害といいます。後遺障害として最も多く見られるのが、局部の頑固な神経症状を残した12級です。局部に神経症状が残った場合は14級に認定されます。
慰謝料の目安
医師に症状固定と診断された場合は、後遺障害等級認定の申請を行うことが可能です。認定されるためには、症状固定の診断を受けるまで、しっかりと通院をすることが重要です。
その際は、治療内容や症状過程などの記録を、残しておきましょう。後遺症の症状に応じた、等級別の慰謝料相場は以下の通りになります。
後遺障害の内容 | 自賠責基準(単位:万円) | 弁護士基準(単位:万円) |
---|---|---|
動揺関節 | 8級(324)10級(187)12級(93) | 8級(830)10級(550)12級(290) |
機能障害(可動域制限) | 8級(324)10級(187)12級(93) | 8級(830)10級(550)12級(290) |
変形障害 | 7級(409)8級(324)12級(93) | 7級(1000)8級(830)12級(290) |
神経障害 | 12級(93)14級(32) | 12級(290)14級(110) |
交通事故で股関節に痛みが出たらすぐに受診しよう
交通事故による衝撃で、股関節の痛みを生じることがあります。また、股関節が痛む原因によって、影響を受ける箇所もさまざまです。
そのうち治るだろうと我慢をせずに、速やかに病院で受診をしてください。また、後遺症が残ったときに、慰謝料を請求するためにも、医師に診断書を作成してもらいましょう。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
この記事へコメントしてみる