交通事故で腰椎捻挫になったときの対処法とは?慰謝料の相場や注意点も
交通事故で腰椎捻挫となってしまったとき、どう対処すればいいかご存じですか?この記事では、治療の進め方や後遺障害が残った場合、慰謝料の相場などを解説しています。交通事故でけがをしたあとどう対処すればいいか知りたい人はぜひチェックしてみてください。
目次
「交通事故に遭ってけがをしたらどう対処すればいいんだろう」
「被害者としての治療費や慰謝料の請求はどうすればいいの?」
交通事故では大きいけがから小さいけがまで起こりえるものです。交通事故に遭って腰椎捻挫と診断されたら、治療や慰謝料などの手続きが心配になります。後遺症が残ることもあり、不安に思う人が多いでしょう。
この記事では、交通事故によって腰椎捻挫になってしまったときの対処法をお伝えします。診察を受けてよくならなかった場合や後遺症が残ってしまった場合にそうすればいいかもあわせて紹介します。慰謝料の相場や慰謝料請求の注意点も解説していきます。
記事を読んで正しい対処法がわかれば、適切に治療費や慰謝料などの請求ができるようになります。慰謝料にまつわる金銭トラブルに巻き込まれる恐れも少なくなるでしょう。
交通事故で腰椎捻挫となったり、交通事故の後遺症で困っている人はぜひチェックしてみてください。
交通事故で腰椎捻挫になった場合の対処法とは?
腰椎捻挫(ようついねんざ)とは、交通事故やスポーツなどが原因で起こる症状の一つです。もしも腰椎捻挫になってしまったときはどう対処すればよいのでしょうか?
はじめに、腰椎捻挫の原因や症状について説明していきます。適切な処置を受けるためにも、まずは自分でどんな症状なのかがわかるようにしましょう。
腰椎捻挫の原因と症状
腰椎捻挫の主な原因は、交通事故やスポーツ、日常生活での負荷が考えられます。
腰に負担がかかり、筋肉や筋膜、靭帯などに損傷が起こって腰部に痛みが出る疾患です。腰部にある5個の骨を腰椎といい、その周りの筋肉や靭帯などに急に負荷がかかることで症状が引き起こされます。
腰椎捻挫の症状
腰椎捻挫は身体を動かしたときの腰痛や、腰の両脇の痛みなどが主な症状です。
咳をしたときなどに腰に痛みがひびくこともあります。交通事故で腰椎捻挫となってしまった場合は、筋肉の痛みが後から出る場合や数時間後、数日後に出るケースもあります。数日間は注意しておく必要があるでしょう。
▼詳しくはこちらにも記載してあります。
腰椎捻挫の治療期間
腰椎捻挫の場合、治療期間はおおよそ3~6ヶ月といわれています。ですが、安静にしていて数日から数週間で自然に治る場合もあれば、完治しない場合もあり、症状や個人差で治療期間は様々です。
また、腰椎捻挫の治療を行ったとしても症状が再発する可能性もあるのです。自宅でのセルフケアだけでも続けた方がいいこともあります。
腰椎捻挫を改善するには、腰部の筋力を落とさず、柔らかくすることが大切です。治療のみならず、病院などで教えてもらったセルフケアすることも大切でしょう。
出典:腰椎捻挫で認められる等級と認定のポイント | 弁護士法人コールグリーン浜松オフィス
参照:https://jikoshizuoka-greenlaw.com/yotsuinenza-koishogai/#:~:text=%E8%85%B0%E6%A4%8E%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%9C%9F%E9%96%93,%E7%82%B9%E6%B3%A8%E6%84%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82
交通事故で腰椎捻挫になった場合の対処法
交通事故に遭ったときはどうしたらいいかわからず焦ってしまうものです。適切な処置がわかっていても、急な出来事で対応できないこともよくあります。
ですが、対処法を知らないのと知っているのでは、できることが増えるのも事実です。ここからは、もしも交通事故に遭って腰椎捻挫となってしまったときの受診から治療の流れを紹介していきます。
対処法①整形外科を受診して症状を正確に伝える
交通事故に遭ったとき、その瞬間は痛みがなくても後から急激な腰の痛みが出てくることも少なくありません。
交通事故から期間を空けて受診した場合、事故と腰椎捻挫の症状との関連性が疑われる可能性があります。交通事故に遭ったら症状が軽くてもまずは受診することをおすすめします。
交通事故の後には整形外科で診察を受けましょう。整形外科ではレントゲンなどの精密検査や痛み止めの処方、診断書の作成などをしてもらえます。
身体の痛みがあるときに接骨院に行く人もいます。接骨院では薬を使わない手技療法での施術がメインです。薬をできるだけ使いたくない人にはおすすめです。
しかし、精密検査や診断書の作成はしてもらえないため、最初に受診するなら整形外科で診てもらうのがいいでしょう。
対処法②必要な検査を受ける
整形外科では様々な精密検査をしてもらえます。腰椎捻挫の症状や交通事故の程度に適した検査内容・治療内容を検討してもらいましょう。
受けられる検査は主に、レントゲンやMRI、CTなどの画像検査です。それによって医師が診断し、病名が決まります。
検査を受けて病名が決まれば、適切な治療に入れます。接骨院の先生はこのような精密検査や診断はできません。検査や診断ができるのは病院の医師ですので、まずは整形外科で検査を受け、診断してもらいましょう。
出典:CTとMRIとレントゲンとエコーは何が違いますか? | すがぬま整形外科クリニック
参照:https://suganuma2017.com/posts/faq8.html
対処法③治療を受ける
検査結果や診断内容にあわせて治療が進んでいきます。軽度の腰椎捻挫であれば、無理のない体勢で安静にすれば治る場合もあります。
整形外科では痛み止めや湿布薬を処方されますが、薬で完治させるのはむずかしい場合もあります。薬はあくまで痛みを和らげるものなので、投薬と併せてリハビリやストレッチすることが大切でしょう。
対処法④リハビリを行う
安静にしたり、痛み止めでもよくならないときにはリハビリが必要です。リハビリでは主に、物理療法・理学療法を行います。
物理療法では電気や超音波を使ったり、患部を温めたりして痛みを改善していきます。理学療法では電気刺激やマッサージすることで運動機能の向上や回復を図ります。
痛みがひどい場合は、投薬で痛みが軽くなったら歩く練習や体操療法を始めていくという流れをとります。無理にいままで通り動こうとすると、腰椎捻挫の症状が再発して慢性腰痛になる恐れもあります。無理せず、医師や理学療法士の指示を守ってリハビリを行いましょう。
出典:理学療法とは|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会
参照:https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapy/
出典:腰部捻挫(ようぶねんざ)|片山整形外科記念病院
参照:http://www.katayama-seikei.jp/search_name/nm006.php
対処法⑤必要に応じて接骨院へ通う
はじめに整形外科で腰椎捻挫の検査や診断してもらったあと、必要があれば接骨院に通いましょう。整形外科での治療とは違った方向からのアプローチとなります。
病院とは違い、医療機関ではなく診断書が出せないため、最初から選ぶのはおすすめしません。
対処法⑥痛みが強い場合は安静にする
交通事故のときに痛みがなくても、数日後に強い痛みが起こることもあります。あまりにも痛みが強い場合は無理せず、安静にして過ごしましょう。寝方によっては寝ていても痛むこともあります。クッションを使ったりマットレスを変えたりして工夫してみましょう。
リハビリのために無理に身体を動かすと、症状が悪化したり、慢性腰痛として腰痛が残ってしまう恐れがあります。
交通事故による腰椎捻挫が良くならないときはどうする?
病院で診てもらって治療を受けても、症状がよくならなかったり再発してしまう人もいます。痛みを抱えながら生活するのは不安ですし、常にストレスがかかってしまうでしょう。医師からは「異常がない」と言われていても、痛みを感じ続けている人も少なくありません。
ここからは、腰椎捻挫がよくならなかったときの対処方法をお伝えします。まったく改善しなかったり、診察内容に気になるところがある人はチェックしてみてください。
転院を検討する
交通事故直後に行った病院だと通うのが大変だったり、症状が改善せず診察してくれる医師ともあわない気がしたりと、転院を考える人も少なくありません。
基本的に転院は、治療を受けている本人の自由意志で決定することができます。ですので、転院すること自体は自由に決められます。ですが、交通事故が原因のけがの場合、事故の加害者や保険会社とトラブルになる恐れもあるのが実情です。
転院するときは、もともとかかっていた病院で紹介状をもらっておきましょう。医師が了承していれば保険での治療費を継続してもらえる可能性が上がります。保険会社にも、転院したことを伝えましょう。伝えなかった場合、治療費をもらうことができなくなるため、注意が必要です。
後遺障害等級認定の申請をする
治療を続けている中で、ある一定の状態まで改善してから治療の効果が得られなくなることがあります。これを症状固定といい、後遺症としてなにかしらの症状が残ってしまうことを指します。
後遺障害等級認定を受けられれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を獲得することができます。逸失利益とは、交通事故がなければ将来得られたであろう収入のことです。
出典:後遺障害を負った時の逸失利益の考え方と相場・計算方法(まとめ) | エクレシア法律事務所
参照:https://ecclesia-law.com/isshitsurieki/kouishougai-keisan#:~:text=%E9%80%B8%E5%A4%B1%E5%88%A9%E7%9B%8A%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E4%BA%8B%E6%95%85,%E3%81%AE%E6%90%8D%E5%A4%B1%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%98%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
腰椎捻挫の治療費の打ち切りを打診されたらどうする?
治療を長く続けていると、治療費の打ち切りを持ちかけられる場合があります。治療費が打ち切られてしまえば、交通事故で負った腰椎捻挫の疾患を自費で治療していかなければならなくなります。
もしも腰椎捻挫の治療費が打ち切られた場合はどうすればいいかを説明していきます。
保険会社が治療費の打ち切りを打診する理由
交通事故でけがを負った被害者に対して、腰椎捻挫が完治するまでの治療費は基本的に保険会社が病院へ支払います。治療して完治すればいいのですが、後遺症が残ってしまう場合もあります。症状固定といって、治療を続けても腰椎捻挫の症状の改善が見込めない状態になることもあるのです。
保険会社は、完治した場合や症状固定となった場合に打ち切りを打診します。また、1か月以上通院しないと完治したものとみなされ、治療が打ち切られるというケースもあります。
腰椎捻挫の場合、治療期間はおよそ3~6ヶ月といわれています。あまりにも治療期間が長い場合も治療費の打ち切りを打診されることがあるため、医師と相談しながら治療を進めましょう。
出典:交通事故で治療中、治療の打ち切りを受けた方へのサポート|交通事故に強い福岡の弁護士|デイライト法律事務所
参照:https://www.daylight-law.jp/accident/support/uchikiri/#:~:text=%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E6%89%93%E3%81%A1%E5%88%87%E3%82%8A%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%81%AE%E6%89%93%E3%81%A1%E5%88%87%E3%82%8A%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
治療費を打ち切られやすい事例
一定期間通院しても症状が改善せず、症状固定となった場合に腰椎捻挫の治療費は打ち切られます。通院期間が長くなってくると、保険会社から症状固定という理由で治療費の打ち切りを持ちかけられる可能性が高くなります。
治療中だとしても、適切に通院していないと治療費の打ち切りにつながることもあるため、腰椎捻挫の治療を続けたいのであればきちんと通院を続けましょう。
治療費を打ち切られないための対処法
治療費を打ち切られないためには、まだ治療が続いていることを証明することが必要です。整形外科への通院が1か月以上空いてしまうと、腰椎捻挫が完治したものと思われかねません。腰椎捻挫の症状が残っていたとしても治療費を打ち切られてしまう可能性があるため、注意しましょう。
治療があまりにも長引いてしまう場合も、治療費の打ち切りを打診されることがあります。治療が長引いたとしてもまだ症状があるときは、保険会社や医師と相談したり、後遺障害等級認定を申請するなどして対処するのがいいでしょう。
交通事故による腰椎捻挫が後遺症となった場合の手続き
交通事故での腰椎捻挫が後遺症となってしまったときはどう対処するといいのでしょうか。交通事故によって後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受けることができるケースもあります。
後遺障害等級認定とはなにか、必要な手続きもあわせて紹介していきます。
後遺障害等級認定とは?
「後遺障害」とは、後遺障害等級の認定を受けた後遺症のことを指します。具体的には、症状の原因が交通事故であることが医学的に証明されるとともに、労働能力の低下や喪失が認められ、その状態が自賠責保険の等級に該当するものです。
そのため、交通事故の後に腰椎捻挫の後遺症が残ったとき、必ずしも後遺障害に認定されるわけではありません。
出典:後遺障害等級表|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/payment_pop.html
手続き①医師に後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害等級認定は、いくつかの書類を保険会社に提出し、審査を受けることで行われます。提出が必要な書類の中に、後遺障害診断書と呼ばれるものが含まれます。
後遺障害診断書は、医師から作成してもらいます。自分が感じている腰椎捻挫の症状をきちんと医師に伝えて、適切に記入してもらえるようにしましょう。
出典:後遺障害診断書とは?書式、費用、注意点などを弁護士が解説 - 弁護士法人ブライト
参照:https://law-bright.com/kotuziko/knowledge/koisyogaisindansyo/
手続き②事前認定か被害者請求で申請を行う
後遺障害認定の申請手続きは書類審査で行われ、手続き方法は2種類です。医師から症状固定の診断を受けたら、必要書類を加害者側の任意保険会社または自賠責保険会社に提出しましょう。
書類の提出先によって、手続き方法がわかれます。任意保険会社に提出する手続きは事前認定といい、後遺障害診断書を提出するだけで審査してもらえます。手続きの手間がかからないのが大きなメリットでしょう。
自賠責保険に提出する手続きは被害者請求といいます。被害者請求では後遺障害診断書のほかにもいくつか書類を提出しなければなりません。
そのため事前認定よりも手間がかかってしまいますが、追加資料も提出できるため、後遺症の程度が審査機関に伝わりやすいです。よって、後遺障害認定される可能性を上げられます。
出典:後遺障害診断書とは?書式、費用、注意点などを弁護士が解説 - 弁護士法人ブライト
参照:https://law-bright.com/kotuziko/knowledge/koisyogaisindansyo/
手続き③結果通知を受け取る
提出した書類は、加害者側の保険会社から損害保険料率算出機構に提出されます。この損害保険料率算出機構で審査が行われ、結果が通知されるのです。
提出後、等級が認定される期間はおよそ1ヶ月とされています。結果が出るまでに90日以上かかるケースもあり、判断がむずかしい症状であれば結果が出るまでの期間が長くなる傾向にあります。
出典:後遺障害の事前認定|結果が出るまでの流れと異議申立の方法|アトム法律事務所弁護士法人グループ
参照:https://xn--u9j691gec093ctth6wjxm1eg0h.jp/ttk-33/
腰椎捻挫で後遺障害等級を認定してもらうためのポイント
腰椎捻挫の場合、後遺障害の等級認定が必ず受けられるというわけではありません。ですが、腰椎捻挫の症状が続いているのにもかかわらず認定を受けられなければ、交通事故後に必要な後遺障害慰謝料などを請求できません。
認定を受けやすくするポイントというものが存在するため、紹介していきます。認定されるかどうか不安だからとあきらめずに、工夫して書類を提出してみましょう。
ポイント①交通事故と後遺症の因果関係がはっきりしている
後遺障害として認定されるには、交通事故が原因であることが医学的に証明されなければいけません。この因果関係がはっきりしていないと、交通事故以外の要因での症状だと疑われかねません。
とくに腰椎捻挫は外傷として外から見える症状ではないため、交通事故との因果関係に関する問題が生じやすくなります。交通事故と後遺症の因果関係を立証するには、まず交通事故に遭ったらすぐに病院で受診することがなにより大切です。
ポイント②後遺障害を他覚的に証明できる
後遺障害診断書には、自覚症状を書く欄があります。ここをあっさり書いてしまうと説得力がないと判断され、認定が受けづらくなる可能性があります。腰椎捻挫によってどんな支障があるのかをイメージしやすくするため、どのような影響が出ているのかも詳細に記載しましょう。
レントゲン写真やMRI結果を提出するときは、腰椎捻挫の異常個所がわかりやすいものを選ぶのがポイントです。さらに異常個所に目印をつけるなどして、審査のときに見落とされることがないようにしましょう。
ポイント③症状が一貫している
認定を受けるためには、交通事故が原因での症状に一貫性があることを示さなければなりません。そのためにも、定期的に病院で受診し、自覚症状をきちんと医師に伝えて治療を続けましょう。
検査画像では損傷が確認しづらい場合もあるため、自覚症状や治療の記録が大切になります。
ポイント④適切に通院している
適切に通院していないと、腰椎捻挫の治療費の打ち切りだけでなく、後遺障害等級認定にも影響が出てきます。認定の審査では、症状固定後の現在の症状だけでなく、治療経過の資料なども重要な判断材料となります。
交通事故後の腰椎捻挫の治療中はなるべく詳しい症状を医師に伝えましょう。治療中の症状や、それに応じて行った検査の記録も大切な資料になるのです。
ポイント⑤後遺障害の認定基準を満たしている
後遺障害認定には基準があり、自動車損害賠償保障法施行令の第二条で規定されています。後遺障害等級表というものがあり、そこに認定基準が記載されているのです。
腰椎捻挫の場合、痛みやしびれといった後遺症が残るのであれば後遺障害等級に認定される可能性があります。腰椎捻挫の自覚症状はあるのに、客観的に後遺症があることを証明できないと認定はむずかしくなってしまいます。
出典:昭和三十年政令第二百八十六号自動車損害賠償保障法施行令|e-GOV
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=330CO0000000286_20191001_428CO0000000133
腰椎捻挫の後遺障害認定基準と慰謝料の相場
腰椎捻挫の後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定で認定を受ければ慰謝料などを請求できることがわかりました。では、その認定基準とはどのようなものなのでしょうか。
ここからは、後遺障害等級認定の認定基準について具体的に解説します。認定を受けることによってもらえる慰謝料などの相場もあわせて説明していきます。どんな症状であれば認定を受けられるかみていきましょう。
腰椎捻挫の後遺障害認定基準
腰椎捻挫で後遺障害がのこってしまった場合、ほとんどは認定基準の第12級か第14級に当てはまります。認定基準表に記載される症状に該当するようであれば、その基準を満たすといえるでしょう。
第12級には「局部に頑固な神経症状を残すもの」という基準があります。第14級では「局部に神経症状を残すもの」という基準に該当します。特に第12級の場合、レントゲンなどで他覚的・医学的に証明ができるものでなければ認定されません。
出典:昭和三十年政令第二百八十六号自動車損害賠償保障法施行令
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=330CO0000000286_20191001_428CO0000000133
等級 | 後遺障害 |
---|---|
第12級 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
第14級 | 局部に神経症状を残すもの |
自賠責基準の慰謝料の相場
慰謝料には、慰謝料の金額を計算するための基準があります。自賠責基準というのがその計算基準の一つで、交通事故の被害者に補償される最低限の金額基準です。
自賠責基準での後遺障害に対する慰謝料は、第12級だと94万円、第14級だと32万円です。
出典:自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準|金融庁 国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/kijyun.pdf
弁護士基準の慰謝料の相場
弁護士基準は、示談交渉で被害者側の弁護士が主張できる金額基準です。自賠責基準など、ほかの基準よりも受け取れる慰謝料額が高くなるのが特徴です。弁護士基準の慰謝料の計算は、「入通院慰謝料算定表」を使って行われます。
入通院慰謝料は、入院した月数と通院した月数を元に計算されます。弁護士基準における後遺障害慰謝料は、第12級で290万円、第14級で110万円です。
出典:【自賠責より弁護士基準】交通事故の慰謝料の相場と計算方法を解説|Lega-Life Lab.
参照:https://www.adire.jp/lega-life-lab/liability-compensation-calculation447/
弁護士基準の慰謝料の相場(重症の場合)
弁護士基準では入院慰謝料を計算するとき、2種類の入院慰謝料算定表を用います。レントゲンやMRIによって他覚的に異常が認められるかどうかで計算に使う算定表を変えるのです。症状が重症で、他覚的に異常が認められる場合はそれに適用した算定表を使います。
軽症用よりも重症用のほうが、もらえる慰謝料は多くなります。基本的に、入院や通院の期間が長くなるほど、慰謝料の金額は大きくなります。
入通院慰謝料以外に逸失利益も請求できる
後遺障害等級認定を受けると、慰謝料だけでなく逸失利益を請求することもできます。逸失利益とは、交通事故がなかったら将来得られたであろう収入のことです。
交通事故で腰椎捻挫の後遺症が残り、その後の労働に支障が出る場合があります。もし交通事故で命を落としてしまったら、その後収入は得られないことになるでしょう。得られるはずだった収入である逸失利益は、高額になることが多いものです。
逸失利益は慰謝料とは異なる計算方法があります。「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」といった式で金額が求められます。
交通事故で腰椎捻挫となった場合の注意点
交通事故で腰椎捻挫となった場合、治療費や慰謝料の請求が可能です。ですが、ケースによっては請求ができないこともあります。
交通事故で腰椎捻挫と診断されたとき、しかるべき請求ができるように注意点をチェックしておきましょう。
注意点①持病があった場合は慰謝料請求できないこともある
なんらかの持病があった場合、慰謝料を請求するときにトラブルに発展する恐れがあります。慰謝料請求しても、交通事故との因果関係を疑われる可能性があるのです。
さらに、「もともとの持病があるから、程度がひどく悪化したのだ」と素因減額により慰謝料を提示される可能性もあります。
素因減額とは、被害者になんらかの持病や既往症がある場合に、損害額を減額するというものです。加害者側にとっては、常に全賠償額を支払わなければならないことは不公平なルールにつながります。
この素因減額には決まった金額はなく、そのときのケースによって金額が変わります。
素因減額は、身体的要因と心因的要因にわけて考えられます。素因減額は、最終的な損害賠償額に大きくかかわってくるため、不当だと思われるときにはきちんと交渉しましょう。
注意点②交通事故の損害賠償請求には時効がある
交通事故の損害賠償請求には時効があります。損害賠償請求は、損害および加害者を知ったときから5年以内にしなければなりません。それを過ぎると被害者側にある損害賠償請求権はなくなってしまいます。
出典:2020年4月1日から事件や事故によって発生する損害賠償請求権に関するルールが変わります|法務省
参照:https://www.moj.go.jp/content/001289630.pdf
交通事故で腰椎捻挫になった場合は整形外科を受診しよう
交通事故に遭ったときはなかなか冷静ではいられないものです。そんな中でも、事故後に対応しなければいけない項目は多くあります。
この記事を読んだことで、もし自分が交通事故で腰椎捻挫となったらどのように対処すればいいかという知識がついたことでしょう。いままさに腰椎捻挫などを患って、どう対処していけばいいか困っている人も、記事の内容を参考にして適切に判断できるようにしましょう。
後遺障害等級の認定や慰謝料などの交渉は、専門的な法律の知識であったり、医学的な知識が必要になります。交通事故にまつわるトラブルに強い弁護士に相談するのもおすすめです。不当な判定を下されないためにも、専門家にも頼り、適切な対処を行いましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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