交通事故に遭ったら労災保険は使える?業務・通勤災害の定義を解説

交通事故で、労災保険を使えるのはどのようなケースなのか、知りたい方も多いのではないでしょうか? 本記事では、労災保険の適用が認められるケースなどを詳しく解説しています。 交通事故で労災保険を使うことができるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 通勤中に交通事故に遭った!労災保険は使える?
  2. 交通事故で労災保険を使うメリット・デメリット
  3. 労災保険を使う時の流れ
  4. 交通事故で労災保険の適用に悩みがある時は相談しよう

「通勤中に交通事故に遭ったら労災保険は使えるの?」

「労災保険を使う場合はどうすればいい?」

このように、通勤中や仕事中の交通事故で怪我をした場合に、労災保険が使えるのか知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、通勤中・仕事中の交通事故で労災保険が使えるのか、労働災害と認められないケースなどを紹介しています。

通勤中の交通事故で労災保険が使えるのか知りたい方は、参考にしてみてください。

通勤中に交通事故に遭った!労災保険は使える?

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どのような場合に労災保険を適用することができるのでしょうか?

ここでは、労災保険を適用できるケース、適用が認められないケースを解説します。

労災保険の適用が認められる条件

労災保険を適用するためには、発生した交通事故が労働災害に該当すると判断されなければなりません。

労働災害には、「業務災害」「通勤災害」があります。

認定されるための要件を、それぞれ見ていきましょう。

出典・参照: 療養(補償)給付|弁護士法人心 名古屋法律事務所

業務災害

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業務災害とは、業務中に負った怪我や病気のことをいいます。

この業務災害に認定されるためには、「業務遂行性」「業務起因性」という2つの要件を満たしている必要があります。

「業務遂行性」とは、事故の被害に遭った労働者が、使用者の管理下にあることをいいます。業務遂行性が認められるためには、労働者と使用者との間に労働契約関係があることが必要です。

次に、「業務起因性」が認められるためには、業務が原因となって労働者が負傷、疾病などを負い、業務と傷病の間に因果関係が認められることが必要です。怪我と業務の関係がない場合には、業務起因性は認められないことになります。

出典・参照: 業務遂行性・業務起因性|社会保険用語集/労働保険関連用語|社会保険労務士法人 西村社会保険労務士事務所 

通勤災害

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通勤災害と認められるためには、事故に遭った時の移動が、出社や帰宅中など、仕事と関連していることが必要です。

具体的には、通勤・帰宅などに加えて、他の仕事場への移動や、単身赴任先から自宅への帰宅などが含まれます。

そして、その移動が合理的であったかどうかも重要なポイントです。

たとえば、仕事を終えて、そのまま食事に行った場合は通勤とは認めがたいため、この間に交通事故に遭っても、通勤災害とは認められないでしょう。

なお、帰宅中に日用品の買い物に立ち寄り、その後、すぐに通勤経路に戻った場合などでは、合理的な理由があるとして、通勤災害と認められる場合があります。

弁護士 大橋史典
交通事故に遭って、労災保険を適用できるのは、労働災害と認められる交通事故に限られます。労働災害のうち、業務災害に認定されるためには、発生した交通事故に業務遂行性と業務起因性がある場合に認められます。また、通勤災害に認められるためには、基本的には通常の通勤経路で起こった交通事故が対象になります。

交通事故に遭った場合に、必ず労災保険を使えるとは限らないところに注意しましょう。

交通事故で労災保険を使うメリット・デメリット

業務や通勤中に発生した交通事故が、労働災害に認定された場合、労災保険を適用することができます。

ここからは、労災保険を適用することのメリット・デメリットを解説していきます。

労災保険を使うメリット

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労災保険を使うと、療養給付を受けることができます。

この給付には、支払い金額に上限がないというメリットがあります。

一般的な交通事故で適用される自賠責保険では、治療に関する費用は、上限120万円までしか支払われません。上限を心配する必要はありませんので、安心して通院することができます。

また、被害状況に応じて、「休業補償給付」、「障害補償給付」、「遺族補償給付」といった「特別支給金」の給付を受けることができます。

一般的な交通事故では、事前に保険金を受け取っていた場合、その金額分が賠償金額から差し引かれます(損益相殺)。

労災保険から受ける特別支給金は、損害を補てんするためのものではないことから損益相殺されません。

そして、被害者に過失があっても、労災保険では過失割合は考慮されませんので、減額(過失相殺)されることもありません。

これらの点が、労災保険を適用するメリットといえるでしょう。

出典・参照: 労災の特別支給金とは?労災保険との関係性についても解説 | アトム法律事務所弁護士法人 

労災保険を使うデメリット

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労災保険を使うことのデメリットとしては、慰謝料が支払われない、労災隠しのリスクなどがあります。

労災保険には、精神的苦痛に対する補償はありません。そのため、慰謝料を受け取るためには、加害者本人や保険会社に請求するといった手間がかかってきます。

また、労災認定の手続きに必要になる書類は、被害者の会社が作成します。

この時、労災保険料が上がる、労働基準監督署からの指導を恐れるなどの理由から、労災申請の手続きをしてくれないことがあります。このような不適切な対応のことを、「労災隠し」といいます。

労災保険を適用する場合、このような不利益を受ける可能性があることがデメリットといえるでしょう。

出典・参照:通勤災害とは? 通勤中の事故は労災、任意・自賠責どれを選ぶべきか? | ベリーベスト法律事務所

労災保険と自動車保険の併用はできる?

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交通事故に遭った場合、労災保険と自賠責保険や任意保険などの自動車保険を併用することができます。

ただし、補償内容が重複している場合、重複している部分の二重取りはできませんので、注意が必要です。

たとえば、治療費はどちらの保険からも支払われますが、双方から治療費の補償を受けることはできません。

労災保険から支払われる場合がある特別支給金は、自動車保険からは支払われませんし、自動車保険から支払われる慰謝料は、労災保険からは支払われません。

このように、重複していない補償は、それぞれ受け取ることができます。

出典・参照: 交通事故で自動車保険と労災は併用できる!重複する補償については要注意 | Authense法律事務所 

弁護士 大橋史典
労災保険を適用する場合、自動車保険からも補償を受けることができるのか、お悩みがあるのではないでしょうか?もし、どの保険を適用すべきか、お悩みがある方は、弁護士への相談を検討してみてください。

交通事故に強い弁護士ならば、被害者の状況に応じた適切な判断が可能です。保険適用について、的確なアドバイスしてもらうことができます。

労災保険を使う時の流れ

業務中や通勤中に業務災害に遭った場合には、その旨を会社に報告してください。

その後、会社は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出します。この書面は、自分で提出することも可能です。

提出した後は、労働基準監督署署長によって、発生した交通事故が労災に該当するかの判断が行われます。

この調査で、労災に認定されれば、労災保険を適用し、必要な給付を受けることができます。

弁護士 大橋史典
労災認定を申請する際には、会社の協力を得たほうがよいのですが、様々な理由から会社が協力してくれない場合があります。このような場合には、労働基準監督署の窓口に相談することで、アドバイスを受けることができるでしょう。

また、労災保険給付の申請に加えて、会社に対する損害賠償を請求したい場合には、弁護士への相談を検討してみてください。

交通事故で労災保険の適用に悩みがある時は相談しよう

stevepb

突然、交通事故に遭い、労災保険を適用できるのか、どのように対応したらよいのか、分からないことが多いことでしょう。

通勤中や業務中に交通事故に遭った場合は、勤務先に相談し、必要な場合には、労働基準監督署や弁護士に相談することをおすすめします。

この記事のライター

ドクター交通事故運営

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