物損事故で使える保険の種類を解説!請求の手順や注意点も紹介!

物損事故で使うことができる保険の種類を、詳しく解説します。警察への連絡や交通事故証明書の重要性なども説明!保険金に関わる事故後の処理の流れもまとめています。物損事故で自分または加害者側の保険会社へ、請求する流れや注意点も載せています。

目次

  1. 物損事故でも保険は使える?
  2. 物損事故の定義とは?
  3. 物損事故で使える保険の種類
  4. 保険金請求に関わる物損事故の処理の流れ
  5. 物損事故による保険金請求の流れと注意点
  6. 物損事故で使える保険は状況によって異なる

物損事故でも保険は使える?

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物損事故の場合は、状況によって使う保険の種類が異なります。また、物損事故では使えない保険もあるため、注意が必要です。

本記事では、物損事故で使うことのできる保険の種類や、請求の流れなどを詳しく解説します。また、損害金を受け取れるための、事故後の正しい処理方法や注意点なども載せています。

物損事故の定義とは?

物損事故の定義

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物損事故とは、怪我人や死亡者など、人的な損害が発生していない交通事故のことです。物損事故の加害者は、損害させた対象物の修理費用や弁償代を、支払わなければなりません。ただ、当て逃げをせずに適切な対応を行えば、刑事責任は問われずに済みます。

物損事故には、大きく分けて2つあります。一つは、加害者が被害者に衝突することで起こるケースです。もう一つは、加害者が壁やガードレールなどにぶつけて、物損が生じる単独事故です。ちなみに、交通事故においては、ペットの損害も物損事故として扱われます。

物損事故とは、交通事故により物(自動車など)が傷ついたり壊れたりして損害(「物件損害」ないし「物損」といいます)が発生したが、ケガ人はおらず人的な損害は発生していない交通事故のことをいいます。

出典: www.adire.jp

物損事故でも警察への届け出が必要

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軽い物損事故や相手のいない単独事故の場合、警察へ連絡する必要がないと考える人もいるでしょう。しかし、それは間違いです。たとえ軽い物損事故であっても、交通事故に遭ったら警察へ連絡することが、道路交通法により義務付けられています

連絡を怠れば違法とみなされ、3ヶ月以下の懲役あるいは5万円以下の罰金が、科されることもあります。

また、警察へ連絡をしなければ、交通事故証明書が発行されません。あとで、賠償金を請求するときに、交通事故証明書は必要となるため、トラブルの元になる可能性もあります。物損事故で警察へ連絡したあとの流れは、原則として聞き取り調査が行われます。

出典:物損事故と報告義務(弁護士法人泉総合法律事務所)

人身事故に切り替えることもできる

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すでに警察から物損事故として処理されたあとに、怪我の症状が出ることもあります。そのような場合は、警察で人身事故の切り替えを行うことが可能です。特に、自分が被害者の立場である交通事故だと、物損事故のままではデメリットが生じる可能性もあります

例えば、怪我で治療が必要な場合に、物損事故のままだと治療費などの損害賠償金を、請求することができません。また、実況見分調書も取得できないため、のちの示談交渉で事故状況について、加害者と争いになることもあるでしょう。

物損事故では自賠責保険は使えない

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物損事故の場合は、自賠責保険を使うことができないため、注意が必要です。もしも、加害者が自賠責保険しか加入していない場合は、損害賠償金を自己負担で支払ってもらうことになります

言い換えると、自分が加害者になった場合は相手側の車の修理代などを、自己負担で弁償しなければなりません。使うことができるのは、加害者が対物補償付きの任意保険に加入している場合です。あるいは、被害者が車両保険へ加入しているケースです。

物損事故で使える保険の種類

保険の種類①対物賠償保険

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交通事故で、相手側の車や家屋、壁などの所有物を損傷させた場合に、使うことができます。一般的な交通事故であれば、相手側の車の修理費用などに使うケースが多いです。

また、電柱やガードレールなどの物損にも適用されます。ただし、自分の家屋や車などの所有物に対しては、使うことができません。

保険の種類②車両保険

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自分の補償のために、使うことができます。例えば、交通事故や盗難で自分の車に損傷があったときに、補償金が支払われます。また、車両保険は「一般型」と「限定(エコノミー)型」の2種類があり、それぞれの補償範囲が異なります

広い範囲で補償されるのが一般型です。一方、保険料は安いけれど、補償範囲が狭いのは限定型になります。特に限定型においては、自損事故の場合は補償されないことを、認識しておきましょう。

保険の種類③対人賠償保険

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交通事故で、自分が加害者になってしまった場合に、相手側に支払う治療費や慰謝料などを補償してくれます。また、運転していた当事者には補償されませんが、同乗者が怪我をした場合に使うことも可能です。

ただし、父母や配偶者、子供などの家族に関しては、補償の対象外とされるため、注意が必要です。したがって、対人賠償に該当するのは、他人に限られています。

保険の種類④人身傷害保険

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契約している車の運転手および同乗者が、交通事故で死傷した場合に補償されます。過失割合に関係なく、損害した総額分の保証金を受け取ることが可能です。

また、相手側との示談交渉は、状況によって時間がかかることもあります。人身傷害保険であれば、示談交渉の成立を待たずに、賠償金の総額が支払われます。しかし、損害額が決定されるまで、日数がかかる可能性もあるでしょう。

保険金請求に関わる物損事故の処理の流れ

処理の流れ①警察に通報

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物損事故に遭ったら、まずは怪我人がいないかを確認します。そして、車を安全な場所へ移動させ、速やかに警察へ連絡をしてください。警察が来るまでは相手側と連絡先を交換したり、事故現場や損傷した車の写真を撮っておきます。

また、警察へ連絡をすると、保険を使うときに必要になる交通事故証明書も発行されます。交通事故証明書がないと、損害金を請求できない可能性もあるため、注意しましょう。

処理の流れ②保険会社に連絡

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物損事故に遭ったことは、保険会社にも連絡しておくことが重要です。報告をせずに自己判断で事故後の処理を進めていくと、あとで損害金を支払ってもらえない可能性もあります

もちろん、自分が被害者の立場でも同様です。過失割合によっては、被害者でも加害者に損害賠償金を支払うケースもあります。そのような場合は、被害者側の保険会社が補償するためです。

処理の流れ③交通事故証明書の取得

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物損事故に遭ったら、交通事故証明書を取得することが重要です。被害者が相手側の保険会社に賠償金を請求する際に、交通事故に遭ったことを客観的に証明するものが必要になります。

悪質な加害者の場合、物損事故を否定したり、そのまま逃げてしまうケースもあるためです。

通事故証明書を取得するためには、警察庁所管の機関である自動車安全センターで手続きを行います。手続きをするためには、まず警察へ物損事故に遭ったことを連絡しておきましょう。

物損事故による保険金請求の流れと注意点

請求の流れ①自分の対物賠償保険

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物損事故で加害者となった場合は、自分が加入している対物賠償保険へ、請求することになります。請求方法は、まず保険会社へ物損事故を起こしたことについて、連絡をしてください。

そして、保険会社が被害者側と連絡を取ったり、示談交渉を行います。示談交渉が成立し賠償額が決定したら、保険会社が加害者へ賠償金を支払うという流れです。連絡をすれば、あとの対応のほとんどは、保険会社が行ってくれます。

請求の流れ②相手側の対物賠償保険

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物損事故で被害者となった場合は、相手側の対物賠償保険へ請求します。一般的な請求の流れは、まず相手側の保険会社から連絡が来ます。その際に、車の修理会社や損害状況を伝えましょう。

示談交渉が始まり、相手側から損害金を掲示されます。納得のいく金額であれば示談交渉は成立し、示談書が送られてきます。示談書に捺印と署名をして返送すると、相手側から賠償金が振り込まれる流れです。

請求の流れ③車両保険

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自分が加入している車両保険へ請求する際、まずは保険会社へ連絡します。次に車の修理費用の見積もりを出してもらいましょう。

必要書類を保険会社に提出したら、車を修理に出します。必要書類は、各会社によって異なるため、確認をしてください。修理が完了すると、保険会社から修理会社へ諸費用が直接支払われます。

保険を使うときの注意点

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物損事故で対物賠償保険または車両保険を使う場合は、注意が必要です。なぜなら、次年度からの等級が、原則的に3つ下がってしまうためです。自動車保険は等級が低いほど、保険料の支払いが高くなる仕組みになっています。

例えば、車の修理費用が少額な場合は、自分で支払ったほうが、損失の少ないケースもあるでしょう。次年度から保険料の値上がりがどのくらいになるのか、保険会社へ確認してから判断してください。

物損事故で使える保険は状況によって異なる

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物損事故に遭ったら、警察と保険会社へ事故の報告を、速やかに行うことが大切です。また、物損事故の状況によって、使うことのできる保険の種類が異なります。

場合によっては、修理費用など自分で支払ったほうが、損失が少ないこともあります。保険を使う前に、保険料がどのくらい上がるかを、確認してから判断すると良いでしょう。

この記事のライター

宮内直美

最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。

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