腰椎捻挫の治療にリハビリは必要?内容や慰謝料についても解説
腰椎捻挫における、リハビリの必要性について詳しく解説します。腰椎捻挫の原因と、具体的な症状を説明!また、リハビリ以外の腰椎捻挫の治療方法も合わせて紹介します。交通事故などによる腰椎捻挫で、リハビリを受けた時の慰謝料も挙げていきます。ぜひ参考にしてください。
目次
腰椎捻挫のリハビリについて解説
腰椎捻挫になってしまった場合のリハビリについて解説します。交通事故や仕事、日常生活など、腰椎捻挫が起こる原因にさまざまです。
腰椎捻挫の治療法としてのリハビリの必要性や内容、リハビリを受けた時にもらえる慰謝料の種類を紹介します。
腰椎捻挫とは?
腰椎捻挫は、レントゲンや診察で患部を特定しにくい、非特異性腰痛の一種です。その原因と主な症状、類似した腰部の疾患についてまとめます。
腰椎捻挫の原因
腰椎捻挫は、交通事故などで腰椎(腰)の筋肉や神経、関節などに強い力がかかり、筋膜や靭帯、関節包といった部分を損傷したことで起こる急性の腰痛です。
また、中腰や座りっぱなしの姿勢など、日頃の生活や仕事で姿勢の悪い状態を続けていたり、肥満などで腰に長期間の負担がかかることでも発症します。重いものを急に持ち上げた時などに起こるぎっくり腰も、腰椎捻挫と同じ現象です。
腰椎捻挫の症状
腰椎捻挫の症状としては、腰を動かした時の強い痛みが代表的です。腰椎捻挫による腰痛は、安静にしている間は比較的軽く、痛みが広がったり、しびれが出るようなこともありません。
身体の体勢を問わず強い痛みがある、しびれも感じるといった症状であれば、腰椎捻挫以外の原因も考えられます。
腰椎捻挫以外の腰の疾患
腰椎捻挫以外でも、痛みを伴う腰の疾患があります。主な疾患を、3種類紹介します。
- 腰椎すべり症
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
腰椎すべり症は、腰椎がずれることで身体の重心やバランスが崩れたために起こる腰痛です。痛みは腰だけでなく、下肢にも表れます。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎からはみ出た椎間板が神経を圧迫し、腰や下肢の痛みを起こすものです。その他の症状として、腰を動かしにくく感じたり、しびれがあります。
腰部脊柱管狭窄症は、腰椎の変形や椎間板ヘルニアが引き金となって脊柱管が圧迫されて起こる疾患です。腰痛のほか、臀部から下肢にかけて痛みやしびれを引き起こします。
安静にしていても腰の痛みが治まらなかったり、しびれや腰以外の部分の痛みもある場合は、腰椎捻挫ではなく、こうした疾患が原因と考えられます。
腰椎捻挫にリハビリは必要か?
交通事故や日常生活で腰椎捻挫となった場合の、リハビリテーションの必要性をまとめます。
リハビリの目的とは?
リハビリは、交通事故などで受けた腰椎捻挫により障害が残ったままでも、日常生活で必要な基本的動作ができるための助けとなります。腰椎捻挫のリハビリは、理学療法士の指導による運動療法やマッサージなどの物理療法を通じて、患者の筋力や関節の機能回復を図るものです。
理学療法士とは、ケガや病気などで身体が思うように動かない人に対して、「立つ」「歩く」「座る」「寝る」などの基本的動作能力の回復・維持を目的に、理学療法に基づいたリハビリテーションを行う専門職です。
出典: ohsu.ac.jp
腰椎捻挫のリハビリの内容
腰椎捻挫のリハビリは、理学療法士の指導で行われます。リハビリの内容は、主に運動療法や牽引療法、電気療法です。
リハビリが受けられる治療院
病院で受けるリハビリは、医師の診察に基づいて、エコーガイド下筋膜リリース注射や神経ブロック注射、薬の処方といった治療の一環として行われます。
また、病院以外でリハビリが受けられる治療院には、整骨院や接骨院があります。整骨院などでのリハビリは、物理療法や、柔道整復師によるマッサージなどの施術です。こうした治療院でできない内容は、薬や注射を使う治療法、後遺障害診断書の発行などです。
必要以上の安静は回復を遅らせる
腰椎捻挫の治療段階として、症状が治まるまでは安静にしておくことが推奨されています。しかし、痛みが治まってからも安静状態を続けているのは、腰椎捻挫の回復という点では逆効果です。
なぜかというと、必要以上に安静状態が続くと、腰を支える筋肉である腹筋や背筋が衰え、腰にかかる負担に徐々に耐えられなくなってしまうからです。
こうした事態を防ぐためにも、痛みが治まったら交通事故前になるべく近い形で、日常生活を再開させることが望ましいといえます。また、日頃の適度な運動やストレッチを習慣づけることは、腰椎捻挫の予防にも効果的です。
腰椎捻挫のリハビリ以外の治療方法
腰椎捻挫の治療方法は、リハビリ以外にもいくつか存在します。代表的な治療法を、5種類紹介します。
治療方法①保存療法
保存療法は、出血を伴わない治療法全般を指します。腰椎捻挫では、発症直後など動作が辛い間は安静にしておき、痛みがある程度治まった段階から普段の日常生活を過ごします。安静にする時間が長すぎると、筋力の衰えにより痛みがひどくなる可能性があるためです。
腰椎捻挫による腰の痛みを軽減するには、コルセットなどの装具の着用や、杖を使うといった方法があります。また、肥満傾向の人に対しては、腰への負担を減らすため、適度なダイエットとなるよう生活習慣の改善指導をすることもあります。
治療方法②運動療法
運動療法は、可動域訓練によって関節の可動域を広げたり、筋力トレーニングによって使っていなかった筋肉の萎縮を防いだりする治療法です。
安静状態にあったことで衰えた、腹筋や背筋といった筋肉を鍛えることは、腰への負担を軽減することにつながるため、腰椎捻挫の治療法としては特に効果があります。
しかし、急性の痛みがある場合は逆効果となりかねないため、医師の指示はもちろん、自分の体力や現在の筋力への配慮が必要です。
治療方法③神経ブロック治療
神経ブロック治療は、局所麻酔薬を腰の神経やその周辺に注射し、痛みを伝えにくくする治療です。麻酔薬の作用で腰周辺の痛覚神経をブロックするものとなり、腰椎捻挫の場合は、硬膜外ブロック治療などを複数回実施します。
神経ブロック治療は、痛みの緩和だけでなく血行を良くしたり、筋肉の緊張をほぐす効果もあります。
治療方法④薬物療法
薬物療法は、痛みの緩和や筋肉の緊張をほぐす薬を、症状に合わせて投与する治療法です。腰椎捻挫の治療薬には、痛み止めの効能をもつNSIDsやアセトアミノファンが含まれた内服薬や外用薬を用います。内服薬は錠剤、外用薬は湿布や塗布薬が主流です。
治療方法⑤牽引療法
牽引療法は、患部を専用の器具や人力で引っ張るもので、骨折や脱臼の治療法としては一般的なものです。
しかし、腰椎捻挫など腰痛を伴う症状に対する有効性は立証されておらず、やり方が悪いとむしろ症状を悪化させる危険性があります。自己判断ではなく、医師の診断や理学療法士の指導の下で行うほうが安全です。
交通事故の腰椎捻挫でリハビリを受けたときにもらえる慰謝料
交通事故による腰椎捻挫でリハビリを受けた場合に、もらえる慰謝料の種類は以下のとおりです。リハビリの内容や回数、頻度によっては減額される可能性もあります。
慰謝料①入通院慰謝料
交通事故による腰椎捻挫でリハビリを受けると、入通院慰謝料をもらうことができます。これは、交通事故によって腰椎捻挫などの症状が発症したり、入通院によって感じた精神的な苦痛をお金として補償するという考え方です。
入通院慰謝料の金額は、リハビリ期間を含めた入通院期間によって決まります。
慰謝料②治療関係費
治療関係費とは、リハビリの費用や通院にかかった交通費など、リハビリのために支払った経費です。ただし、これ以上改善の余地がないとして症状固定の判断が下された場合は、その後のリハビリや治療に対する費用は治療関係費の対象外となります。
症状固定後も治療関係費の補償を受けるためには、リハビリを継続しないと身体が固まったり、症状が悪化する可能性があるなど、適切な理由が必要です。また後遺症状が残り、後遺障害認定を受けた場合は、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益として請求できます。
慰謝料③休業損害
交通事故で腰椎捻挫を患い、仕事を休むと休業損害の請求対象にもなります。休業損害の対象となるのは、交通事故により休業した日数分の、その人の収入額までです。
リハビリでもらえる慰謝料の算定基準
リハビリによる慰謝料の算定基準は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のいずれかです。自賠責では、治療費や通院交通費などを含めて、被害者一人当たり最大120万円が支給されます。
任意保険基準は、各保険会社で独自に設定した基準に基づいて慰謝料を決定します。弁護士基準は、弁護士を介して交渉する時の基準です。
慰謝料の受け取り方
交通事故の慰謝料を受け取るためには、事故発生直後に相手方の連絡先を確認し、警察へ通報します。次に、自分が加入している保険会社の担当者に連絡します。その後、病院を受診して診断書と、交通事故証明書を発行してもらうのが基本的な準備です。
病院での診断内容に応じて、必要な治療や投薬、リハビリを受けていき、症状固定となったところで保険会社に交通事故証明書を提出します。
なお、慰謝料やリハビリ通院にかかった交通費は、加害者側の任意保険会社と示談交渉を行うのが一般的です。リハビリの施術費用そのものは、リハビリと同時進行で病院に直接支払う任意一括対応制度を取る保険会社もあります。
腰椎捻挫になったらリハビリで回復を早めよう
腰椎捻挫を放置しておくと、後遺障害として痛みなどの症状が慢性化する危険性があります。交通事故や仕事をはじめとした日常生活で、腰椎捻挫になったり、心当たりがあるならば、病院の受診と適切なリハビリで、回復までの期間を早めるべきです。
また、交通事故による腰椎捻挫のリハビリが終了した時は、相手方の保険会社に慰謝料を請求することもできます。慰謝料があれば、治療にかかった費用や休業中の補償などもある程度は得られる可能性があります。
この記事のライター
東雲修
世の中の「ちょっと気になること」を日々集めて、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。交通事故での「困った!」が、「分かった!」に変わる助けになれば幸いです。
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