腰椎捻挫の慰謝料や後遺障害等級について解説!相場や認定基準も
腰椎捻挫の慰謝料や後遺障害等級について徹底解説します。交通事故による腰椎捻挫が症状固定になった場合の、後遺障害の等級や認定のポイントについても説明!また、腰椎捻挫の慰謝料の算定基準や相場なども載せているため、参考にしてください。
目次
腰椎捻挫による慰謝料や後遺障害等級について解説
交通事故で大きな衝撃を腰部に受けると、腰椎捻挫を生じることがあります。本記事では、腰椎捻挫とはどのような症状であるのか、治療期間や椎間板ヘルニアとの違いなども解説します。
また、腰椎捻挫の症状が後遺障害になった場合の、等級認定や慰謝料の相場なども説明するため、チェックしてみてください。
腰椎捻挫とは?
腰椎捻挫の症状
腰椎捻挫は、腰椎に大きな力が加わり、腰部の筋肉や筋膜に炎症が起こることをいいます。追突事故などで衝撃を受けて、関節が過剰に曲がったり、反ったりしてしまったことが原因で生じます。
腰椎捻挫で最も多く見られる症状は、腰痛です。頸椎まで損傷していると、首や背中の痛み、吐き気、頭痛などを伴うこともあります。激痛が走ると、動けなくなる場合もあるでしょう。
交通事故直後は症状が出ないこともあるため、痛みを感じなくても、整形外科で受診しておくことが大切です。
腰椎捻挫の治療期間
交通事故で受けた衝撃の大きさや、個人の体質にもよりますが、腰椎捻挫の治療期間は1~3ヶ月程度です。ただし、重症の場合は、半年以上かかるケースもあります。
ある程度の期間が経ったら、これ以上治療を継続しても回復の見込みがないと、医師に診断される可能性が高いです。これを症状固定と呼び、後遺症が残ったことを意味します。
また、症状固定と診断されたら、今まで保険会社から支払われていた治療費などは、打ち切りとなります。
椎間板ヘルニアとの違い
交通事故に遭った後、腰痛だけにとどまらず、下肢にしびれや痛みを伴うことがあります。その場合は、椎間板ヘルニアを生じている可能性が高いです。
椎間板ヘルニアは、腰椎の椎間板が変性して、髄核が外に飛び出した状態になっています。それが原因で神経が圧迫されて、腰や脚がしびれ、感覚も麻痺する症状がみられます。耐えられないような痛みの場合は、神経ブロック注射で緩和してもらうことも可能です。
椎間板の中に存在する髄核というゲル状の組織が、外に飛び出してしまった状態です。
これが腰の骨である腰椎の椎間板で起こったものを腰椎椎間板ヘルニアと呼びます。出典: www.itoortho.jp
交通事故の腰椎捻挫でもらえる慰謝料
①入通院慰謝料
交通事故による腰椎捻挫で、入通院が必要となったために生じた、精神的損害に対する慰謝料です。入通院の期間が長いほど、慰謝料は高額になります。
後遺障害には至らず完治した場合でも、慰謝料を請求することが可能です。また、入通院は交通事故による傷害によって生じるため、傷害慰謝料と呼ばれることもあります
②後遺障害慰謝料
交通事故で生じた腰椎捻挫が完治せずに、後遺障害となった場合に請求できる慰謝料です。ただし、後遺障害等級に認定されることが、条件となります。
腰椎捻挫が症状固定と診断されたら、後遺障害等級認定の申請手続きを、忘れないようにしましょう。慰謝料は、後遺障害等級の数字が小さいほど高額になります。すなわち、最も高額な慰謝料は1級です。
③死亡慰謝料
交通事故で被害者が死亡した場合に、請求できる慰謝料になります。死亡慰謝料は、死亡者が受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。また、残された遺族の精神的苦痛に対しても、同様に慰謝料が支払われます。
本来は死亡者本人が請求する権利を持っていますが、死亡しているため遺族が行うことになります。また、死亡者が死亡に至るまで入通院をしていた場合は、死亡慰謝料とは別途に、入通院慰謝料も請求可能です。
腰椎捻挫による後遺障害等級と認定のポイント
腰椎捻挫による後遺障害の認定基準
腰椎捻挫の治療を一定期間続けても、痛みやしびれの症状が残ってしまい、症状固定と診断されることがあります。後遺障害が残った場合は、後遺障害等級認定の申請を行うことができます。
しかし、必ずしも申請した全員が、認定されるわけではありません。認定基準に満たしていない場合は、非該当となったり、等級が下がることもあります。
腰椎捻挫で認定される可能性がある後遺障害等級
腰椎捻挫で認定される可能性の高い後遺障害等級は、14級9号あるいは12級13号です。14級9号の認定基準は、局部に神経症状を残すものとされています。また、12級13号の認定基準は、局部に頑固な神経症状を残すものです。
どちらの等級に該当するかの判断基準は、他覚所見があるか、ないかになります。他覚所見と医学的な証明があれば、12級13号です。他覚所見がなく医学的な説明にとどまれば、14級9号に認定される可能性が高いでしょう。
ポイント①通院状況
後遺障害等級に認定されるためのポイントを、いくつか紹介します。まずは、通院状況についてです。腰椎捻挫の治療を受けるために、定期的に病院へ通院する必要があります。
極端に通院頻度が少ない場合は、それほど深刻な状態ではないと、判断される可能性もあるためです。担当医師の指示に従って、きちんと通院を継続してください。
ポイント②受傷状況
交通事故の規模が大きければ、それに伴い受傷したダメージも大きいだろうと、認識されやすいです。そのため、可能であれば、事故現場の状態や破損した車などの写真を、撮影しておくと良いでしょう。
また、車の修理見積もり書なども、保管しておいてください。それらを、後遺障害等級の申請のときに、添付しておくと有効です。
ポイント③画像所見
後遺障害等級に認定してもらうには、他覚所見があると非常に有用です。後遺障害等級を申請するために、CTやMRIの検査を受けておくことを、おすすめします。また、申請する際に後遺障害診断書も必要になるため、医師に作成を依頼してください。
ポイント④症状の一貫性と連続性
交通事故後の治療から症状固定までの期間において、自覚症状の訴えに、一貫性と連続性があるようにします。
例えば、治療途中で痛みがなくなり、時間が経ってまた症状が出てきた場合などは、注意が必要です。なぜなら、事故以外の原因で痛みが再発したのではないかと、疑われる可能性もあるためです。
症状の訴えは医師のカルテに記録されるため、自覚症状は一貫性を持って、詳しく伝えることがポイントになります。
ポイント⑤神経学的検査の所見
神経学的異常の有無は、等級を決めるための判断基準になります。神経学的検査で陽性反応が出ると、14級9号に認定される可能性が高いでしょう。
腰椎捻挫の場合は、主にラセーグテストやFNSテスト、SLRテストなどの神経学的検査があります。これらの検査結果の要素を勘案して、後遺障害が医学的に説明できるかどうかが、重要なポイントです。
腰椎捻挫の慰謝料の相場
慰謝料の算定基準
腰椎捻挫による慰謝料の算定基準方法は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3通りです。どの算定基準を用いるかで、慰謝料の金額が変わります。また、慰謝料額が大きい順でいうと、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準となります。
相場①自賠責基準
自賠責基準は、被害者を救済するために、最低限補償することを目的としています。そのため、算定方法の中で最も慰謝料が低額です。
自賠責基準の入通院慰謝料は、1日あたり4,300円が支払われます。対象日数は、実通院日数の2倍あるいは治療期間のいずれかで、日数の少ない方を選択します。対象日数に4,300円をかけた数字が、自賠責保険における入通院慰謝料の金額です。
ただし、自賠責保険で補償できる賠償金は、休業損害なども含めて総額120万円が上限となります。それ以上の金額においては補償されないため、注意しておきましょう。
相場②弁護士基準
弁護士に依頼した場合は、弁護士基準で慰謝料を支払ってもらえる可能性が高いです。弁護士基準は裁判基準とも呼ばれ、公正な慰謝料の算定方法とされています。腰椎捻挫の弁護士基準における、入通院慰謝料の相場は次の通りです。
入通院期間 | 入通院慰謝料の金額の相場 |
---|---|
1ヶ月 | 19万円 |
2ヶ月 | 36万円 |
3ヶ月 | 53万円 |
6ヶ月 | 89万円 |
腰椎捻挫で後遺障害になったら慰謝料を請求しよう
交通事故で腰椎捻挫を生じた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。事故直後は症状が出なくても、あとから発症するケースも多いです。そのため、必ず病院で検査を受けてください。
また、慰謝料額は算定基準によって異なるため、自分にとってメリットのある方法を、選択するのが良いでしょう。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
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