自損事故は車両保険を使うべき?具体例と対処法・使うときの注意点も
自損事故を起こした場合に、車両保険を使うべきかを解説します。自損事故を警察へ報告する必要性や、車の修理代を見積もっておくポイントなども説明!保険料が異なる車両保険の種類や補償内容、等級が下がり損をするケースなどもまとめています。
自損事故は車両保険を使ったほうがよいのか?
自損事故は相手がいないため、警察へ報告すべきか、保険は使えるのかなど対応にとまどう人もいるでしょう。本記事では、自損事故を起こした場合の対処法や、車両保険を使ったほうがよいのかを、まとめています。
また、自損事故の事例を挙げながら、車両保険でどこまで補償されるのかも説明するため、参考にしてください。
自損事故の具体例と対処法
自損事故の具体例
自損事故とは、相手がいない交通事故のことです。したがって、自分に100%の過失があり、単独や自爆事故とも呼ばれています。
自分の過失によること、相手が存在せず巻き込んでいないことが、自損事故の大きな特徴です。具体的な自損事故の例は、以下のようになります。
- 自宅の駐車場で車の出し入れをする際に運転ミスで壁へ突っ込んだ
- 走行中にハンドル操作を誤り崖から転落した
- 自分の不注意で電柱やガードレールにぶつけた
対処法①まずは警察を呼ぶ
自損事故は相手がいないため、警察へ届けなくても良いと考える人もいるでしょう。しかし、道路交通法により、公道で起きた自損事故は、交通事故であると定義されています。
したがって、電柱やガードレールなどにぶつけてしまったら、小さな破損でも、警察へ報告する義務があるのです。警察を呼ばなかった場合は、当て逃げとみなされ、処罰の対象になるため注意してください。
警察への報告内容は、事故を起こした日時と場所、損害物の内容と程度、事故後に行った危険防止措置などです。
対処法②見積もりを取り車両保険の請求をする
保険金は自動的に支払われるわけではないため、請求の手続きをしなければなりません。手続きをするにあたり、まずは破損した車の修理代を、修理工場で見積もってもらいます。それから、必要書類を揃えて保険会社へ提出します。
保険会社が直接修理工場に、修理代を支払うのが一般的です。修理代が支払われるまでの期間は、請求手続きをしてから、およそ30日以内です。
自損事故と車両保険の関係
車両保険は2種類ある
車両保険には一般型と限定(エコノミー)型の2種類があります。一般型の特徴は、幅広い補償内容を持つことです。限定型より保険料は高いですが、さまざまな車両損害に対応しており、安心できます。ただし、地震や噴火、台風による車両損害は適用外です。
一方、限定型は保険料が安いため、補償範囲が狭く対応できない車両損害もあります。また、当て逃げをされて相手の情報がない場合は、保険金が支払われません。
「限定型」は自損事故の補償がない
車両保険の限定型は、自損事故による損害が補償されません。限定型は保険料は安いですが、補償されない事故の種類もいくつかあるため、認識しておく必要があります。限定型と一般型の、事故の種類による補償の有無は、以下の通りです。
事故の種類 | 限定型 | 一般型 |
---|---|---|
他車との接触・衝突 | 有 | 有 |
火災・台風・洪水 | 有 | 有 |
盗難 | 有 | 有 |
飛来物・落下物による被害 | 有 | 有 |
自転車との接触事故 | 無 | 有 |
自損事故(単独事故) | 無 | 有 |
当て逃げ被害 | 無 | 有 |
地震・噴火・津波 | 無 | 無 |
車両保険に入れない車もある
保険会社や車両保険の条件によっては、加入できない車もあります。例えば、車の時価額が低すぎる場合です。保険金は車の市場販売額に基づいて、設定されます。そのため、車に時価額がつかないと、車両保険に入るのが困難です。
同様に年式が古い車も、時価額がつかないため、加入を断られる可能性が高いです。また、逆のパターンで、高級な新車で補償金額が1,000万円以上になる場合なども、断られるケースがあります。
免責金額の設定とは?
車両保険会社と契約する際は、免責金額の設定が行われます。これは、設定金額に至るまでの損害においては、自分で支払いをするということです。
もしも、設定金額を下回る損害額であれば、保険金は支払われません。また、免責の設定金額が高いほど、保険会社の負担が少なくなるため、保険料が安くなります。
車両保険の免責金額とは、保険会社が保険金を支払う場合に、その損害額に対する補償のうち補償を受けられる方が自己負担する金額のことをいいます。例えば補償対象の事故を起こし20万円の修理費用がかかったケースで5万円の免責金額を設定していた場合には、5万円は契約者が自己負担し、残りの15万円が保険金として支払われます。
自損事故で車両保険を使うときの注意点
注意点①車両保険を使うと等級が下がる
車両保険は、利用すると等級が下がる仕組みになっています。事故の内容によって、1等級あるいは3等級下がるのが一般的です。1等級下がる事例は、盗難やいたずら、台風や洪水などによる被害で、車両保険を利用した場合になります。
また、3等級下がる事例は、電柱やガードレールにぶつけたり、当て逃げされた場合などです。等級が下がると、次年度からの保険料額が高くなります。そのような理由から、状況によっては車両保険を利用せずに、自己負担の方が安く済むこともあります。
注意点②保険金の請求には交通事故証明書が必要
自損事故で車両保険を利用する場合は、請求する際に交通事故証明書の提出が必要です。交通事故証明書は、警察へ事故の報告をしないと発行されないことも、認識しておきましょう。
また、車を修理する際は、事前に保険会社へ連絡してください。自分の判断ですすめていくと、本来受け取れるはずの保険金が、支払われないこともあります。そのようなリスクを避けるためにも、保険会社に確認しながら、手続きをすすめていくことが重要です。
注意点③公共設備の賠償に車両保険は使えない
車両保険は、契約した車の損害に対して補償をします。自損事故で損傷した車の修理代や、いたずらされた車の損害に対して、保険金が支払われます。したがって、自分の運転ミスで、公共の電柱やガードレールなどを破損させた場合は、車両保険では補えません。
自損事故の場合は車両保険を使うと損をするケースもある
自損事故を起こした場合に車両保険を使うのは、まず検討することが重要になります。なぜなら、状況によっては、車両保険を使用することで等級が下がり、損をするケースもあるからです。
また、限定型と一定型で、補償される幅が異なることもポイントです。車両保険を契約する際は、免責金額の設定など、内容をよく確認しておきましょう。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
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