交通事故で耳鳴りが起きる原因とは?後遺障害認定を受けるポイントも
交通事故によって起きる耳鳴りの原因について詳しく紹介します。交通事故によるむちうちや軽度外傷性脳損傷が原因で起こる耳鳴りの症状も、解説しましょう。耳鳴りが治らない場合の後遺障害等級認定の申請方法や慰謝料を受け取るポイントも、説明します。
目次
交通事故で耳鳴りが起こる原因と後遺障害について解説
交通事故に遭ったことでむちうちになり、そのむちうちが原因で耳鳴りが起きるというケースは、とても多いです。症状が長引くため、後遺症となって残ってしまうことも珍しくありません。耳鳴りは他の人には分かりにくく、病院でも判断がしづらい症状です。
交通事故でむちうちの症状から耳鳴りが起きてしまう原因を説明します。また、一定期間治療を受けて治らずに後遺症が残ってしまった時は、何をするべきなのでしょうか?
耳鳴りで後遺障害等級認定を受ける場合に必要なこと、治らなかった時の慰謝料や損害賠償請求について、詳しく解説していきます。
交通事故で耳鳴りが起こる原因
今まで問題なく生活していたのに、交通事故が原因でむちうちの症状から耳鳴りが起きることがあります。治療を継続しても、治らないと判断されることがあるかもしれません。なぜ交通事故に遭った後に、耳鳴りが起きてしまったのでしょうか?
原因①軽度外傷性脳損傷
交通事故に遭い、耳鳴りの症状が起きる原因として挙げられるのが、軽度外傷性脳損傷になります。症状は30分以内の意識消失、24時間未満の外傷後健忘などが見られる脳損傷です。
頭を強く打ったり、揺さぶられることによって脳神経が麻痺して、難聴や耳鳴りの症状が現れます。脳神経の麻痺は治らない場合は多いです。
衝撃が軽度であると、事故直後のCT検査などで異常が見られないことが多いです。数日から数週間経ってから、重い症状が出たり耳鳴りを発症します。時間が経過してしまうと、治らない可能性も高いため、注意が必要です。
原因②むちうち
交通事故によって起きる症状で多いのが、むちうちです。むちうちの症状とは、頸椎(首)の捻挫であり首の神経などを損傷することによって耳の神経までも圧迫することです。耳鳴り、耳の閉そく感などの症状が発生します。
むちうちは交通事故に遭ったその日は自覚症状などがなく、翌日以降に痛みや耳鳴りなどの症状を感じることが、ほとんどです。アドレナリンが出て興奮状態になっているため、痛みを感じにくいのです。
翌日以降に興奮状態が落ち着いてきます。落ち着くまでの期間が長ければ、それだけ交通事故との因果関係が分かりにくくなります。症状に気がついた時点で病院へ行くことが、耳鳴りと交通事故の因果関係を証明するためには重要となります。
むちうちの症状の中でも、特にバレリュー症候群などで耳鳴りが出ることが多いです。バレリュー症候群は、後頭部痛、めまい、耳鳴り、眼精疲労、全身検体など症状が、主に現れます。また、自律神経失調症に診断されることもあります。
交通事故による耳鳴りの損害賠償と後遺障害認定
耳鳴りが長期間続き、継続治療をしても治らない場合、後遺障害と認めてもらい損害賠償や慰謝料を請求することができるのでしょうか?
交通事故による耳鳴りで請求できる損害賠償
交通事故の後遺症として、耳鳴りの症状を認めてもらうことは可能です。しかし、耳鳴りと交通事故の因果関係を証明することがとても難しいです。
慰謝料や損害賠償などを請求する場合には、耳鳴りと交通事故の因果関係を証明することが、重要になります。そのためにも、後遺障害等級認定を受けるために必要なことを覚えておきましょう。
後遺障害等級認定は受けられる?
交通事故との因果関係を証明することが難しいのが、耳鳴りの症状ではあります。証明することが可能であれば、耳鳴りでも後遺障害等級認定を受けることも可能です。
医師がこれ以上治療を継続しても治らないと判断し、症状固定の判断をした時に後遺障害認定の申請ができます。
受けられるケース①後遺障害認定14級
- 難聴に伴い、常に耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの
- 耳の聴力が1メートル以上の距離では、小声を理解することができない程度になったもの
上記は、障害者等級表による14級の受けられるケースです。検査で証明されなくても、本人の訴えと医師が交通事故との因果関係を認めている時に、認定される可能性があります。後遺症の認定には、耳鳴りの症状だけではなく、難聴を伴うことが条件です。
14・12級共に30db(デシベル)以上の音が聞こえない場合に、該当します。耳鳴りや聴力低下によって日常会話が聞き取りにくく感じたり、聞き返しの回数が増えている状態です。
受けられるケース②後遺障害認定12級
- 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの
12級の場合は、聴力検査などの医学的検査によって、耳鳴りの症状を客観的に証明できることが条件です。
医学的証明ができない場合でも、症状の原因を裏付けることができる症状(他覚症状)があれば認定される可能性があります。12級で認められなくても、14級で認めてもらうことも可能です。
交通事故後の耳鳴りが後遺障害認定されないケース
耳鳴りが治らない時に後遺障害を本人が感じていても、後遺障害認定を受けることができないケースがあります。どのような状態であると、後遺障害認定されないのでしょうか?
ケース①事故との因果関係が証明できない
交通事故が原因で耳鳴りが発症していることが証明できなくては、後遺障害認定を証明することができません。時間が経過してから病院で診察を受けても、交通事故と耳鳴りの因果関係を証明することが難しいのです。
ケース②耳鳴りを証明する証拠がない
自覚症状があったとしても、他覚症状(医師の所見や検査の結果)で耳鳴りを証明することができなければいけません。耳鳴りは自覚症状以外での発見が難しく、検査で発見することができないことがほとんどです。
後遺障害認定を受けなくても、耳鳴りによって慰謝料を請求することは可能ですが、その場合の慰謝料は入通院慰謝料のみの支払いとなるため、金額が大きく異なってしまいます。
交通事故後の耳鳴りで後遺障害認定を受けるポイント
耳鳴りの症状で後遺障害認定を受けることは難しいですが、受けられないわけではありません。後遺障害認定を受けるポイントを紹介します。
ポイント①事故後すぐに病院を受診する
交通事故と耳鳴りの因果関係を証明するためには、症状を感じた時点ですぐに病院を受診するようにしましょう。
症状を感じて受診をするまでの期間が長くなると、交通事故との因果関係を疑われてしまいます。事故から3日以内には、検査を受けるようにしましょう。耳鳴りの症状を伝える際には、どのような症状が見られるか伝えてください。
ポイント②耳鳴りを証明するための検査を受ける
耳鳴りの症状を感じた場合、必ずそれを証明するための検査を受けてください。耳鳴りの検査とはいいますが、聴力検査や耳鳴りの大きさを判断する検査などがあります。
耳鳴りの感じ方や表現は人それぞれであり、理解することが難しいです。数値で表すことで、耳鳴りの症状が理解しやすくなるのです。検査を受けることによって、慰謝料を請求するための資料として利用することができます。
ポイント③耳鳴りの詳しい症状を医師に正しく伝える
交通事故に遭ったことによって起きた耳鳴りの症状は、医師でもなかなか理解することが難しいです。専門外であれば適切な診断をすることができないでしょう。症状を伝える時にはできるだけ詳しく、正しい内容を伝えましょう。
ポイント④耳鳴りのレベルがわかる証拠を集める
交通事故で起きた耳鳴りの症状は、自分以外の相手に症状や辛さを伝えることが難しいものです。このような場合には、聴力検査のデータによって耳鳴りのレベルを伝えるしか方法がありません。耳鳴りの症状を伝えるために、検査を受けるようにしましょう。
交通事故の耳鳴りで後遺障害認定されることもある
交通事故による耳鳴りの症状が、治療をしても治らなかった場合には後遺障害認定を受けることができます。耳鳴りは他人には理解してもらえない症状ですが、苦しんでいる人にとっては辛いものです。
医師から症状がこれ以上治らないために症状固定と判断され、後遺障害認定を受けることによって、慰謝料や損害賠償の請求額も異なってきます。医師に相談して、可能であれば申請をしましょう。
後遺障害認定を申請して受けることができなくても、不服を申し立てると、再度申請できるケースもあります。納得がいくまで医師と相談し、申請するのも1つの方法です。
この記事のライター
サトミオリ
自分の経験も基に、お悩みを解決できるお手伝いをさせていただきます。
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