交通事故による「むちうち」の慰謝料|計算方法と3つの基準を解説
この記事では、交通事故でむちうちになった際に請求できる慰謝料の目安や計算方法、後遺障害等級に認定された場合に請求できる慰謝料などについても解説しています。 むちうちの慰謝料や損害賠償について知りたい方は、ぜひご覧になってみてください。
目次
むちうちとは
むちうちとは、交通事故などの強い衝撃により、首がムチを振るように揺さぶられることで起こる怪我のことです。
むちうちでは、事故の程度や被害者の年齢、体質などによって現れる症状が異なります。たとえば、首などの痛みや痺れ、可動域制限、吐き気、疲労感、眼精疲労、肩こり、目まい、腰痛など多岐に渡ります。
なお、むちうちは正式な傷病名ではなく、診断書などには、「頚椎捻挫」、「頚部挫傷」、「外傷性頚部症候群」などと記載されます。
むちうちで請求できる慰謝料の種類
交通事故でむちうちになった際に、請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」があります。
ここでは、それぞれの慰謝料の特徴を解説します。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」は、交通事故でむちうちなどの怪我を負い、病院に入院あるいは通院した場合に請求できる慰謝料です。被害者がむちうちになったことにより受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。
入通院慰謝料は、被害者の方が実際に入院・通院した期間を参考にして計算されます。
もし、適切に入院や通院をしていなかった場合には、入通院慰謝料を請求できなくなったり、通院期間が短い場合には低額な入通院慰謝料を受け取ることになってしまいますので、注意してください。
後遺障害慰謝料
「後遺障害慰謝料」は、むちうちが完治せず、残った後遺症が後遺障害等級に認定された場合に請求できる慰謝料です。
そのため、後遺障害慰謝料を請求するためには、後遺障害等級に認定される必要があります。
計算方法は後述しますが、認定された等級によって、金額が大きく異なってきます。そのため、症状に見合った正しい等級に認定されることが非常に重要です。
後遺障害慰謝料は、適切な後遺障害等級に認定されることが非常に重要です。認定されなかった場合は、後遺障害慰謝料を請求することができませんので、注意しましょう。
むちうちの慰謝料を計算する基準は3つある
むちうちの慰謝料は、「自賠責基準」・「任意保険基準」・「弁護士基準」の3つにもとづいて計算されます。
自賠責基準は、自賠責保険会社が慰謝料などを算出するときに使われる基準です。自賠責保険が最低限度の補償を目的としていることから、3つの基準の中で、最も低額な慰謝料金額が算出されます。
次に、任意保険基準は、任意保険会社が慰謝料などを計算するときに使用する基準です。この基準は非公開のため、計算方法などを紹介することはできませんが、おおよそ、自賠責基準と同等程度の金額となることでしょう。
そして、弁護士基準は、弁護士が交通事故の慰謝料などを算出するときに活用される基準です。過去の示談交渉や裁判で請求が認められた金額を参考にしていることから、被害者の損害に見合った適切な金額を算出することができます。
ただし、交通事故の慰謝料請求などを弁護士に依頼した場合に適用されるところに注意が必要です。
基準 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
自賠責基準 | 最低限の補償 | 最も低額 |
任意保険基準 | 任意保険会社の自社基準による | 自賠責基準と同等程度 |
弁護士基準 | 過去の示談交渉や裁判で認められた金額でまとめられている | 最も高額 |
むちうちによる入通院慰謝料の計算方法
ここからは、入通院慰謝料の計算方法をご紹介します。
なお、任意保険基準は、非公開のため、ここでは自賠責基準と弁護士基準の計算方法を解説します。
自賠責基準
自賠責基準では、「日額4,300円×総治療期間」、または、「日額4,300円×実治療日数×2」の計算式から算出された金額の少ない方が自賠責基準で計算した場合の入通院慰謝料となります。
たとえば、被害者がむちうちで病院に3か月(90日)通院し、治療を受けた日数が40日とした場合、387,000円(4,300×90)、344,000円(4,300×40×2)となります。
そして、344,000円が自賠責保険から支払われる入通院慰謝料となります。
出典・参照:自動車損害賠償保障法|e-Gov法令検索サイト
弁護士基準
弁護士基準では、別表Ⅰと別表Ⅱといった2つの算定表があり、入院・通院期間に応じた金額が決められています。
たとえば、他覚症状(医学的な視点から客観的に捉えられる症状)がないむちうちでは、別表Ⅱが適用されます。
そして、上記と同様に3ヶ月(90日)通院した場合は、53万円を請求することができます。
自賠責基準で計算した金額に比べて、より高額な入通院慰謝料を請求することができます。
弁護士に依頼することで、慰謝料の請求のみでなく、休業損害や治療費なども適切な金額で請求することが可能です。賠償金の請求や事故の対応にお悩みがございましたら、弁護士への相談を検討してみてください。
むちうちによる後遺障害慰謝料の目安
後遺障害慰謝料は、認定された等級によって異なってきます。
むちうちの場合、14級9号、または、12級13号に認定される可能性があります。
14級9号の場合、自賠責基準では32万円、弁護士基準では110万円となります。
また、12級13号の場合は、自賠責基準で94万円、弁護士基準では290万円と、金額が大きく異なります。
このように、受け取れる金額が大きく異なってきますので、適切な等級に認定されることが大切です。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93万円 | 290万円 |
14級9号 | 32万円 | 110万円 |
むちうちで後遺障害等級に認定されるためのポイント
後遺障害等級認定は、後遺症が残った場合に請求することができますが、必ず、後遺障害等級に認定されるとは限りません。
認定されなければ、後遺症が残っても、後遺障害慰謝料を請求できませんので、注意する必要があります。
そこで、ここからは、後遺障害等級に認定されるためのポイントを解説します。
治療期間が6ヶ月以上あること
むちうちで後遺障害等級に認定されるためには、治療期間が6ヶ月以上必要とされています。
そのため、通院を途中で止めたり、そもそも病院に通院していないような場合には、後遺障害等級に認定されませんので、必ず、医師の診断に従いながら、通院を継続しましょう。
症状を客観的に証明・説明することができる
後遺障害等級認定を申請するためには、後遺障害診断書の他、MRIなどで得た画像所見や、ジャクソンテストなどで得られた神経学的所見の有無が非常に重要です。
画像所見により、症状を客観的に証明できる場合には、12級13号に認定される可能性あります。
しかし、むちうちの場合は、MRIでも、原因を識別することができない場合があります、このような場合には、神経学的検査を受けて、この所見もあわせて提出してください。これにより、症状を医学的に説明可能なときには、14級9号に認定される可能性があります。
そのため、必要な検査を受けて、画像所見や神経学的所見も提出しましょう。
事故直後からの症状に一貫性・連続性がある
後遺障害等級に認定されるためには、症状が事故直後から一貫して続いていることも大切なポイントです。
症状が途中で変わっていたり、事故直後とは違う部位に症状がある場合には、一貫性・連続性が認められませんので、注意が必要です。
医師に、症状が続いていることを伝えて、その旨を後遺障害診断書に記載してもらいましょう。
労働能力が低下・喪失している
怪我が完治せず、残存している症状が、仕事などに影響を与えていることを示すことも非常に重要です。
後遺症の影響で、比較的軽微な業務しかできないことや、転職を余儀なくされたり、そもそも仕事に従事することができない場合には、労働能力の低下・喪失が認められることでしょう。
仕事に与えている影響を、後遺障害診断書に詳しく記載してもらうことで、後遺症の程度を証明する一助となりますので、記載してもらいましょう。
記載内容が不足しているようなときには、後遺症の程度を証明することができず、等級に認定されない可能性があります。そのため、記載内容をよく確認し、不足しているところがあれば、その旨を医師に伝えるようにしましょう。
むちうちで請求できる慰謝料について理解しよう
交通事故に遭い、むちうちになり、病院に入院・通院した場合や、後遺障害等級に認定された場合には、入通院慰謝料と、後遺障害慰謝料を請求することができます。
これらの慰謝料は、適用される基準によって金額が大きく異なります。また、自分で計算することも難しい場合もあるでしょう。
もし、請求するための交渉が難しかったり、加害者の保険会社から提示された金額に納得がいかないようなときには、弁護士に相談することも1つの手段です。不安やご不明点がある場合には、正しい金額で賠償金を受け取るためにも、弁護士に相談することを検討してみてください。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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