事故のむちうちが嘘であることがバレるとどうなる?疑われやすい理由などを解説
事故のむちうちが嘘であることがバレると、どのような不利益を受けるのかご存じでしょうか。 この記事では、事故のむちうちが嘘であるとバレた場合に起きることや、むちうちが嘘だと疑われやすい理由、その対処法などを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
目次
「むちうちが嘘だと保険会社にバレるとどうなるの?」
「むちうちの症状があるのに保険会社に嘘だと言われた。どうして?」
「むちうちが嘘だと言われないためにはどうしたらいい?」
むちうちは、他覚症状が認められない場合も多いため、嘘だと疑われてしまうこともあります。むちうちが嘘だと疑われた方の中には、このようなたくさんの疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、むちうちが嘘だとバレた場合のリスクや、嘘だと疑われてしまう行動について紹介しています。また、このような場合の対処法も紹介していますので、嘘の症状を伝えているのではないかと保険会社から言われて困っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
むちうちが嘘であると疑われやすい理由
追突事故の被害に遭った場合、むちうちになってしまうことがあります。
むちうちとは、身体に強い衝撃が加わり、首がムチのようにしなってしまうことで起きることがある怪我です。首に不自然な力が加わることで、首にある神経などがダメージを受け、痛みやしびれなどの症状を引き起こします。
しかし、追突事故などが原因でむちうちになり、被害者が痛みやしびれといった症状を訴えたとしても、保険会社から嘘だと言われてしまうことも少なくありません。
交通事故の被害者からすれば、自分では症状を感じているのに嘘だと言われてしまえば、ショックを受けてしまうことでしょう。
そこでまずは、むちうちが嘘であると疑われやすい理由について紹介していきます。
しかし、このような自覚症状があってもレントゲンやCT、MRIなどの画像検査では、怪我の原因を判断することができない場合があります。怪我や症状の原因の特定が難しい場合があるということを、まずは覚えておきましょう。
医学的な証拠を提示しにくいため
被害者が症状を正確に医師に伝えたとしても、「本当はもう治っているのではないか」という疑念を抱かれることも少なくありません。
なぜなら、むちうちの症状は、医学的に証明しにくいことがあるためです。
むちうちの症状は、レントゲンなどの画像検査で確認できることもありますが、多くの場合、画像での確認ができず、自覚症状のみが証拠となります。
自覚症状のみの場合、被害者が真実を話しているのか、判断が難しいことが多いです。そのため、保険会社にむちうちの怪我を負ったことが認められないことがあります。
事故から一定の時間が経過してから発症したため
むちうちの症状は、事故発生から数時間経った後や翌日などに症状が現れることがあります。この場合も、保険会社から嘘だと言われてしまう可能性があります。
むちうちの症状は事故直後ではなく、後から出てくることも珍しくありません。
なぜなら、事故直後は興奮状態になっていることがあり、痛みを感じにくい状態になっているからです。また、事故に遭ったという精神的ショックから身を守るため、事故直後は痛みを感じにくくなっているとも言われています。
そのような事情を知らない加害者側からすると、「事故直後は大丈夫と言っていたのに急に痛いと言い出すのはおかしい」「保険金目当てに虚偽の症状を申告しているのではないか」などと疑われてしまうことがあるのです。
事故の程度が軽いので怪我を負うと思われていない
軽い接触事故などでは、むちうちなどの怪我は負わないと考えられてしまうことも、嘘だと言われてしまう理由の1つでしょう。
軽い接触事故の場合、車への損傷が見られないこともあるため、衝撃の程度も軽かったと考えられてしまいます。
しかし、軽い事故で衝撃が少なかったとしても、身体に大きな負担がかかってしまうことは少なくありません。過度な力が首に加わってしまえば、軽い事故でもむちうちになってしまう可能性は十分に考えられます。
ただ、むちうちの症状は他者が目で見てわかる症状が出にくく、被害を受けた本人にしか分からないことが多いため、「この程度の事故ではむちうちにはならない」と加害者側に主張されてしまうことも珍しくありません。
軽い事故だったとしても、痛みや違和感がないか確かめて、少しでも気になることがあれば病院を受診した方が良いでしょう。
本当に嘘を言う人がいるため
むちうちの症状を訴える方の中には、ごく一部ではありますが嘘をつく人もいると言われています。
保険会社から支払われる慰謝料や治療費などを少しでも高額にしたいからと、すでに症状が良くなっているにもかかわらず、通院を長引かせているようなパターンです。
このような嘘をつくような人に不必要な慰謝料、治療費などの賠償金を支払わないために、保険会社は「本当はもう治っているのでは」「痛くないのでは」と疑いの目を向けながら対応することになるのです。
本当にむちうちの症状で苦しんでいる方からすると、ごく一部の嘘をつく方のせいで疑われるのは心外だと感じてしまうことでしょう。しかし、保険会社からすると、嘘をつく人を見抜くために疑いのまなざしを向けてしまうのです。
嘘がバレるとどうなる?
先ほども述べましたが、少しでも慰謝料や治療費などの賠償金を高くしたいがために、むちうちが良くなっているにもかかわらず、治っていないと嘘をついて通院を続けてしまう方も、ごく一部ではありますが存在するとされています。
もし、保険会社にむちうちが嘘とバレると、どのような不利益を受けてしまうのでしょうか。
ここからは、むちうちが嘘だとバレることで受ける不利益について紹介していきます。嘘をつくことで考えられるリスクについて、よく理解しておきましょう。
慰謝料が減額、または、支払われない可能性がある
むちうちが嘘であるとバレると、保険会社から支払われる慰謝料が減額されてしまう可能性があります。
交通事故の慰謝料は、交通事故が原因で怪我をして、治療が必要な方などが抱える精神的苦痛に対して支払われるものです。
むちうちの症状が回復しており、通院の必要性がないということが発覚すると、完治したと思われる日以降の通院に対する慰謝料の支払いは必要ないと判断されてしまうでしょう。
保険会社は、保険金目当てで通院の引き延ばしを請求する方を多く見ていることが予想されます。嘘をついてしまえば見抜かれてしまう可能性がありますので、真実を伝えるようにしましょう。
保険会社が支払った分の治療費を請求される可能性がある
保険金の支払い完了後、むちうちが嘘だと保険会社にバレると、今まで支払った治療費の返還を請求される可能性があります。
もちろん、治療費以外に支払われた慰謝料や休業損害などの返還を求められることも考えられるでしょう。
もし、被害者側が保険会社からの返還請求に応じなければ、裁判に発展してしまう可能性も否定できません。
もし、むちうちの症状があるにもかかわらず、嘘だと言われて治療費の返還を請求されてしまった場合には、被害者本人だけでは解決することが難しいと考えられます。この場合は、弁護士などの専門家の力を借りるとよいでしょう。
保険金詐欺に該当してしまう可能性が出てくる
慰謝料などの支払い拒否、支払った治療費の返還を請求されるだけでなく、むちうちだと嘘をついて保険金をだまし取った場合、保険金詐欺に該当してしまう可能性があるでしょう。
交通事故で起こる保険金詐欺には、保険金目的に交通事故を偽装するパターンと偶然起こった交通事故で過剰な申告をして受け取れる保険金額をごまかすパターンの2種類が考えられます。
保険金詐欺の場合、刑法第246条の詐欺罪に該当する可能性があり、もし、詐欺罪と判断されれば10年以下の懲役を科せられてしまいます。
また、保険金を受け取る前に嘘がバレてしまった場合でも、刑法第250条の詐欺未遂罪に該当してしまう可能性もあるので、注意してください。
弁護士であれば、身柄解放のための弁護活動ができたり、取り調べへの対応などのアドバイスが受けられたりするなど、力強い味方としてベストなサポートをしてくれます。
むちうちが嘘であると疑われてしまう行為
被害者の中には、気づかないうちに保険会社に疑念を抱かせるような行動をとっていることも珍しくありません。きちんと治療費や慰謝料を支払ってもらうためには、むちうちが嘘であると疑われないように、被害者が気をつけて行動することも大切です。
そこでここからは、保険会社からむちうちが嘘ではないかと疑われてしまう行為を紹介していきます。自分が嘘だと疑われてしまうような行為をしていないか、確認しながら見てください。
通院の頻度が多いもしくは少ない
通院頻度が多すぎても、反対に少なすぎても疑われてしまう可能性があります。
交通事故でむちうちになった場合、週に2~3日通院して治療を受けるのが一般的です。
意味もなく毎日通院するなど、極端に回数が多い場合には「完治しているのに過剰通院しているのではないか」と疑われてしまうでしょう。
また、月に1~2日しか通院しないなど、極端に少ない場合にも「治療する必要がないのに通院を続けているのではないか」と疑いの目を向けられてしまいます。
むちうちが嘘だと疑われている場合には、通院頻度が適正であるのか確認してください。
もちろん、被害者の症状によっては、「毎日通院してほしい」と医師から言われることもあります。このような医師からの指示がある場合には、それに従って通院するようにしましょう。
むちうちの症状に一貫性がない
事故でむちうちが噓だと疑われてしまう理由として、むちうちの症状を説明するときに、一貫性がない主張をしてしまうことも挙げられるでしょう。
むちうちの症状は、首の痛みだけでなく、しびれや凝り、めまい、耳鳴り、吐き気、倦怠感などさまざまです。
最初は、首の痛みだけを訴えていても、時間の経過とともに異なる症状を訴えるようになると、嘘ではないのかと疑われてしまう可能性があるでしょう。
また、むちうちでは首だけでなく、頭や腕、背中、肩といった部位にも症状が出ることも少なくありません。
そのため、違和感がある部位についても、初診時から医師に相談しておくとよいでしょう。
むちうちが嘘であると思われないための対処法
交通事故などが原因で、むちうちになった場合の平均的な通院期間は3~6ヶ月程度と言われています。症状の重い人の場合、6ヶ月以上の通院が必要になることがありますし、治療を続けたにもかかわらず、症状が完治せず、後遺症が残ってしまうこともあるでしょう。
長い治療期間に苦しんだにもかかわらず、むちうちが嘘だと疑われた場合は、正当な保険金の支払いを受けられない可能性が出てきてしまいます。保険会社から、むちうちは嘘だと疑われないためにも、被害者はどのように対処したらよいのでしょう。
ここからは、むちうちが嘘であると思われないための対処法を4つ紹介していきます。
現在、交通事故が原因のむちうちで通院している方は、不要な疑いを持たれないように、以下で紹介することを試してみてください。
安易に保険会社の要求を受け入れない
保険会社の中には、自社の利益を確保したいがために、むちうちは嘘ではないのかと疑ってくることも少なくありません。
保険会社は、被害者の味方のように感じられますが、加害者のために動く会社であり、自社がなるべく損をしないように考えて交渉します。
被害者の言葉をすべて聞き入れてしまうと、保険金額が膨らみ、保険会社の利益が失われるため、早期に治療を終了させようとしてくるでしょう。
この時に、安易に受け入れてしまえば、治療費の支払いが打ち切られてしまうため、まずは医師に相談しましょう。
画像検査や神経学的検査を受ける
交通事故でむちうちを発症した場合、嘘だと疑われないためには画像検査や神経学検査を受けましょう。
整形外科で画像検査を受ける場合は、レントゲンやCTだけでなく、MRI検査も受けるようにしてください。
レントゲンは、骨の異常を発見することに向いているため、骨折や骨にできたヒビを見つけることはできますが、神経や靭帯、筋肉といった軟部組織の異常を見つけることはできません。
しかしMRI検査では、軟部組織を写せる可能性があるため、筋肉や靭帯などの異常を発見でき、むちうちであると証明できる可能性があります。
もしも、MRI検査で原因が判別できない場合でも、神経学的検査を受けることができます。
神経学的検査とは、医師が手や器具などで患部を直接刺激し、異常を見つけるための検査です。神経学的検査には、ジャクソンテストやスパーリングテスト、神経根症状誘発テスト、筋萎縮検査などさまざまな種類があり、むちうちの症状を明らかにできる場合があります。
主張する症状がブレないよう工夫する
画像検査や神経学的検査を受けても、むちうちの原因が見つけられないこともあります。
他覚的所見を取得できない場合、被害者の自覚症状のみが証拠となるため、主張する症状がブレないようにすることが重要です。
診察のたびに違う症状を訴えたりすると、「そもそも症状は無いのではないか」「すでに完治しているのでは」と疑われかねません。
主張する症状がブレないように、前回の診察ではどのように伝えたのか、次の診察で伝えることなどをメモに残しておくとよいでしょう。
医師に診断書を作成してもらう
保険会社に保険金を請求するためには、診断書が必要です。事故後にむちうちの症状が出たら、整形外科に通院し、診断書を作成してもらいましょう。
診断書は、医師のみが作成することができます。整骨院や接骨院などでは、診断書の作成はできませんので注意してください。
なお、疑われないためには、たとえ症状がなくても、事故直後から整形外科を受診することがおすすめです。
事故からある程度時間が経過した場合、「事故との因果関係はない」などと判断されてしまう可能性があります。早期に受診しておくことで、事故との因果関係を疑われる可能性は低くなるでしょう。
出典・参照:医師法|e-Gov法令検索
なお、自分で記載内容を確認しても、内容に不備がないのか判断が難しい場合もあるため、弁護士への相談を検討してみてください。被害者の状況を入念に確認して、診断書の内容を判断していくことが可能です。
病院でもむちうちが噓であると思われてしまった場合
場合によっては、病院でもむちうちが嘘ではないかと疑われてしまうことがあります。病院で、むちうちが嘘だと言われてしまった場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
病院でむちうちが嘘だと言われたら、セカンドオピニオンや転院を検討してください。セカンドオピニオンとは、患者が納得のいく治療を受けられるように、他の医師の意見を聞くために行われるものです。
セカンドオピニオンを受けるためには、現在の担当医に、他の医師の意見を聞きたいことを伝え、紹介状などを作成してもらうとよいでしょう。
そして、セカンドオピニオンの結果、納得のいく治療が受けられそうだと感じたら、転院を検討するとよいでしょう。
ただし、転院を繰り返していうと、治療費の支払いなどでトラブルが生じてしまうこともあるため、慎重に判断しましょう。
むちうちの症状は正確に伝えるようにしよう
ここまで、むちうちの症状が疑われやすい理由や、疑念を抱かれる行為などを紹介してきました。
嘘がバレた際には、慰謝料が減額されたり、治療費の返還を請求されたりする可能性があるでしょう。
また、悪質な場合には保険金詐欺として訴えられてしまう可能性も否定できません。
そのため、事故のむちうちが嘘とバレたときのリスクを覚えておきましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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