後遺障害診断書の取得方法や内容を解説!作成のポイントや注意点も
後遺障害診断書の取得方法や内容をまとめています。症状固定の診断を受けてから作成を依頼するタイミングや、等級が認定される書き方のポイントなども解説!後遺障害診断書を、病院の医師に作成してもらえないケースも説明するため、チェックしてみてください。
目次
後遺障害診断書の取得方法や記載内容を解説!
交通事故による怪我の症状が、一定期間の治療を受けて回復しない場合は、後遺障害とみなされることがあります。その際に作成する重要な書類が、後遺障害診断書です。
本記事では、後遺障害診断書の取得方法や記入内容、作成におけるポイントや注意点などを、徹底解説します。また、診断書を取得したあとの流れも説明するため、参考にしてください。
後遺障害診断書の基礎知識
後遺障害診断書は等級認定の申請に必要な書類
交通事故による治療を一定期間で受けると、医師から症状固定という診断をされることがあります。症状固定とは、この先治療を続けても、回復する見通しがないことを意味します。
その時点で残っている症状は、後遺障害とみなされるため、医師へ後遺障害診断書の作成依頼が必要です。後遺障害診断書は、のちの等級認定の申請手続きに必要になるため、必ず作成してもらいましょう。
後遺障害診断書とは、後遺障害の具体的な症状を客観的に記載した書類です。
後遺障害診断書は、被害者の後遺障害等級認定の結果に影響を及ぼす重要なものです。出典: atomfirm.com
後遺障害診断書は誰がいつ作成する?
後遺障害診断書が作成されるのは、医師から症状固定と診断されたあとです。また、怪我の種類や程度によって、症状固定の時期が異なります。むちうちの症状で、事故発生から6ヶ月後くらいが一般的です。
後遺障害診断書は、治療をしてくれた担当の医師によって作成されるのが、原則です。また、複数の後遺症があり、いくつかの科に通院している場合は、それぞれの科で作成することもあります。
後遺障害診断書は整骨院や接骨院では作成できない
後遺障害診断書は、整骨院や接骨院で作成できません。なぜなら、整骨院や接骨院の施術は、柔道整復師が施術を行い、医師ではないためです。
したがって、交通事故で怪我をしたら、まずは整形外科などの病院へ通院してください。整骨院(接骨院)だけでは、事故と怪我の因果関係を証明することも難しくなります。
後遺障害診断書の取得方法や記載内容
自賠責保険会社に書式を請求する
後遺障害診断書を作成してもらうにあたり、まずは書式が必要です。書式は自賠責保険会社に請求すれば、自宅などに郵送してくれます。または、ネットで「自賠責保険の後遺障害診断書」からダウンロードすることも可能です。
書式は全社で共通しているため、どの保険会社のものでも問題ありません。書式が入手できたら、医師に渡して作成を依頼します。
後遺障害診断書の記載内容
後遺障害診断書の内容は、のちの等級認定の審査に大きく影響します。そのため、不備や不足がないように、注意しなければなりません。後遺障害診断書の記載内容は、以下の通りになります。
氏名 | 氏名、住所、生年月日など被害者の基本情報 |
---|---|
受傷年月日 | 事故日 |
症状固定日 | 医師が症状固定と判断した日 |
当院入院期間・通院期間 | 病院に入院および通院した期間(実日数) |
傷病名 | 頚椎捻挫、大腿骨骨折などの傷病名 |
自覚症状 | 被害者が訴えている症状 |
他覚症状および検査結果 | 画像等の検査から他覚的所見 |
障害内容の増悪・緩解の見通し | 医学的知見に基づいた今後の見通し |
後遺障害診断書の作成にかかる期間と費用
後遺障害診断書の作成期間はさまざまです。作成を依頼した当日に取得できることもあれば、1週間~1ヶ月ほどかかることもあります。
費用においては、病院によって異なります。1通あたり、およそ5000円~1万円の費用を要するのが一般的です。等級認定された際に、保険会社に作成費用を支払ってもらえる可能性もあるため、領収証はきちんと保管しておきましょう。
後遺障害診断書を取得する際のポイントと注意点
ポイント①一貫性と連続性のある症状を医師に伝える
医師へ症状を伝える際は、事故発生後から痛みなどの症状が、継続していることを伝えるのがポイントです。症状に一貫性があれば、事故と怪我による症状の因果関係が、認められやすくなります。
訴える症状がいつも違うと、事故と後遺症の因果関係を認めてもらえないケースもあるため、気をつけてください。
ポイント②正確な自覚症状を医師に伝える
先述したように、後遺障害診断書の内容には、自覚症状を記入する箇所があります。等級認定の審査の参考にもされるため、自覚症状は詳細に書いてもらうことがポイントです。そのためにも、自分の症状は正確に医師へ伝えておきます。
例えば、背中の痛みを伝えず、診断書に記入されなかった場合、背中の痛みは等級認定の対象にはなりません。あらかじめ、自分の症状をメモに記録しておくと、医師への伝え漏れがなくて良いです。
注意点①診断書を受領したら必ず内容確認をする
医師から診断書を受け取ったら、伝えた症状が正確に記入されているか、記入漏れがないかを確認してください。
症状固定日や受けた検査内容も間違っていないか、チェックが必要です。もしも、修正や追加で記入してもたいたいことがあれば、その旨を医師に伝えましょう。
注意点②診断書の書き直しがある場合は弁護士に依頼する
検査内容など専門的な部分の再作成依頼は、自分だけでは分からず戸惑うこともあるでしょう。修正依頼をする理由を、きちんと医師に説明できなければ、再作成は難しくなる可能性もあります。
自分で行うのが困難な場合は、弁護士に依頼するのも、ひとつの方法です。等級認定の審査に重要な部分の修正を、弁護士から医師に伝えてくれるため安心です。
後遺障害診断書を取得したあとの流れ
後遺障害等級認定の申請をする
取得できたら、後遺障害等級認定の申請手続きを行います。認定された場合は、後遺障害慰謝料と逸失利益の請求が可能です。後遺症障害慰謝料においては、認定された等級によって慰謝料額が異なります。
逸失利益とは、後遺障害が原因で働くことが困難になり、減収したことに対する補償です。後遺障害の等級を決定する資料として、後遺障害診断書は非常に重要な書類になります。
申請手続きには被害者請求と加害者請求がある
後遺障害等級認定の申請手続きには、加害者請求と被害者請求の2通りがあります。被害者請求は、申請手続きを自分で行う方法です。そのため、申請に必要な書類を自分で集めるなどの、手間がかかります。
しかし、自分で確認しながら手続きを進めるため、認定申請に不利になる記入漏れを、防げるメリットがあります。
一方、加害者請求は、相手側が加入している保険会社が、手続きを進める方法です。書類の収集なども保険会社がしてくれるため、手間が省けて簡単です。
しかし、自分で確認できないため、送付書類や手続きの進行状況が不明慮であり、不安要素が残ることもあります。
被害者請求で申請する場合、被害者側で適切な立証をした上で申請することができますので、
加害者請求よりも適切な等級に認定される可能性が高くなります。出典: jiko.in
後遺障害診断書を作成してもらえないケース
ケース①症状固定と診断されていない
後遺障害診断書は、症状固定と診断されたあとに作成されるものです。したがって、症状固定の診断を受けていない時点では、医師が診断書作成を拒否する可能性が高いです。このような場合は、症状固定に至るまで、通院して治療を継続する必要があります。
ケース②病院へ1度しか通院していない
事故後に1度しか病院へ行っておらず、あとは整骨院や接骨院ですべて治療したという人もいます。このような場合、病院の医師は1度しか診察をしていないため、患者の怪我の経過がわかりません。
そのため、診断書作成を拒否されるケースもあります。整骨院(接骨院)に通院していても、定期的に病院で診察を受ける方が良いです。
ケース③転院した病院が症状経過を把握していない
治療中に何らかの理由で、転院するケースもあるでしょう。転院する時期が、ある程度の期間治療をしたあとの場合は、転院先の医師が診断書を作成してくれないこともあります。なぜなら、治療期間が短くて、患者の症状や経過をよく把握できていないからです。
もしも、転院を考えているならば、転院先の病院に後遺障害診断書を作成してもらえるか、事前に確認してください。
後遺障害診断書は後遺障害等級の認定に関わる重要な書類
後遺障害診断書は、記載される内容によって、等級認定の審査に大きく影響します。有効な診断書を作成してもらうためには、自分の症状を正確に医師へ伝えることです。
また、すべての医師が、診断書作成に慣れているわけではありません。そのため、作成された診断書に記入漏れがないかも、しっかり確認しておきましょう。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
記載されている内容は※2022年3月29日 12:55:08 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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