症状固定は誰が決める?後遺障害等級認定の手順やトラブルも紹介!
症状固定は誰が決めるのか解説しています。交通事故で症状固定となったときに医師と起こりうるトラブルや、損害賠償請求権の時効についても解説。症状固定までの期間を決めるのは誰なのか、後遺障害が残ったときの流れも参考にしてください。
目次
症状固定は誰が決めるのかを詳しく解説!
交通事故で怪我をした場合、完治するまで通院することになります。しかし、残念ながら、怪我が完治せずに、後遺症が残るケースもあります。
怪我が完治しなくても、症状固定まで通院することが重要なのですが、症状固定の時期を決めるのは誰なのでしょう。本記事では、交通事故で怪我をしたときに重要な、症状固定について解説しています。
症状固定を決めるのは誰なのか、被害者が損をしないためのポイントについてまとめています。症状固定の期間や、注意すべき点についても知っておきましょう。
症状固定の基本情報と決定後の注意点
症状固定とは?
「症状固定」とは、治ってはおらず症状は依然として残っているものの、一般的な治療を行ってもその治療効果が期待できなくなった状態を言います。
交通事故で怪我をした場合、病院を受診し治療を受けます。通院を続けて怪我が完治する場合と、症状が残っているにもかかわらず完治しない場合があります。
治療を続けても、これ以上怪我が良くなる見込みがない状態が症状固定です。まだ症状が残っている状態であるため、被害者にとっては辛い状況といえるでしょう。しかし、治療を続けても完治する見込みがなければ、どこかで通院に区切りをつけなければなりません。
症状固定を決めるのは誰なのか、さらにどのタイミングで症状固定となるのか知っておかないと被害者が損をするケースもあります。そのため、後遺症が残った被害者にとって、症状固定を決めるタイミングはとても重要といえます。
注意点①損害賠償請求権の消滅時効がスタートする
交通事故の被害者は、怪我をしたり車両が損壊することで、経済的にも精神的にも大きな損害を負うことになります。被害者はこのような損害に対して、加害者へ損害賠償を請求する権利があります。それが、損害賠償請求権です。
しかし、損害賠償請求権には時効があります。時効になると、損害賠償を請求する権利が消滅するため、注意が必要です。時効の起算日は、損害及び加害者を知った日の翌日となっています。
交通事故の怪我が原因で、後遺障害が残ってしまったことによる損害の確定は、症状固定日とされています。後遺障害による損害の損害賠償請求権の時効は5年です。時効は、損害を知った日の翌日から、つまり症状固定日の翌日から5年となるため注意しましょう。
注意点②交通事故の損害賠償請金が変わる
症状固定後は、休業損害などの賠償金を請求できなくなります。休業損害とは、交通事故による怪我が原因で仕事を休んだ際の、収入を補償する賠償金です。
そのため、症状固定日は、損害賠償の金額が変わるタイミングといえます。しかし、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定の申請を行うことで、逸失利益や後遺障害慰謝料を請求することができます。
注意点③治療費の請求ができない
症状固定となると、その日以降、病院で治療しても治療費の請求ができません。もう完治する見込みはないと判断されるため、治療費が請求できなくなるのです。
後で症状が現れて治療したとしても、相手側の保険会社へ請求することはできません。もちろん通院すること自体は可能ですが、治療費は原則自費で支払うことになります。そのため、症状固定を決めるタイミングは慎重に決めるべきです。
症状固定を決める人と決定までの期間
症状固定は誰が決める?
交通事故で怪我を負った場合、症状固定のタイミングが非常に重要であることが分かったと思います。この症状固定を決めるのは、一体誰なのでしょうか?
症状固定を決めるのは、通院先の医師です。しかし、怪我を負って治療を受けているのは、交通事故の被害者自身です。
医師が症状固定の時期を決めるとはいえ、まだ治療を受けたいのであれば、治療の必要性を訴えることが大切です。さらに、医師によっては、積極的に症状固定を決定しないケースもあります。被害者から働きかけないと、症状固定を決定しない医師もいるため注意が必要です。
また、保険会社が「そろそろ治療を終了しましょう」と打ち切りを打診してくることもあります。しかし、症状固定を決めるのは保険会社ではありません。保険会社は定期的に、治療経過や症状をチェックしています。しかし、症状固定の決定権は無いため、治療が必要であれば、しっかり医師と話し合うことが重要です。
症状固定されるまでの期間
交通事故の怪我には種類があり、症状もさまざまです。そのため、一概に症状固定までの期間を決めることはできません。しかし、症状固定までの期間には、一定の目安があります。
保険会社が治療の打ち切りを打診する症状固定までの期間は、「DMK136」が基準です。交通事故による怪我で多いDは打撲で1ヶ月、Mはむちうちで3ヶ月、Kは骨折で6ヶ月が目安になります。しかし、あくまでもこの数字は目安です。
症状や完治するまでの期間には個人差があるため、症状固定日は医師と相談の上、慎重に決めるようにしましょう。また、症状固定までの期間が6ヶ月未満だと、後遺障害等級を認定されにくくなります。6ヶ月未満でももちろん認めてもらうことは可能ですが、医学的な証拠が必要です。
症状固定後に後遺障害等級認定を申請する手順
流れ①後遺障害診断書の作成を依頼する
症状固定後は、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことになります。手続きには、後遺障害診断書が必要になるため、医師に作成を依頼しましょう。
後遺障害等級の認定は、この後遺障害診断書をもとに行われます。後遺障害等級の認定を左右する、とても重要な書類です。
また、後遺障害診断書は医師にしか作成することができません。そのため、病院に適切に通院することが必要になります。整骨院や接骨院と併用して通院する場合は、特に注意しましょう。
流れ②後遺障害等級認定の申請を行う
後遺障害等級認定の手続きには2つの方法があり、それぞれ、メリット、デメリットがあります。事前認定は、加害者側の任意保険会社に全ての手続きを行ってもらう方法です。後遺障害診断書を相手保険会社へ提出すれば、あとは結果を待つだけです。
わずらわしい手続きや書類集めを行う必要がない点は大きなメリットですが、加害者側の保険会社が被害者の利益を優先するとは考えにくいでしょう。
被害者請求は、全ての書類を被害者自身で集める必要があります。手間がかかる点はデメリットですが、被害者自身で書類を精査し、納得のいく形で進めることができる点が大きなメリットです。どちらにもメリット、デメリットがあるため、どの方法で申請するかよく考えて決めましょう。
流れ③後遺障害等級認定の結果が通知される
後遺障害等級認定の結果が出るまでの期間は、1〜2ヶ月ほどです。高次脳機能障害などの複雑な障害や、複数の後遺障害が残っている場合は、調査まで半年から数年かかるケースもあります。しかし、それほど複雑でない場合は、ほとんど1〜2ヶ月で調査が完了します。
結果に納得がいかない場合は異議申立てが可能
後遺障害等級認定が非該当になったり、等級結果に不服がある場合は異議申し立てすることが可能です。異議申し立てにも、事前認定と被害者請求の2種類の方法があります。異議申し立てが認められる確率は決して高くはありませんが、納得いかない場合は手続きしましょう。
症状固定で起こるトラブル
トラブル①保険会社に症状固定を打診される
加害者側の保険会社に「症状固定の時期であるため治療費を打ち切ります」と言われたら、まずは医師に相談しましょう。まだ治る余地がある場合は、治療を続けるべきです。
先ほど説明したように、症状固定までの期間は医師が決めるものです。保険会社に決定権はないため、安易に治療打ち切りの打診を受けないようにしましょう。
トラブル②医師が後遺障害診断書を書いてくれない
後遺障害等級認定に必要な後遺障害診断書を、医師が作成してくれないケースもあります。症状固定後に転院したとしても、経過がわからなければ、別の医師も後遺障害診断書を書くことができません。
そのため、通院していたかかりつけ医に後遺障害診断書を書いてもらうよう説得する必要があります。自身で説得するのが難しい場合は、弁護士に医師の説得を依頼するのもひとつの方法です。
症状固定は保険会社ではなく医師が決める
症状固定を決めるのは、保険会社ではなく医師です。そのため、保険会社から症状固定の打診が来ても、安易に受けないようにしましょう。
また、症状固定後は、損害賠償請求権の時効がスタートし、治療費も請求できなくなります。損害賠償金額も変わるため、症状固定は医師と話し合いの上、慎重に決めましょう。
この記事のライター
伊藤
女の子と男の子の子育てをしながら、フリーライターをしています。交通事故や怪我に関する疑問を解決できるよう、主婦目線でわかりやすく説明していきます。
記載されている内容は※2022年4月19日 11:01:45 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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