軽い症状のむちうちの有効な治し方とは|治療法や費用などについて解説
むちうちになった時の有効な治し方をご存じでしょうか。今回の記事ではむちうちの治療法やむちうちを疑われた時の対処法、むちうちにならないための予防法などについて紹介しています。むちうちになった方、むちうちを予防したい方はぜひご覧になってみてください。
目次
むちうちって何?
「むちうち」とは、交通事故の衝撃により首がムチのようにしなり、頭が揺さぶられることで起こる症状の総称です。むちうちは正式な傷病名ではなく、基本的に「頸椎捻挫」や「外傷性頸部症候群」と診断されます。
むちうちが軽い場合は少し首が痛い程度ですむこともありますが、重かった場合はなかなか完治しないこともあります。症状として首の痛みやしびれ、頭痛やめまい、吐き気などが起こる可能性があります。
出典・参照:むちうち(頸椎捻挫)|あいちせぼね病院
また、事故が発生してから受診するまでに時間が空いていまうと、治療費が支払われなかったり、早く打ち切られたりすることも考えられます。この記事では、むちうちの症状や治療法などについて解説しています。
むちうちの種類は?症状でチェックしよう
むちうちと言っても、「頸椎捻挫型」・「バレー・リュー症候群」・「神経根症状型」・「脊髄症状型」・「脳髄液減少症」の5種類があります。
ここでは、5種類のむちうちについて、それぞれの原因や症状を解説します。
【頸椎捻挫型】頭を支える首の損傷
むちうちの「頸椎捻挫型」は、頸部の筋肉や靭帯といった軟部組織が損傷することで、症状が起こります。むちうちと診断された場合の約7割が、この頸椎捻挫型と言われています。
頸椎捻挫型の症状としては、首の痛み、首を動かすと痛いといった可動域制限、首や肩のこり、頭痛などがあります。
出典・参照:むちうち症について|東野整形外科医院
【バレー・リュー症候群】自律神経の損傷
むちうちの中でも自律神経が損傷した場合に起こるのが、「バレー・リュー症候群」です。
首の交感神経や副交感神経の異常、自律神経の機能障害(失調)などにより頭痛やめまい、吐き気や耳鳴りといった症状が出ることがあります。
事故により心因的ストレスを受けた場合も、バレー・リュー症候群に影響すると考えられています。
出典・参照:むちうち症について|東野整形外科医院
【神経根症状型】神経の根本への過負荷
交通事故の衝撃によって首がしなり、頸椎の並びにゆがみができたり脊髄からの神経根に障害が起こった際になるのが、「神経根症状型」です。
神経根症状型では首の痛みだけでなく腕の痛みやしびれ、脱力や運動麻痺、場合によっては後頭部や顔面が痛むといった症状が出ることがあります。
首を曲げたり回したり、せきやくしゃみをした際に痛みが強まるという特徴もあるでしょう。
出典・参照:むち打ち症|木村クリニック
【脊髄症状型】脊髄の損傷
「脊髄症状型」は、交通事故の影響で、頚椎の脊柱管を通る脊髄や、下肢に通じる神経を損傷することで起こります。
脊髄症状型(脊髄損傷)の特徴は、症状が出るのが上半身に限らないことです。損傷した神経によっては、下肢の知覚異常やしびれなどが起こり、時には排尿や排便が困難になることもあります。
出典・参照:むち打ち症|木村クリニック
【脳髄液減少症】脳髄液の漏れ
「脳髄液減少症」は事故の衝撃などにより、脳脊髄を守る働きをしている脳髄液が漏れたことで起こる症状だと言われています。しかし、この症状についてはまだ分からないことが多く、研究段階です。
脳髄液減少症の症状としては、頭痛やめまい、首の痛みや耳鳴り、機能障害や倦怠感などがあるとされています。症状の変動が大きく、症状が軽い時は普通と変わらない状態で過ごせることもあるようです。
出典・参照:脳脊髄液減少症について|宮崎県
むちうちになったらどうしたらいい?
むちうちになったかもしれない、そう思った時はどうすればいいのでしょうか。
もし、交通事故が物損で処理されているなら、速やかに病院(整形外科)を受診して診断書を書いてもらい、警察に提出するなどして人身事故に切り替える手続きを行ってください。
なお、整骨院や接骨院、鍼灸院などを利用したい場合もまずは医師の診断を受け、医師から指示を受けて通うようにしましょう。無断で通うと、適切な治療費や慰謝料が支払われなくなる可能性があります。
むちうちの症状が軽くても通院した方がいい?
軽いむちうちならすぐに痛みが消えると考えたり、仕事が忙しいから病院に行きたくないと思ったりして、通院を避ける方もいるかもしれませんが、適切な治療費を受け取りたいならば、きちんと病院の通院を続けた方がいいでしょう。
通院実績がないと、痛みが残っているのに治療費を打ち切られてしまうことがあります。まだ痛みがあると主張しても、医師の診断を受けていなければ覆すことは難しいでしょう。
むちうちについての通院先の種類
むちうちで通院する場合、病院やクリニックの整形外科、整骨院・接骨院、鍼灸院といった通院先が考えられます。
ここでは、それぞれの通院先によってどのような違いがあるのか、通院する際の注意点はないのか解説しています。
病院やクリニックの整形外科
むちうちが軽くても通院した方がいいのが、病院やクリニックの整形外科です。むちうちの症状を自覚していなくても、交通事故にあったらまずは整形外科を受診することをおすすめします。
整形外科に通院する理由は、これらが医療機関であり、医師に診断書を書いてもらえることです。医療機関である整形外科では検査や投薬といった医療行為を受けられますし、人身事故の届出や慰謝料の請求には医師の診断書が必要です。
交通事故にあったら、まずは病院やクリニックの整形外科に通院しましょう。
整骨院・接骨院
むちうちになった際、整骨院や接骨院も通院先の候補となります。整骨院・接骨院では柔道整復師が施術を行い、むちうちの痛みを緩和させてくれるでしょう。
しかし、医師の確認を受けず、整骨院・接骨院へ無断で通った場合、保険会社が治療費の支払いを拒否する可能性があります。整骨院・接骨院へ通院したいならば、まずは整形外科の医師の確認を受けてから、保険会社の了承を得てから通うようにしましょう。
鍼灸院
鍼灸院では、「はり師」や「灸師」が施術を行ってくれます。
しかし、整骨院・接骨院へ通院する場合と同じく、無断で通院すると保険会社が治療費の支払いを拒否する可能性があります。あらかじめ医師に相談し指示を受け、保険会社から鍼灸院へ通うことの許可を得てから通院しましょう。
病院やクリニックだけでなく、整骨院・接骨院や鍼灸院に通院することもできます。しかし、整骨院・接骨院や鍼灸院は、医師の確認を受けずに通院すると、やはり治療費が支払われない可能性があるので注意しましょう。
むちうちは自分で治すことができるの?
むちうちの症状が軽かった場合、冷湿布や温湿布を使った治し方で自分でも治せるのでは、と考えてしまう人がいます。しかし、むちうちはきちんと通院していたとしても、完治しないことがあるほど治すことが難しい症状です。
とくにむちうちには、急性期と慢性期と呼ばれる時期があり、それぞれに適切な治し方が違うという特徴があります。自己判断で治療してしまうと、かえって悪化させてしまうこともあるでしょう。
たとえ、むちうちの症状が軽くても、病院やクリニックの整形外科に通院することをおすすめします。
むちうちをできるだけ早く治すには
むちうちは改善するまでに時間がかかってしまう場合があります。早く治すには、むちうちの症状に合わせて適切な治療を受ける必要があります。
ここでは、急性期と慢性期のそれぞれのむちうちについて、適切な治し方を解説します。
急性期の場合
急性期というのは、事故にあってむちうちになってから数日~1ヶ月程度の時期を指します。
この時期は安静にしましょう。体を温めることは避けた方がよいため、数日は湯船には入らずシャワーのみですませた方がいいでしょう。
アイシング・冷湿布を使って患部を冷やすことがあります。
慢性期の場合
むちうちの炎症や痛みが落ち着いてくると、慢性期の時期に入ります。
慢性期は温める、少し動かして可動域を増やす、マッサージなどで血行を促進させるといった治療法があります。リハビリや牽引をしたり、整骨院・接骨院へ通って施術を受けるようになるのもこの時期です。
軽いむちうち症状は疑われることが多い!症状別の対処法
むちうちの痛みを訴えても、本当にむちうちになっているのかと疑われてしまうことがあります。
どうしてむちうちの症状があることを疑われてしまうのか、その理由や疑われないようにするための対処法を解説します。
交通事故から発症までに時間がかかる
交通事故で怪我をしていれば、すぐに病院に搬送されます。しかし、むちうちの場合は事故直後には怪我をしていることが分からず、本人も事故の興奮状態にあって痛みに気づけず、当日の夜や数日してから発症してしまうことがあります。
事故から発症までに時間差があるため、事故直後は症状がなく、後から出てきたような場合、人身事故だと主張しても、加害者側や保険会社に疑われてしまう可能性があるのです。
対処法として、症状がなくても事故にあったらすぐに病院(整形外科)へ行くこと、症状が出たらすぐに検査を受けておくことをおすすめします。
また、事故の直後は痛みがなくても、数日後に症状が出るケースも少なくありません。後から人身事故だと主張して加害者や保険会社とトラブルになるのを避けるためにも、症状がなくてもまずは整形外科を受診するようにしましょう。
画像検査で異常が見つからない
むちうちで実際に症状が出ているのに、レントゲンやMRI検査などの画像検査では異常が見つからないことがある、ということもむちうちの特徴です。
レントゲンやMRI検査ではっきり異常を確認できれば、むちうちの症状が出ていることが一目で分かります。しかし、むちうちの場合は画像検査で異常が見つかるとは限りません。本当に怪我をしているのかどうかが検査でも判明しにくいことが、疑われる原因となっています。
画像検査で異常が見つからなくても、症状があるならばきちんと病院(整形外科)に通院しておきましょう。
軽い事故だった場合の怪我
交通事故にあったけれど事故自体が大したことがなく、車に大きな破損などもないのにむちうちになったような場合、本当にむちうちなのかと疑われてしまうことがあるでしょう。
むちうちは、首がムチのようにしなることで起こる症状です。軽い事故でも追突のように不意の衝撃を受ける事故では、むちうちになる可能性は充分にあります。しかし、怪我をしていることが見た目から分からないため、疑われてしまうことがあるのでしょう。
対処法としては、やはりきちんと症状があることを訴えるためにも病院(整形外科)に通院し、画像検査などを受けておくことをおすすめします。
むちうちの症状を証明する証拠がない
普通の怪我であれば外傷がありますし、骨折や脱臼などをしていればレントゲンやMRI検査で分かります。しかしむちうちの場合、痛みがあってもレントゲンやMRI検査で分からず、見た目でも分からないため、実際に怪我をしていることを証明するのが難しいのです。
本人はむちうちの症状に悩まされているのに、見た目にも画像検査にも異常がなければ証拠がなく、それを証明することができません。
証拠がなくとも、むちうちできちんと病院(整形外科)に通院していれば、医師から治療などが必要だという見解を出してもらえるでしょう。症状があるなら、きちんと通院しておくことが大切です。
治療が必要だと証明して、治療費の支払いを拒否されるのを避けるためにも、医師に診断書を書いてもらい、きちんと治療や施術を受けるようにしましょう。
むちうちが完治するまでの通院期間は?
軽いむちうちだった場合、1ヶ月~3ヶ月程度の通院期間で完治することが多いでしょう。
しかし、むちうちの症状が重い場合は、適切な治し方をしていても完治までに時間がかかることがあります。治療期間の目安は3ヶ月だと言われていますが、症状によっては完治までに半年ほどかかったり、ひどい場合は数年経っても完治しないケースもあるでしょう。
むちうちは予防できる?
むちうちはある程度、予防することができます。むちうちは首が大きくしなることで起こるため、予防するためにも車の座席を調整したり、姿勢に注意したりすることが重要です。
たとえば、座席のヘッドレストの位置を調整してヘッドレストの中心を耳の穴より上の位置にする、運転時の姿勢が前かがみにならないように座席を調整する、頭を支えられるように筋力を鍛えておくといった予防方法があります。
いきなり筋力をつけるのは難しいでしょうが、ヘッドレストの位置の調整や運転姿勢の見直しはすぐにできます。むちうちにならないように対策しておきましょう。
交通事故が原因の軽いむちうちで支払われるお金とは
交通事故が原因でむちうちになった際、それが軽いむちうちであっても支払われる可能性のあるお金は以下の6つとなります。
この中には軽いむちうちであっても無条件で支払われるお金もありますが、条件を満たさないと支払われないお金もあります。
むちうちの治療費
軽いむちうちでも、その治療のための治療費は加害者や任意保険会社に請求できます。
治療費の内訳の中には、入院した場合の入院費用や通院費用、レントゲンやMRIといった画像検査の費用、投薬料などが含まれています。治療のために要した費用は治療費として、実費で支払われるでしょう。
むちうち治療の通院費
軽いむちうちで通院する際に、自家用車を使った場合はガソリン代、電車・バスなどの公共交通機関を利用した場合はその交通費を支払ってもらえます。
もしタクシーを利用したい場合は、歩行に支障をきたしているケースや、自宅から最寄り駅まで1時間以上かかるといったケースで、タクシー代が通院費として認められる場合があります。
通院の際に高速道路を使う際の料金や駐車(駐輪)の費用についても、通院のために必要だと認められれば支払ってもらえるでしょう。
必要に応じた入院費や雑費
軽いむちうちでも入院した際は、治療費として支払ってもらえます。
治療費以外にも入院に関わる費用として、入院のための日用雑貨の購入や電話代や切手代を含む通信費、テレビカードや雑誌購入などの文化費などが発生します。これらの費用も入院雑費として支払ってもらえるでしょう。
ただし、入院雑費には1日の入院につきいくらまでという上限があります。自賠責基準で1日の入院につき1,100円まで、弁護士基準で1日あたり1,500円まで認められるでしょう。
事故による休業損害
軽いむちうちでもその症状の影響により仕事を休まざるをえなくなった場合、休業損害が支払われます。
なお、休業損害は有給休暇を取得したことで収入が減少しなかった場合でも請求できます。さらに、通常は給料が発生しない専業主婦も請求が可能です。
休業損害は1ヶ月ごとに申請できるため、もし長く仕事を休まざるをえなくなってしまった場合でも安心できるでしょう。
慰謝料請求
軽いむちうちであっても、むちうちになって通院したり入院したりした場合には、入院期間や通院日数に対して慰謝料を支払ってもらえます。
しかし、慰謝料には自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準の3種類の基準があることを知っておきましょう。このうち自賠責基準が慰謝料の金額が最も低額で、弁護士基準が最も高額になることが一般的です。
弁護士に依頼しない場合、弁護士基準による慰謝料を受け取れる可能性は低く、2番目に低額な任意保険基準の金額で支払われるケースが多いでしょう。
後遺障害逸失利益
適切な治し方を実践してもむちうちが完治せず、固定症状になり後遺障害として残ってしまうことがあります。
後遺障害の等級認定が認められると、後遺障害によって労働能力を失い、利益が損なわれたとして、後遺障害逸失利益が支払われるでしょう。
逸失利益の金額は、労働能力を喪失していた期間から計算します。むちうちの場合、労働能力喪失期間は12級で5年~10年程度、14級で2年~5年程度となっています。
また、適切に治療を受けていないと、保険会社から治療費が支払われなかったり、まだ痛みが残っているのに早く打ち切られてしまったりする可能性があります。事故後すぐに弁護士に相談すれば、適切な治療の受け方からアドバイスを受けられます。
軽いむちうちでも必ず病院で治療を受けよう
むちうちは軽い症状でも、改善するまで長引いてしまうことがあります。
むちうちの症状が軽いからと通院せずに自己流の治し方をしていると、悪化させてしまうかもしれません。
また、だいぶ時間が経ってから受診・通院しても、保険会社から治療の必要性を認めてもらえず治療費を支払ってもらえなかったり、早めに打ち切られたりしてしまう可能性があるでしょう。
むちうちは症状によって、適切な治し方が異なります。症状について自己判断せず、きちんと病院で診察してもらい、適切な治療を受けましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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記載されている内容は※2022年10月6日 10:51:39 ※時点のものです。
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