酒気帯び運転・酒酔い運転の刑事罰と行政処分を解説!|運転者以外にも罰則・罰金
飲酒運転の厳罰化が進む一方で、飲酒運転に対する刑事罰や行政処分などに不安や疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、飲酒運転の定義にはじまり、飲酒運転に対する刑事罰や行政処分、また逮捕後の流れなどを紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
「飲酒運転の具体的な基準や定義って何?」
「飲酒運転で逮捕された場合の具体的な罰則が知りたい」
「飲酒運転で罪に問われる対象範囲が気になる」
車の運転をしていると、飲酒運転についての注意喚起などを見聞きする一方で、飲酒運転になる基準や逮捕された場合の処罰などについて詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。
本記事では、最初に飲酒運転の定義について解説し、次に飲酒運転で逮捕された場合の刑事罰や行政処分などを紹介していきます。また最後に、飲酒運転で逮捕された場合の流れについてもあわせて紹介します。
本記事を通して飲酒運転に関する知識を身に付けることで、後悔のない運転を行うことができるでしょう。飲酒運転について詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
飲酒運転には2つの定義がある
ひとくちに飲酒運転といっても、その定義には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。また、飲酒運転の定義は法律で定められているため、正しく理解しておくことが大切です。
以下で詳しく紹介していくため、ぜひチェックしてみてください。
この記事では、飲酒運転の刑事罰や行政処分について、弁護士が解説しています。
酒気帯び運転とは?
道路交通法の定めにより、酒気を帯びた状態で車両等の運転を行うことが禁止されています。酒気帯びとは、アルコール検知器で呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上が検出された状態のことをいいます。
また、呼気に含まれるアルコール濃度は、飲酒後の経過時間や酔いの自覚には関係がありません。運転に支障がなく、また警察官からの質疑に応じられたとしても、基準値を超えた濃度が検出された場合には罰金などの罰則を受けることになります。
出典:道路交通法| e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
酒酔い運転とは?
酒酔い運転とは、酒気帯び運転のように厳格に呼気中のアルコール濃度が定められていません。酒酔いは、アルコールの影響により車両等を正常に運転することができない状態のことを指しています。
たとえば、呼気中アルコール濃度が0.15mg未満だったとしても、フラついていたり、警察官からの質疑に応えられなかったりする場合には、酒酔い運転とみなされてしまうのです。
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
飲酒運転で逮捕の刑事罰は懲役と罰金がある
酒気帯び運転などの飲酒運転で逮捕された場合には、刑事罰を受けることになります。酒気帯び運転と酒酔い運転とでは罰則の程度に違いがあるため注意が必要です。
さらに、飲酒運転で人を死傷させてしまった場合には、より重い懲役と罰金が科されます。以下で、飲酒運転の刑事罰について詳しくみていきましょう。
酒気帯び運転
お酒を飲んでから体内でアルコールが分解されるには、 一般的にビール中びん1本の場合で4時間程度かかるといわれています。
しかしながら、このアルコールの分解速度は性別や体質、体調などによって違いがあります。実際に、飲酒後に仮眠を取り、その後に運転した際に酒気帯び運転として検挙された事例もあるのです。
また、酒気帯び運転に対する罰則は3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
酒酔い運転
前述したとおり、酒酔い運転はアルコールの影響によって、正常に運転できないおそれがある状態です。そのため、酒酔い運転に対する罰則は、酒気帯び運転よりも重くなっています。
酒酔い運転の罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
過失運転致死傷罪
過失運転致死傷罪とは、自動車の運転上必要な注意を怠り、その結果、人を死傷させた犯罪のことを指しています。自動車などの車両を運転する者には、道路交通法の定めにより安全運転の義務が課されており、この安全運転義務に違反する行為が過失になります。
安全運転義務違反に該当する行為は7つに分けられ、操作不適・前方不注意・動静不注視・安全不確認・安全速度違反・予測不適・その他になります。
安全運転義務違反、つまり過失によって人を死傷させてしまった場合、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されます。
出典:過失運転致死傷罪とは?逮捕後の流れや刑罰について|弁護士法人デイライト法律事務所
参照:https://www.daylight-law.jp/criminal/koutsu/zinshin/qa2/
出典: 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律|e-Gov法令検索
危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪とは、自動車を危険な状態で運転し、その結果、人を死傷させた場合に科される刑罰のことを指しています。
危険運転を行ない、人を負傷させた場合には、15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役に処せられるのです。
この危険運転には、アルコールや薬物の影響によって正常な運転ができない状態での運転行為や、あおり運転によって高速道路などで停止あるは徐行させる行為などを含む8つの行為が対象となっています。
出典:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律| e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000086
出典:危険運転致死傷の事例|法務省
アルコール検査を拒否
実際に飲酒をしていなかった場合でも、検問などで警察官がアルコール検査を求めた際に正当な理由なく検査を拒否したり、あるいは同乗者が検査の妨害を行ったりすることで、罰金などの罰則が科されてしまいます。
アルコール検査の拒否による罰則は、3月以下の懲役または50万円以下の罰金になります。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
出典:道路交通法| e-Gov法令検索
運転者以外の刑事罰は?
これまで、 酒気帯び運転などの飲酒運転を行なった運転者に対する刑事罰について解説してきました。
そして、飲酒運転は重大な事故につながるおそれがあるため、運転者以外に対しても刑事罰が科される可能性があります。
以下では、飲酒運転の罪に問われる対象者とその刑事罰についてみていきましょう。
車両提供者
酒気帯び運転あるいは酒酔い運転を行う可能性がある人に対して、車両を提供した人も罰金などの処罰の対象になります。
酒気帯び運転者への車両提供罪は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒酔い運転者への車両提供罪の場合には5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
酒類提供者
酒類提供罪とは、車両提供罪と同じように、酒気帯び運転あるいは酒酔い運転を行う可能性がある人に対して酒類を提供する罪のことをいいます。
酒気帯び運転者に酒類を提供した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金、酒酔い運転者に酒類を提供した場合には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
同乗者
運転者や車両提供者だけではなく、自動車などに一緒に乗った人に対しても懲役または罰金といった刑事罰が科されるケースがあります。それは、運転者が酒気帯び運転や酒酔い運転であることを知っていたにもかかわらず、その車両に同乗した場合です。
酒気帯び運転に同乗した場合には2年以下の懲役または30万円以下の罰金、酒酔い運転に同乗した場合には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
出典:飲酒運転関係の主な違反一覧表 |一般社団法人 岡山県交通安全協会
参照:https://www.oka-ankyo.or.jp/knowledge/drunkviolation.html
出典:飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!|内閣府大臣官房政府広報室
参照:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html
飲酒運転の行政処分
飲酒運転に対する罰は、懲役または罰金といった刑事罰だけではなく行政処分もあります。行政処分を受けてしまうと、自動車をはじめとした車両を運転する免許の停止や取り消し、さらに欠格期間が生じてしまいます。
行政処分には運転者と同乗者によって違いがあるため、以下で詳しくみていきましょう。
運転者
酒気帯び運転者に対する行政処分は、呼気中アルコール濃度の程度によって2つに分けられています。
呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上0.25mg/l未満の場合は、13点の基礎点数減点と90日間の免停の処分、0.25mg/l以上の場合は25点の基礎点数減点、免許取り消し、そして2年間の欠格期間の処分を受けなければなりません。
また、酒酔い運転の場合ではさらに重い処分となり、35点の基礎点数減点、免許取り消し、そして3年間の欠格期間となります。
ただし、これらの行政処分は、前歴やその他の累積点数がない場合です。そのため、自身の基礎点数などに注意が必要です。
出典:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁
同乗者
運転者が飲酒した事実を知っていながらその車両に同乗した人は、懲役や罰金といった刑事罰だけではなく、行政処分も下されます。
同乗者に対する行政処分は、運転者の飲酒の程度に関わらず、免許取り消しまたは停止の処分を受ける場合があります。
出典:飲酒運転の罰則・行政処分|愛知県清須市
出典:飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」|内閣府大臣官房政府広報室
参照:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html
飲酒運転による逮捕後の流れ
酒気帯び運転などの飲酒運転による交通事故での死亡事故率(2020年)は、飲酒していない場合と比較すると約8.1倍となります。そのため、飲酒運転に対する刑事罰や行政処分は重くなっており、さらに、対象者は運転者を含めた酒類提供者、車両提供者、そして同乗者にまで及びます。
ここでは、酒気帯び運転などの飲酒運転で逮捕された場合の流れについて紹介していきます。
出典:飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」|内閣府大臣官房政府広報室
参照:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html
事情聴取
酒気帯び運転などの飲酒運転で逮捕された場合、まず警察署で事情聴取が行われます。この事情聴取には厳格な時間制限が設けられているため、警察官は48時間以内に事情聴取を終えて検察に送致するか、釈放するかの判断をしなくてはいけません。
また、釈放となった場合にも、事件は検察に送られると在宅事件となります。在宅事件となった際には、取り調べに対し協力する必要があることを留意しておきましょう。
出典: 飲酒運転で捕まってしまった後の流れはどうなる? 弁護士が解説!|ベリーベスト法律事務所 姫路オフィス
参照:https://himeji.vbest.jp/columns/criminal/g_trafficaccident/2454/
後日に事情聴取と実況見分を受けることも
酒気帯び運転などで逮捕後に釈放され、在宅事件扱いになった場合や、逮捕されず任意で取り調べが行われる場合、交通違反した当日だけでなく、後日に追加の事情聴取と実況見分を受けることもあります。
後日に警察から連絡を受けた際には、指示に従い捜査に協力してください。
悪質だと実名報道されることも
テレビニュースなどで、事件や事故を起こした人の実名が報道されることがあります。この実名報道の判断やタイミングについて明確な基準はありません。
しかしながら、殺人事件や振り込め詐欺などの悪質で社会的影響力が大きい場合や、逮捕された人の職業が政治家、公務員、芸能人など世間の注目を集める場合には、実名報道される傾向があります。
酒気帯び運転などの飲酒運転での逮捕も、飲酒運転だけではなく人身事故も引き起こしていたり、逮捕者が公的な職業などであったりした場合には、テレビニュースや新聞で実名報道される可能性があるでしょう。
その一方で、在宅事件や軽微な場合には実名報道されないケースもあります。仮に取り上げたとしても、実名ではなく匿名で報道される範囲に留まることもあります。
公判請求
酒気帯び運転などで逮捕された後の流れとして、警察から検察へと送致されます。検察は24時間以内に勾留請求するかどうかを判断し、裁判所から勾留許可がおりると身柄を拘束します。この勾留期間に警察と検察は事件の捜査を行ない、検察によって起訴または不起訴の判断が行われます。
起訴されると、公判請求または略式起訴で処罰が決められます。この公判請求とは、公開された裁判であり、検察官が裁判所に特定の犯罪について被告人に対する実体的審理と有罪の判決を求めることを指しています。
前科・前歴がある場合や執行猶予中の場合、あるいは被疑事実の内容などによって、公判請求される可能性があります。
出典:飲酒運転で捕まってしまった後の流れはどうなる? 弁護士が解説!|ベリーベスト法律事務所 姫路オフィス
参照:https://himeji.vbest.jp/columns/criminal/g_trafficaccident/2454/
略式起訴
検察から起訴されると、上述した公判請求か、書類手続きのみで処罰を決める略式起訴になります。略式起訴では公判を開かず、簡易裁判所が原則として検察官の提出した資料のみに基づき、罰金または科料の判断を行ないます。
略式起訴となるケースには、飲酒運転が初犯であったり人身事故を起こしていない酒気帯び運転の場合など、比較的軽微な事件が多いです。
出典:飲酒運転で捕まってしまった後の流れはどうなる? 弁護士が解説!|ベリーベスト法律事務所 姫路オフィス
参照:https://himeji.vbest.jp/columns/criminal/g_trafficaccident/2454/
弁護士であれば、専門的な立場から身柄の早期釈放や不起訴を目指した活動などをすることができます。将来の不利益にならないようサポートすることが可能です。
飲酒運転はしないよう心がけよう
今回の記事では飲酒運転の定義をはじめ、飲酒運転に対する刑事罰や行政処分、また逮捕後の流れなどを詳しく紹介してきました。
飲酒運転は運転者だけではなく、運転者に対して酒類を提供したり、飲酒していることを知っていながら同乗した人などに対しても罰金などの罰則が科せられます。
飲酒運転は重大な事故につながるおそれがあると、運転者を含めたすべての関係者が自覚することが大切です。飲酒運転の知識を深めたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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記載されている内容は※2022年9月14日 10:06:30 ※時点のものです。
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