むちうちでコルセットを使用する理由や使用上の注意点を解説
交通事故でむちうちになった場合に、コルセット(頚椎カラー)を使用する理由や注意点、使用期間、治療費・慰謝料などの請求方法について解説しています。交通事故に遭った際の参考にしてください。
目次
むちうちでコルセットを使用する理由や注意点を解説
「むちうちってどのような症状なの?」
「どうしてむちうちになるとコルセットを使用するの?」
「むちうちになった場合、治療費はどうなるの?」
交通事故に遭った場合、むちうちや腰椎捻挫になって、痛みが出ることがあります。頸椎捻挫など首の痛みが酷い場合、コルセットで固定することがありますが、なぜコルセットを使用するのか疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、むちうちの症状でコルセットが必要なケース、使用する理由と装着期間、効果や注意点などについて紹介します。また、治療費や慰謝料などの請求方法についても詳しく解説しています。
この記事を読むことで、コルセットの正しい使用方法はもちろん、万が一、交通事故に遭って、むちうちになった場合の対応まで知ることが可能です。
コルセットを正しく使用してむちうちの痛みを軽減させましょう。
むちうちとは
むちうちとは、「頸椎捻挫」や「外傷性頸部症候群」の俗称で、交通事故で受けた衝撃が原因で起こる首などの痛みのことをいいます。
自動車などが追突した際に首が鞭のようにしなり、主に靭帯や頸部の椎間関節が損傷することで、痛みや身体の不調が現れます。交通事故に遭ったときは症状がなくても、数日経ってから痛みや不調を感じることがあります。
そのため、むちうちの有無を自分で判断することはせず、必ず病院を受診して医師の診断を受けるようにしましょう。交通事故のケガの治療では、初動が大切なのです。
むちうちの主な種類と症状
むちうちは、自動車の追突・衝突による交通事故の怪我の中で、最も発生する可能性が高いといわれています。
むちうちの症状は多岐に渡りますが、首・肩の痛みやしびれ、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなどが主な症状です。
また、むちうちにはいくつかの種類があり、大きく分けて5つに分類されます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
出典・参照:むちうち症について | 東野整形外科医院
頸椎捻挫型
むちうちと診断された症状の約70%を占めるのが、頸椎捻挫型といわれています。いわゆる首の捻挫のことで、頸椎を支えている首の筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷している状態を指しています。
頭痛や首・肩の痛みの他に、首が前後左右にほとんど動かないという可動域が制限される場合があります。
軽微な症状であっても、必ずしもすぐに完治するとは限らない点に注意が必要です。
出典・参照:むちうち症について | 東野整形外科医院
バレ・リュー症候群型
バレ・リュー症候群型は、首へ損傷を受けたことで首の交感神経と副交感神経に異常が生じて現れることが原因とされており、むちうちが原因で起こる自律神経失調症といわれています。
頭痛・めまい・耳鳴り・難聴・倦怠感・記憶障害・吐き気などが主な症状で、この症状の治療には、ブロック注射が有効といわれています。
また、事故の被害による心因性ストレスも要因の1つとされています。
出典・参照:むちうち症について | 東野整形外科医院
脳脊髄液減少症型
事故の影響により、脳の周囲を満たしている脳髄液がクモ膜下腔から漏れ、髄液圧が下がることによって起こります。
頭痛・頸部痛・耳鳴り・めまい・倦怠感・視機能障害など、多数の症状が現れる可能性があります。
また、脳脊髄液減少症型については、医学的にさまざまな見解があり、不明な点も多くあります。
出典・参照:むちうち症について | 東野整形外科医院
神経根症状型
脊髄から出ている神経の根元を損傷したことにより起こる症状です。
主に、肩から腕にかけての痛み・首の痛み・感覚障害・脱力・しびれなどの症状が見られます。
もともと無症状だったものが、事故が誘因となり発症し、MRI検査によって、首の加齢現象からくる既存の頚椎症や、椎間板ヘルニアなどとの関連が指摘される場合もあります。
脊髄症状型
脊髄や、そこから伸びている神経が損傷した場合に起こり、腕、足の痛みやしびれ・知覚異常・歩行障害などの重い症状が発生する可能性があります。
また、膀胱直腸障害が生じ、便や尿が出にくくなる場合もあります。加齢などの原因から脊柱管が狭くなっている方や、頸椎症などによって脊髄が圧迫されていた方は、事故が誘因となり脊髄症状型を発症するともいわれています。
むちうちになった時の通院先
交通事故に遭って、むちうちが疑われる場合、一刻も早く治療を受けたいものです。しかし、どこに通院すればいいのか迷ってしまう方も少なくありません。
むちうちの場合は、まずは整形外科に通院して、場合によっては整骨院(接骨院)などにも通院するとよいでしょう。
整形外科と整骨院(接骨院)では、治療内容や施術内容が異なることや、整骨院などへ通院する際には、一定の注意事項がありますから、しっかりと理解したうえで選択することが大切です。
ここでは、整形外科と整骨院(接骨院)それぞれの特徴について紹介します。
整形外科
整形外科では、医師が治療を行います。
治療内容は、MRIやレントゲンなどの検査機器を使用して、患部の状態を調べたり、痛み止めや湿布の処方、外傷の治療などです。
そして、診断書を作成できるのは、医師のみです。診断書は、人身事故への切り替え手続きや、損害賠償を請求するときに必要です。
交通事故に遭ったら、まずは整形外科へ行き、医師の診断を受けて診断書を発行してもらいましょう。
出典・参照:医師法 | e-Gov法令検索
整骨院や接骨院
整骨院や接骨院では、柔道整復師が施術を行います。
整骨院や接骨院は病院ではありませんので、医療行為は受けられませんが、さまざまな施術による医療類似行為を受けることができます。
整骨院などでの施術は、交通事故などが原因によって発生した筋肉や神経、関節などの損傷に対し、マッサージや電気療法を行い、人間が持つ治癒力を最大限に発揮させることを目的としています。
整形外科を受診しても、なかなか症状が改善しないという場合は、医師の了承を得て、加害者の保険会社に連絡してから、整骨院や接骨院への通院を検討してみましょう。
むちうちの治療でコルセットを使用する理由
むちうちと聞くと、首に装着するコルセットを思い浮かべる方も多いでしょう。
事故に遭ってから3~5日までの急性期では、鎮痛剤や幹部を冷やしたりしながら痛みを和らげていきます。この急性期には、首の負担を軽くするために、コルセットを使用することがあります。
コルセットを使用することで、首が固定され、首の負担を減らせますから、痛みなどの症状が軽減するでしょう。
頭部は、思っているよりも重たく、首に負担を与えかねないので、コルセットの利用を医師に確認してみるとよいでしょう。
コルセットの利用期間
コルセットを使用することで、首の負担を軽減することができるので、痛みを緩和することができるでしょう。
しかし、安静にするべき急性期のときは、コルセットが役立ちますが、比較的症状が落ち着いてきた慢性期には、コルセットの必要性は低いといえます。
長い期間コルセットの着用をしていると、首などを圧迫しかねないため、事故に遭ってから1週間程度を目安に外すようにしましょう。このときには、医師に確認してもらうとよいでしょう。
コルセット使用時の注意点
交通事故などでむちうちになってしまったときに起きる、首の痛みを和らげてくれるコルセットですが、使用方法を誤ると効果を発揮できず、かえって症状が悪化してしまうこともあります。
コルセットの正しい使用方法を理解することが、首への負担を軽減し、むちうち症状の緩和につながります。
ここでは、コルセットを使用する際の注意点を紹介しているため、参考にしてください。
正しく着用する
コルセットを使用する際には、正しい使用方法を守って、使うようにしましょう。
コルセットをしている時は、首を前かがみにしないようにし、コルセットのカーブとアゴをしっかりと合わせるようにします。
巻き方がきつかったり、正確に装着できないと皮膚とコルセットがこすれたりして、あらぬトラブルが生じてしまうこともあります。
鏡の前で脱着するときちんと装着ができるので、鏡を見ながらコルセットを着けるとよいでしょう。
就寝時にコルセットは使用しない
就寝時や長時間のコルセットの着用は、首などを圧迫しかねません。
そのため、比較的安静にしていることの多い就寝時は、コルセットを外すことをおすすめします。
交通事故で請求できる損害賠償の種類
むちうちにかかわらず、交通事故の損害賠償では、治療費、休業損害、慰謝料など、多岐に渡ります。
請求方法や計算方法がそれぞれ異なりますから、請求の際には注意する必要があります。
ここでは、交通事故で請求できる損害について詳しく見ていきましょう。
たとえば6か月間治療をし、実際に病院に通院した日数が85日の場合、自賠責基準では約73万円ですが、弁護士基準では約116万円が相場となり、金額に大きな差が生じてきます。そのため、慰謝料などの損害賠償を請求する際には弁護士に相談することをおすすめします。
積極損害
積極損害とは、交通事故の被害に遭い、被害者が出費を余儀なくされた費用のことです。
請求できる積極損害には、治療費や入院費、通院交通費、付添看護費などがあります。
また、医師が身体の機能を補てんするために必要と認めた、義肢・補聴器・松葉杖・車椅子などの装具費や、入院中の生活消耗品の購入費用も積極損害に含まれます。
消極損害
消極損害とは、交通事故に遭ったことによって、被害者が本来得られるはずだった利益が失われたことに対する損害のことです。
消極損害には、休業損害と逸失利益の2種類があります。
休業損害とは、交通事故で負ったケガが原因で仕事を休んだ場合の減収分を補償するものです。
逸失利益は、交通事故が原因で後遺障害が残ったり、被害者が死亡したことによって生じる減収分を補償するためのものです。
このように、交通事故に遭わなければ得られたはずの収入も補償されるのです。
慰謝料
交通事故に遭い、病院に入通院しなければならなくなったことにより受ける精神的苦痛に対する賠償として、「入通院慰謝料」を請求することができます。
また、後遺障害の等級が認定された場合には、「後遺障害慰謝料」を請求できます。
そして、被害者が死亡したときには、「死亡慰謝料」を請求することができます。この場合は、被害者の遺族が請求することになります。
このように、交通事故の慰謝料には3種類あり、請求可能な場合と、できない場合がありますので、注意が必要です。
むちうちが後遺症となった場合の対処方法
交通事故による怪我の治療を続けていたものの、これ以上治療しても症状がよくならないと判断され、症状が残ることがあります。これを「症状固定」といい、症状固定と診断されたときに残っている症状が後遺症です。
後遺症が残った場合、後遺障害の等級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益も請求することができます。しかし、後遺障害の等級に認定される可能性は、決して高くはありません。申請すれば必ず認められるものではありませんので、注意が必要です。
それでは、以下から手続きの方法を詳しく見ていきましょう。
症状固定まで治療する
まずは、症状固定と医師に診断されるまで通院しましょう。
まだ症状が残っているにもかかわらず通院をやめてしまうと、治療の必要性がなくなったと保険会社に見なされてしまい、治療費の支払いが止められてしまう可能性が高くなります。
また、加害者側の保険会社から症状固定を勧められることがありますが、症状固定と判断できるのは医師だけのため、安易に承諾しないことが大切です。痛みなどの症状が少しでも残っているならば、医師と相談して通院を続けるようにしてください。
医師に後遺障害診断書を作成してもらう
症状固定と診断されたら、後遺障害診断書を発行してもらいましょう。
後遺障害診断書とは、交通事故によって残った後遺症について、具体的な症状や部位・治療期間・検査結果などが記入された書類のことです。
後遺障害診断書を作成できるのは医師のみであり、整骨院や接骨院では発行することはできません。
後遺障害診断書は、後遺障害等級認定の審査を受けるうえで重要な書類になります。作成してもらう際には、自覚症状をきちんと医師に伝え、記載内容をよく確認し、自分が納得のいく後遺障害診断書を作成してもらうことが大切です。
出典・参照:後遺障害診断書の書き方やもらい方、等級認定される記入例|自覚症状の伝え方は? | アトム法律事務所弁護士法人
後遺障害等級認定を申請する
後遺障害の等級は、後遺症が残っている部位や程度により、1級~14級まで分けられています(要介護の1~2級もあります)。
例えば、むちうちの場合は、14級9号、または、12級13号に認定される可能性があります。
また、後遺障害慰謝料の総額は、認定された後遺障害等級によって大きく変わります。1級(要介護)が最も高額で、等級が下がるにつれて金額が低くなり、14級が最も低額です。
出典・参照:後遺障害等級表 |国土交通省
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級認定の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。
申請方法によって、手続きが異なりますから、以下で解説している内容を参考にしてください。
事前認定
事前認定とは、加害者の任意保険会社に、後遺障害診断書を提出することで行うことができます。
後遺障害診断書以外の書類は全て保険会社が用意するため、被害者の手間はかかりません。
しかし、必要最低限の書類が提出される恐れがあり、適切な後遺障害の等級に認定される可能性は低いといえるでしょう。
被害者請求
被害者請求とは、すべての申請書類を被害者自身で集め、加害者側の自賠責保険会社に提出する方法で行います。
提出書類に工夫を施したり、追加の書類の準備など、審査への対策ができるため、等級認定の可能性を高めることができるでしょう。
しかし、書類集めに時間がかかる点や、書類にどのような工夫をすべきかという判断が難しい点がデメリットといえるでしょう。
そして、申請する際に弁護士に相談をすれば、専門家の視点から等級に認定されやすい内容かアドバイスを受けることができます。後遺障害等級認定の手続きに不安があるときには、弁護士への相談も検討してみてください。
むちうちになった際にコルセットを使用する目的を知っておこう
むちうちの主な種類と症状やコルセットをする理由、損害賠償や後遺障害等級認定の申請方法について紹介しました。
むちうちは、事故直後に発症するとは限りません。もし交通事故に遭ったら、違和感や痛みがなくても医療機関を受診することが大切です。
また、事故後の痛みを軽減するためにコルセットの使用をおすすめしますが、正しく装着することで痛みを軽減する効果が期待できます。
コルセットを装着する場合は、適切な方法で装着するようにしましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
交通事故の痛みの緩和に最適な通院先をご紹介!業界最高水準の通院サポートをご提供します。
記載されている内容は※2022年12月23日 15:26:59 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。