漢方はむちうちの症状が緩和する?症状別に効果について紹介
漢方でむちうちの症状を緩和できるのか、疑問を持つ方もいるでしょう。本記事は交通事故などによって頭痛や体の痛みといった症状を引き起こすむちうちについて、症状別におすすめの漢方を紹介します。また、バレ・リュー症候群の原因や症状も解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
「追突されてから、なんか調子が悪い・・・」
「どうしたらいいいんだろう・・・?何かいい方法はないのかな」
交通事故などで外部からの衝撃を受けたことにより、むちうちなどの症状が現れることがあります。むちうちなどによる痛みは、病院で行われる治療だけではあまり変化が感じられないこともあるでしょう。
この記事では、長く続くむちうちの症状に対して有効とされている漢方について解説します。また、むちうちにより発症するといわれている「バレ・リュー症候群」についても詳しく紹介します。
本記事を読むことで、むちうちの症状と、症状別に効果が期待できる漢方について知ることができます。むちうちの症状を改善する方法は一つではないですが、その選択肢の一つである漢方を知るきっかけとなることでしょう。
漢方について知りたい方はぜひ最後までチェックしてみてください。
むちうちの症状は漢方で和らぐ?
交通事故による外傷のむちうちに漢方が効くのか?と、疑問に感じる人もいるかもしれません。症状に応じた適切な漢方を用いることで、症状が和らぐことが期待できます。
そもそも「むちうち」とは、交通事故やスポーツなどで首に無理な強い力がかかり、首が捻挫することです。正式には「頚椎捻挫」「外傷性頚部症候群」などと呼ばれます。首、頸椎には重要な神経が集中しています。ここがダメージを受けてしまうと神経が損傷し、しびれ、痛みなどさまざまな症状を引き起こす、というわけです。
むちうちは、神経そのものにダメージを受けたり、血流が悪くなったりすることで、人によってあらわれる症状が異なります。
漢方の中には、神経の不調からくる症状を緩和するものがあり、西洋医学ベースの治療ではカバーできない面を補うことができると考えられています。
治療方法にはいくつかの種類がありますが、漢方の中にも、長く続くむちうちの症状を緩和するのに有効とされるものがあります。
この記事では、むちうちによる症状に対して有効とされる漢方などをご紹介しています。
また、むちうちが原因で発症する「バレ・リュー症候群」の主な症状や、有効とされる治療法についても紹介しています。
【症状別】効果が期待できる漢方
ここでは、むちうちによって起こる代表的な症状である「痛み」にフォーカスをあて、冷えると痛む場合、慢性的に痛む場合に、それぞれどんな漢方を用いるのが適しているかを解説します。
冷えると痛む場合は、気温が下がる冬場だけでなく、夏場でもエアコンで冷やされて頭や首、肩の痛みといった症状が強く出ることがあります。痛みが強く出るのは冷えて血流が悪くなるのが原因のひとつですが、このような場合、どの漢方を用いるのがよいのでしょうか。
また、冷えたときだけでなく、慢性的な痛みに適している漢方にはどういったものがあるかについても紹介します。
冷えると痛む場合
近頃は真夏の暑い時期でも、屋内はほとんどエアコンが効いていて快適に過ごせます。ただ、長時間冷房の中にいて、ほとんど体を動かさない状態が続くと、体は冷え、血流が悪くなります。こうなると筋肉は凝り固まってしまい、むちうちの後遺症がない人でも肩や首などに痛みを感じることも起こります。
このような場合に用いられる漢方は「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」と呼ばれるものです。
この漢方には水分バランスを整え体を温めるはたらきがあるため、冷えがある人、冷えると症状が強くなる人に向いていると言えます。
温める作用があるため、患部が熱を持っているとき、腫れているときなどは使用してはいけません。
体質的にも、暑がりの人より、冷え性で体力があまりない人に向いています。
出典・参照:漢方薬解説-8 桂枝加朮附湯|ひのクリニック
慢性的に痛みがある場合
慢性的に痛みがある場合に用いられる漢方には、治打撲一方(ちだぼくいっぽう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、五苓散(ごれいさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、加味帰脾湯(かみきひとう)などがあります。
初期の痛みに対しては「治打撲一方」、「桂枝茯苓丸」、冷えが強く温めると調子がよくなるという場合には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」、雨天時の症状悪化、めまいには気を補う「補中益気湯」やからだの水分を調整する「五苓散」が使われます。
また、痛みが続いてイライラするような場合は「加味逍遙散」、イライラだけでなく不安感もあるときは「加味帰脾湯」を使うことがあります。
出典・参照:術後の浮腫・炎症 頚椎捻挫|間庭整形外科
漢方 | 症状 |
---|---|
治打撲一方(ちだぼくいっぽう) | 打撲、捻挫の専門薬。 急性期の腫れや痛み |
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | 打撲の初期段階、うっ血 血の巡りをよくする 冷えがある人向き |
当帰四逆加呉茱萸生姜湯 (とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) | 血行をよくし、体を温める 冷えによる痛みの緩和 手足の冷えが強い人向き |
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) | 体力を回復をさせ、元気を取り戻す 疲れている、弱っている |
五苓散(ごれいさん) | 水分循環を改善し、無駄な水分を取り除く 雨天時の不調(むくみ、めまい、頭痛) |
加味逍遙散(かみしょうようさん) | 血液循環をよくし体を温める のぼせ、イライラや不安感を和らげる |
加味帰脾湯 (かみきひとう) | 不安や緊張、イライラ感をしずめ、 寝つきをよくする |
むちうちからバレ・リュー症候群を発症した場合
むちうちが原因となって発症する症状の1つに「バレ・リュー症候群」があります。バレ・リュー症候群とはいったい何なのか、どんな症状が出るのか、そしてどの漢方が症状の緩和のために用いられるのかを紹介します。
むちうちなどのケガをした直後より、めまいや頭痛、耳鳴り、倦怠感などの症状がだんだん悪化してきたという場合は、 バレ・リュー症候群の疑いがあるかもしれません。
バレ・リュー症候群の原因と主な症状
バレ・リュー症候群とされる症状には、 めまい、頭痛、吐き気、難聴、耳鳴り、食欲不振、倦怠感、不眠、精神不安定などがあります。
むちうちなどにより外力がかかって頸部を損傷し、頸部に通っている交感神経を痛めた場合に、 自律神経のバランスが崩れて起きる自律神経失調症状と考えられています。
自律神経は呼吸、心臓の鼓動、血液の流れ、体温の調整など生きるのに必須な機能を調節する役割があり、ダメージを受けるとあらゆる不調が起こりやすくなります。
バレ・リュー症候群の症状が和らぐ漢方
バレ・リュー症候群も他のむちうちの症状と同じように、症状の緩和に漢方を用いることがあります。実際に用いる場合にはどのような漢方がよいのか、症状別に紹介していきます。
漢方の考え方で「肝(かん)」という概念があり、「肝」は体の中を流れる血(けつ)や気、津液(しんえき)のめぐりを調節しているところとされています。血や津液を蓄えている肝のはたらきが悪くなっている状態の時に現れるめまいや頭痛などの症状が、バレ・リュー症候群の症状と似通っているため、肝のトラブルに対処する漢方を使用するということになります。
主な症状 | 用いられる漢方 |
---|---|
不安や不眠が現れる | 地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、 酸棗仁(さんそうにん)、竜眼肉(りゅうがんにく)、 麦門冬(ばくもんどう)、 天門冬(てんもんどう)、枸杞子(くこし) |
頭痛やめまいなど頭部の症状 | 釣藤鈎(ちょうとうこう)、天麻(てんま)、 菊花(きくか) |
憂鬱感などによる食欲不振、喉の詰まり 腹部の張り | 柴胡(さいこ)、厚朴(こうぼく)、半夏(はんげ)、 薄荷(はっか)、枳実(きじつ)、香附子(こうぶし) |
漢方以外での治療方法
バレ・リュー症候群の治療法は確立はいまだされていませんが、漢方以外の治療方法で、取られることが多い治療方法について解説します。
原因となるケガをしてすぐの急性期は通常、整形外科での治療を受けます。整形外科では、レントゲンやMRI、CTで検査を受けます。しかし、これらの検査は外傷については調べられますが、神経は身体の内部に存在するもので、症状として出るさまざまな不調を画像で撮ることはできないため、慢性的なバレ・リュー症候群の症状に対しては有効とは言えません。
時間がしばらく経ってから出てきた症状に対しては、心療内科、脳神経内科、麻酔科、ペインクリニックなどでの対応になります。こういった科では一般的に「交感神経ブロック療法」という方法が取られます。「星状神経節」と呼ばれる頭部、首をはじめ幅広い部位の交感神経を支配している部位に局所麻酔を打って、痛みを緩和するという治療方法です。
その他、神経ブロック療法以外の治療方法には投薬治療(筋弛緩薬、解熱鎮痛薬、抗不安薬など)や運動療法、心理療法があり、症状によって選択されます。
自分の症状を把握したうえで、どの漢方を使うべきか医師に相談するようにしましょう。
また、むちうちが原因となり、めまいや頭痛、耳鳴り、倦怠感といった症状が出る「バレ・リュー症候群」の諸症状にも効果があるとされる漢方もあるので、症状にお悩みの場合は、漢方の使用を検討してもよいでしょう。
漢方を活用するなら知っておきたいこと
漢方などを用いる中医学の考え方は、西洋医学のような対症療法ではなく、原因にアプローチするものです。そのため、一人ひとりの体質や症状に適した漢方を使用することがポイントです。
ここでは、漢方の飲み方や他の薬と併用する場合の注意点、副作用が出た場合の対応など、漢方を活用するために知っておきたい事項をまとめています。
漢方の飲み方について
漢方は胃に食べものが入っていない食前(食事の30分前)・食間(食後2時間後)に、水または白湯で飲むのが一般的です。
まず口の中に水または白湯を含んでおき、それから薬を口に入れると飲みやすくなります。
また、種類によっては煎じて飲むものもあります。
お茶やコーヒーなど、水・白湯以外の飲み物は、薬のはたらきに影響があることがありますので、こういったもので飲まないようにしましょう。
漢方薬は独特の風味やクセがあるものが多いため、そのままでは飲みづらいという人もいます。そのような場合は、オブラートや服薬ゼリーを使用して飲む方法があります。
出典・参照:漢方 | 間庭整形外科
他の薬と併用する場合
漢方薬を複数併用する場合、また他の病気の治療で漢方以外の薬も飲んでいる場合は注意が必要です。他の薬と併用すると、薬の効果が少なくなってしまったり、 逆に効果が強まって出てしまったりする可能性があるからです。
2つ以上の薬を自分の判断で併用するのは絶対にやめましょう。服用する前に必ず薬剤師、登録販売者または発売元に問い合わせしましょう。
漢方だけでなく、薬を併用するときには必ず医師、薬剤師、登録販売者に相談するようにしましょう。
出典・参照:漢方 | 間庭整形外科
副作用について
漢方薬は、効きめが穏やかなものが多いことから、副作用がない、もしくは少ないと思われていますが、これは誤った情報です。どんな薬でも副作用が起こる可能性があります。
薬によって、また人によって、副作用の程度は変わります。医師、薬剤師、登録販売者に確認してみましょう。
また、副作用は薬を正しく服用していても体調によっては起きる可能性があります。服薬後、いつもと違うと感じた時には服用を中止し、すぐに医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
出典・参照:漢方 | 間庭整形外科
特に他の薬も併用している場合は、効果が弱まったり、逆に強く出過ぎてしまう可能性があるので、注意しましょう。
交通事故の治療費は保険会社から支払われますが、適切な治療を受けていないと支払いを拒否される可能性があります。
漢方薬を使用する場合は、自分で判断して市販の漢方を購入するのではなく、必ず医師に相談するようにしましょう。
むちうちの症状で困っている場合は漢方の服用も考えてみましょう
むちうちによって起きる症状を和らげるには、漢方の服用は良い手段の一つであることをご紹介しました。むちうちが原因で感じる不快な症状は人によって違いますが、それぞれに合った漢方を使用することで、症状を軽減させる期待ができます。むちうちの症状でお困りの方は試してみる価値があるといえるでしょう。
また、むちうちから発症するバレ・リュー症候群についても、漢方を使って症状を落ち着かせられるという期待が持てます。今までなかなか楽にならず、悩まれていた方も、自分の症状や体質に合わせた漢方を試してみてはいかがでしょうか?
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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記載されている内容は※2022年10月17日 14:26:47 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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