肋骨骨折が後遺症になったときの慰謝料の算出方法は?後遺障害等級の申請も
交通事故による肋骨骨折が後遺症になった場合の、慰謝料の算出方法や相場を状況ごとに分けて解説。肋骨骨折による後遺障害等級認定の申請方法の流れ、後遺症となった場合の対処法についてもまとめています。肋骨骨折の症状についても説明しているため、参考にしてください。
目次
肋骨骨折が後遺症になったら慰謝料は受け取れる?
交通事故で肋骨骨折した場合、どのような症状が現れるのでしょうか?本記事では、肋骨骨折の症状や検査方法、治療方法について詳しく解説します。
また、治療したにもかかわらず、後遺症が残った場合の対処法についても、まとめています。肋骨骨折による後遺障害等級認定の申請方法と、手続きの流れも具体的に紹介するため、参考にしてください。
肋骨骨折の基礎知識
肋骨とは?
肋骨には、大切な臓器を守る役割があります。左右対になった骨が12本で合計24本の肋骨が、心臓や肺などの臓器を守っているのです。
しかし、肋骨は骨折しやすい骨でもあります。体をひねったり、咳をしただけで骨折するケースもあり、交通事故の衝撃で骨折することも少なくありません。
場合によっては、複数の骨を一度に骨折することもあります。交通事故で胸を強打したときは、肋骨骨折していないか注意しましょう。
肋骨は、心臓や肺など大切な臓器を守る鎧(よろい)の役目をしています。呼吸をするときに肺がふくらんだり、縮んだりするのに合わせて動いています。そうです、肋骨は筋肉の力を借りて動くんです。肋骨は左右12対、合計24本の骨でできています。
交通事故による肋骨骨折の症状
肋骨骨折の主な症状は、胸の痛みや息苦しさなどです。呼吸や咳、くしゃみなどの動作で、強い痛みを感じることもあります。
また、心臓に近い敏感な神経も損傷してしまうと、呼吸をするのも困難になります。肋骨骨折した部位によっては、内出血や腫れが生じたり、折れた肋骨で臓器を傷つける恐れもあり大変危険です。
痛みが強くない場合は肋骨骨折に気づかない場合もあるため、いつもと違う症状が現れたらすぐに医療機関を受診しましょう。
肋骨骨折の検査内容と治療法
肋骨骨折が疑われる場合は、レントゲン撮影やCT撮影が行われます。また、内部の臓器の損傷が疑われる場合には、超音波検査や心電図、血液検査を行うこともあります。
症状が軽い場合は肋骨を固定し、湿布や鎮痛剤で痛みを和らげる治療が中心となるでしょう。肋骨を固定し安静にすることで、2〜6週間ほどで症状は改善します。しかし、複数の肋骨骨折がある場合や、内臓まで損傷している場合は、入院治療が必要になります。
肋骨骨折の後遺症で支払われる慰謝料の算出方法と相場
算出方法①自賠責保険基準
自賠責保険は、車両を所有する全ての人に、加入が義務付けられている保険です。そのため、支払われる慰謝料の金額は必要最低限です。
自賠責保険は、日割り4300円を元に算出することができます。実際に通院した日数の2倍、または初診日から治療完了日までのうち、日数の少ない方に4300円をかけて慰謝料を算出します。
慰謝料の限度額はそれぞれ、入通院慰謝料は120万円、後遺障害慰謝料は4000万円、死亡慰謝料は3000万円です。
算出方法②任意保険基準
任意保険の慰謝料の金額は、加入している保険会社によって違います。任意保険は自賠責保険のように、基本日額を元に慰謝料の算出をしません。
明確な金額を知ることはできませんが、慰謝料の日額は、入通院3ヶ月を目安に下がっていくことが多いです。自賠責保険の場合、3ヶ月を過ぎても1日の金額は変わりません。そのため、自賠責保険よりも貰える慰謝料が、少なくなるケースもあります。
算出方法③弁護士基準
弁護士基準とは、過去の裁判を基準にしています。3つの算出基準の中で最も高額で、弁護士に示談交渉を依頼することで適用される算定方法です。
弁護士基準の慰謝料の金額は、交通事故損害額算定基準(青い本)や、民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準(赤い本)を参考に算出されます。
弁護士基準で慰謝料を請求した場合、後遺障害等級にもよりますが、自賠責保険基準よりも3倍程度高くなることもあります。
慰謝料の相場①変形障害の場合
肋骨骨折の治療を行っても、後遺症が残ってしまうことがあります。骨折箇所が元のように癒着しない場合や、骨が欠損することで起こるのが変形障害で、後遺障害等級12級5号に該当します。
後遺症の判断基準は、裸になったときに、目で見てわかる変形があるかどうかです。たとえレントゲンで変形が判っても、目で見てわからなければ認定されません。自賠責基準の場合、請求できる慰謝料の相場は94万円です。
慰謝料の相場②神経障害の場合
神経障害は、痛みや痺れがある場合に認定されます。レントゲン等で原因がわかる場合は12級13号です。
また、レントゲン等の他覚的初見がみられない場合は、14級9号の後遺障害等級が認定される可能性があります。慰謝料の相場は、12級13号の場合は94万円、14級9号の場合は32万円です。
肋骨骨折による後遺障害等級認定の申請方法と手続きの流れ
申請方法①事前認定
事前認定は、加害者の任意保険会社が、後遺障害等級の手続きを行います。保険会社が申請を行うため、手続きの煩わしさがありません。
資料集めから手続きまで行ってくれるのは、大きなメリットになります。しかし、加害者側の保険会社が被害者のために尽力してくれることは、期待できないでしょう。
また、加害者側の保険会社が主体となって手続きを行うため、提出書類について自分で検討することができません。そのため、書類不足等で等級認定されない可能性もあります。
申請方法②被害者請求
加害者側の任意保険会社が手続きを行う事前認定に対し、被害者自身で後遺障害等級認定の手続きを行うのが被害者請求です。必要な書類集めや手続きを自身で行うため、申請には時間も手間もかかります。
手間や時間がかかるのはデメリットですが、書類内容を被害者自身で確認できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
後遺障害等級の認定に有利な書類も、自身で集めることができます。特に、後遺症が目に見えて明らかでない場合は、後遺障害等級の認定がされづらいため、被害者請求がおすすめです。
後遺障害が認定される条件
後遺障害の認定には、上記の条件が該当している必要があります。後遺障害の内容を書面で証明しなければならないため、書類に不備や不足があれば認められないこともあります。
後遺障害等級の認定手続きをすれば、必ず認定されるわけではないことを知っておきましょう。
- 交通事故との因果関係が認められる
- 症状固定日に症状が残っている
- 後遺症の症状が第1級〜14級のいずれかに当てはまる
- 医学的に自覚症状が証明・説明できる
後遺障害等級認定の手続きの流れ
後遺障害等級認定を申請するためには、まずは書類を集めなければなりません。後遺症を書面で証明するために、後遺障害診断書やレントゲン画像、専門医の意見書などが必要です。被害者請求の場合は、自身で行うことになります。
これらの書類を自賠責保険会社へ提出し、認定結果の通知が届くのを待ちます。書類に不備がなければ、後遺障害等級認定の結果は1〜2ヶ月程度で届くでしょう。もしも不服がある場合は、意義申し立てをすることも可能です。
肋骨骨折が後遺症になったときの対処法
対処法①適切な通院頻度を維持する
肋骨骨折の痛みは、早ければ数週間で改善します。しかし、そこで通院をやめてしまうと、後遺障害認定の対象とならない可能性もあります。
医師が完治または症状固定と判断するまで、通院しましょう。医師の指示通りに通院し症状固定となっても、後遺症が残ったと判断されれば、後遺障害認定の対象となります。
交通事故によって負った怪我について、治療やリハビリを継続した結果「これ以上、症状の改善が見込めない」状態になることを「症状固定」といいます。
対処法②病院と併せて弁護士にも相談する
肋骨骨折の後遺症について、弁護士に依頼することは多くのメリットがあります。後遺障害等級認定の手続きを任せられるだけでなく、慰謝料の増額も期待できます。保険会社とのやり取りも弁護士が行ってくれるため、治療に専念できる点も大きなメリットです。
肋骨骨折が後遺症になったときは等級認定を申請する
肋骨骨折の治療をしても後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定の手続きをしましょう。後遺障害等級認定の申請には、事前認定と被害者請求の2通りの方法があります。それぞれのメリット、デメリットを把握して、自分に適した方法で手続きしてください。
この記事のライター
伊藤
女の子と男の子の子育てをしながら、フリーライターをしています。交通事故や怪我に関する疑問を解決できるよう、主婦目線でわかりやすく説明していきます。
記載されている内容は※2022年3月23日 17:36:53 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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