交通事故によるヘルニアの治療法や後遺症とは?慰謝料についても
交通事故によるヘルニアの治療法や後遺症について紹介します。追突によって引き起こされる、頚椎や腰椎などのヘルニアの種類を解説!また、交通事故の治療にかかる、通院費や慰謝料についてもまとめています。交通事故で被害に遭った際、弁護士に相談する参考にしてください。
目次
交通事故によるヘルニアの治療法や後遺症を知っておこう
交通事故は骨折などの症状だけでなく、ヘルニアを発症することがあります。交通事故によってヘルニアになった場合、どういった治療を行えばいいのか解説します。
ヘルニアの症状を放置すると悪化し、後遺症を抱えることもあるのです。また、ヘルニアの治療を行うと同時に、加害者に慰謝料の請求も行いましょう。ヘルニア治療の慰謝料請求や、弁護士に相談する重要性もまとめているので参考にしてください。
交通事故で生じるヘルニアの種類
首に生じる「頚椎椎間板ヘルニア」
交通事故によって生じやすい外傷性のヘルニアは二種類あります。一つは、首に生じる頚椎椎間板ヘルニアです。背骨の一番上から七番目までの骨の間で起きる、ヘルニアになります。
交通事故によって後ろから追突されると、首に大きな衝撃が加わり、そのことで頚部の椎間板が飛び出してしまうのです。頚椎椎間板ヘルニアの症状は、首や背中の痛みや肩こりになります。また、腕や指先のしびれが出ることもあるのです。
適切な治療を受けないと、頚椎椎間板ヘルニアが原因で、歩行障害や排泄障害を起こすこともあります。
腰に生じる「腰椎椎間板ヘルニア」
首ではなく腰にある椎間板が飛び出してしまうのが、腰椎椎間板ヘルニアになります。腰も追突事故によって大きく損傷しやすい部分です。神経が圧迫されることで、足や腰の痛みだけでなく、しびれの症状も発症します。
首も腰も頚椎の損傷は、非常に大きな後遺症につながる可能性があります。交通事故直後は、必ずCTやMRI検査を受けて、悪化しないように検査を受けてください。
むちうちとの違いは?
椎間板ヘルニアとむちうちの違いも確認しておきましょう。どちらも交通事故が原因で発症することがありますが、椎間板ヘルニアは、飛び出した椎間板が神経を圧迫することで痛みがでる症状です。
むちうちの場合は、事故の衝撃によって、首まわりの筋肉や神経が傷つけられることで生じます。追突などによる衝撃が原因である点は同じですが、椎間板が飛び出すかどうか、筋肉や神経が傷つくかなどの点で異なります。
交通事故の中で追突事故がヘルニアの原因になりやすい
頚椎椎間板ヘルニアも腰椎椎間板ヘルニアも、追突事故が原因で症状やすい怪我です。交通事故以外では、加齢によって椎間板の柔軟性が失われて発症することもあります。
この状態で生活をしていても、自覚症状が出ないことがあるのです。しかし、交通事故が原因で自覚症状が出ることもあります。軽い追突事故でも、こういった自覚症状がなかったものが、大きな傷みに変わることもあるので、治療を行っていきましょう。
交通事故でヘルニアになった場合の治療法
治療法①保存療法
一度ヘルニアを発症すると、治療まで時間がかかります。ヘルニアの治療には3~6ヶ月ほどかかることが多く、頚椎も腰椎でも同じ治療法から選択するのが一般的です。
ヘルニアの治療法には、保存療法が行われます。そのまま安静にして様子を見る場合や、湿布や牽引治療も選択肢です。また、痛みを和らげるために、ブロック注射も行われます。
痛みを放置せずに、しっかりと通院を続けて主治医と治療方針を確認しましょう。通院期間を空けないことが、症状を早く緩和することにつながります。
治療法②手術
交通事故によって大きな衝撃を加えられ、重いヘルニアを発症すると手術をすることになります。手術をする場合、ヘルニアを摘出するか、引っ込める方法があるのです。
摘出手術では、ラブ法や内視鏡下ヘルニア摘出術が行われます。どちらも手術時間は1~2時間ほどです。ラブ法は1~2週間、内視鏡下ヘルニア摘出術では1~5日の入院が必要になります。
痛みやしびれが後遺症として残ることも
適切な治療を行っても、ヘルニアによる後遺症が残る場合があります。同様のことはむちうちの場合でも起きます。大切なことは、事故との因果関係を証明するためにも、事故直後に病院で診察を受けることです。
軽い捻挫程度に感じていても、時間が経つと悪化することがあります。次に解説する、後遺障害等級認定にも重要な部分になるので、必ず軽い怪我でも病院に行きましょう。
交通事故の後遺症による後遺障害等級認定の申請方法
交通事故は早期に診断を受ける
交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を申請して、慰謝料や保険金の請求を行っていくことになります。このときに重要なのは、交通事故とヘルニアの因果関係を証明することが必要です。
この因果関係を証明するために、交通事故直後に医師の診察を受けることが求められます。期間を空けてから診察を受けても、事故とヘルニアの因果関係を証明できないことがあるのです。そのことで申請が認定されないこともあるので、注意しましょう。
通院は定期的に行う
交通事故直後に診察を受けるだけでなく、その後も継続して通院を行うことも大切です。症状が和らいだとしても、主治医から完治や症状固定の診断が下されるまでは、通院を行ってください。こちらも、後遺障害等級が認定されるかに関係します。
後遺症が残った場合は後遺障害等級認定を申請する
ヘルニアの後遺症として、身体のしびれや痛みなどが残ることがあります。こういった交通事故の後遺症は、治療費や慰謝料のために後遺障害等級認定を受ける必要があるのです。
椎間板ヘルニアで14級に認定される条件
交通事故によって椎間板ヘルニアを発症した場合、後遺障害等級14級9号と12級13号のどちらかになります。14級は「局部に神経症状を残すもの」が条件です。
椎間板ヘルニアで12級に認定される条件
後遺障害等級12級の場合は「局部に頑固な神経症状を残すもの」になります。つまり、12級の方が後遺症は深刻です。しかし、交通事故による後遺障害等級認定で、12級となるのは難しくなっています。
MRI検査などによって客観的な証拠を見つける必要があり、交通事故との因果関係を証明しなければなりません。しかし、ヘルニアやむちうちなどは、なかなか客観的な証拠を得にくく、14級に扱われることが多いのです。
交通事故直後から医師の診断を受け、診断書に細かい経過観察を記載してもらうようにしましょう。
交通事故でヘルニアになった場合に受け取れるお金
受け取れるお金①治療費や通院費
交通事故に遭った場合、加害者に治療費や慰謝料を請求できます。このとき、加害者側が保険をかけていれば、保険会社がそのお金を支払うことになるのです。保険会社は、治療費などの不正請求を防ぐために、被害者からの請求をきっちりと確認します。
保険会社に不正請求を疑われないためにも、医師の診断書や領収書などをきっちりと用意してください。そのうえで、ヘルニアの治療費や通院費の請求を行いましょう。
受け取れるお金②後遺障害逸失利益
交通事故に遭って、仕事ができなかった期間や収入が減った場合に、後遺障害逸失利益を請求できます。事故がなければ得られたはずの利益を得るための請求で、後遺障害等級認定も金額に大きく関係するのです。
ちなみに、専業主婦の場合であっても逸失利益を請求することは可能です。弁護士などに相談し、受け取れるお金があるか確認することをおすすめします。
受け取れるお金③慰謝料
後遺障害等級認定とは関係なく、入通院慰謝料の請求が可能です。これは交通事故で怪我の治療を受けた場合に請求できるお金になります。交通事故によるものとして、しっかりと医師に因果関係を証明した診断書を作成してもらいましょう。
慰謝料請求は弁護士への相談も
このとき、弁護士に依頼して、加害者側の保険会社に交渉を行ってもらうことも検討しましょう。弁護士の請求によって、弁護士基準が認定されると一番高額な慰謝料を受けられます。
ヘルニアは慰謝料や損害賠償が受けにくい?
ヘルニアは慰謝料や損害賠償が受けにくいと考えられています。その理由は、ヘルニアが加齢によるものと判断されやすいからです。また、交通事故前から後遺障害が発生しやすい状態であったとして、素因減額されることもあります。
そして、交通事故とヘルニアの因果関係を明確にすることが難しい点です。こういったことを踏まえ、慰謝料や損害賠償請求は弁護士と相談して行いましょう。
交通事故によるヘルニアは早期の治療と相談が重要
交通事故によるヘルニアに関して解説しました。ヘルニアは追突事故などで、大きな衝撃で頚椎の椎間板が飛び出す怪我です。首や背中に痛み、しびれなどの後遺症になることもあります。
ヘルニアの悪化を防ぐだけでなく、慰謝料や後遺障害等級認定のためにも、早期の治療と相談を行うようにしてください。そして、必要に応じて弁護士に相談し、ヘルニアの治療費や慰謝料請求を行いましょう。
この記事のライター
浅倉恭介
記載されている内容は※2022年3月22日 08:56:56 ※時点のものです。
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