むちうちにマッサージは効果的?症状を緩和するためのポイントも紹介
むちうちになったときにどんな症状があるのか、マッサージを受けても良いのかなどについて詳しく解説します。むちうちによる首の痛みといった症状に適した通院先の情報や、症状を緩和させるポイントもまとめてみました。むちうちになった際は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも「むちうち」とは?
そもそも「むちうち」とは、衝突や追突といった交通事故によって、首がムチのようにしなったことにより、首の周囲に痛みや身体に不調が起こることの総称です。
また、むちうちは、傷病名ではありません。
本来の傷病名は「外傷性頚部症候群(頸椎捻挫や頚部挫傷)」や「神経根症(頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症)」などをいいます。
出典:「むち打ち症」|日本整形外科学会
参照:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/traumatic_cervical_syndrome.html
この記事では、むちうちの症状緩和の方法や後遺障害の等級認定の方法を弁護士が解説しています。
むちうちの特徴
むちうちのやっかいな特徴には、すぐに痛みが現れるとは限らないというものがあります。そのため、交通事故に遭ったときにケガをしなかったとしても、後からむちうちになっていたことに気づき、痛みや症状が現れることがありますので、注意しましょう。
また、むちうちの症状(首の筋肉や靭帯、神経の損傷や症状など)は、レントゲンやMRIには写りにくいという特徴もあります。
むちうちの症状
むちうちの症状をおおまかに分類すると、「頚椎捻挫型」、「バレー・ルー症状型」、「脊髄症状型」、「神経根症状型」の4種類があります。
そして、むちうちと診断された人の約7割ほどは、頸椎捻挫型だと言われています。むちうちと言うと、首の周辺が痛むと思われがちなのは、このためでしょう。
実際には、首の痛み以外にも頭痛や吐き気、めまい、耳鳴り、脱力、運動麻痺といった症状が出ることがあります。
出典・参照:むちうち症について|東野整形外科医院
むちうちとストレートネックの違い
交通事故による衝撃によっては、むちうちではなく「ストレートネック」になってしまうこともあります。
ストレートネックとは、交通事故などで首に受けた衝撃によって、首の骨が真っ直ぐな状態になることを指します。むちうちとよく似ており、首の痛みや頭痛、肩こりなどの症状が現れます。
また、ストレートネックになった場合は、むちうちとは異なり、レントゲン検査で発見されやすいという特徴があります。症状だけでは、むちうちとの違いが分からなくても、レントゲンを撮ることで、症状を見分けられる可能性が高いでしょう。
出典・参照:ストレートネック治療|整形外科とくはらクリニック
むちうちのときはマッサージをしてもいい?
むちうちになったとき、マッサージをしてもよいのでしょうか。
結論から言うと、むちうちの「急性期」にマッサージを行うと悪化する可能性があるため、行わない方がよいとされています。一方で、症状が落ち着いてきた「亜急性期」や「慢性期」のマッサージは効果的とされています。
急性期とは、むちうちになってから約1ヶ月経過するまでの期間のことです。特に、最初の1週間は炎症を起こしていることが多いため、このタイミングでのマッサージは避けましょう。
急性期が過ぎ、症状が落ち着いてきた場合には、マッサージによって、硬くなった筋肉を柔らかくして血流を良くすることや、むちうちの痛みを軽減させられる可能性があるため、マッサージは効果的です。
むちうちのときの通院先や施術内容
むちうちには、さまざまな通院先や施術内容があります。むちうちの治療で大切なことは、適切な検査や治療を受け、なるべく痛みを和らげることでしょう。
ここでは、むちうちのときの通院先として、整形外科や整骨院などを紹介しています。それぞれの施術内容も記載しているため、参考にしてみてください。
①整形外科
交通事故に遭ってしまったら、まずは整形外科に行きましょう。整形外科は医療機関であるため、適切な検査や治療、投薬といった医療行為を受けることができます。
整形外科には、医師が在籍しているため、診断書を書いてもらうことが可能です。医師が作成する診断書は、治療の継続が必要かどうかの判断や、後遺障害の等級認定を受ける際に重要な資料となります。そのため、自覚症状などを詳細に伝え、正確に作成してもらいましょう。
また、整形外科には、レントゲンやMRIなどの検査機器があり、さまざまな部位の異常を診ることができるため安心です。
なお、整形外科によっては、理学療法士が在籍している場合もあります。理学療法士がいる場合、症状の悪化防止や回復に向けてのリハビリなどをサポートしてくれるでしょう。
②整骨院(接骨院)
整形外科へ通院してもなかなか痛みが和らがない場合は、整形外科への通院とあわせて、整骨院や接骨院へ行くのもおすすめです。
整形外科と違い、整骨院や接骨院では、柔道整復師が施術を行っています。整骨院での医療行為は禁止されていますが、手技や電気治療といった医療類似行為を受けることができます。
レントゲンやMRIではなく、直接患部に触れて、痛みの原因を確認しながら、施術を行うのが特徴です。
③鍼灸院
鍼灸院では、「はり師」や「きゅう師」という国家資格を持った鍼灸師から施術を受けることができます。
鍼灸院では、鍼や灸を使用してツボに刺激を与えることで、交通事故で乱れた身体のバランスを調整し、身体機能の回復を目指します。このため、鍼灸院での施術は、神経症状の緩和に向いているでしょう。
鍼灸を受けると血行が良くなり、血液やリンパの流れが改善されると言われています。施術を受けることで、むちうちによって固くなった筋肉の凝りがほぐれ、症状が緩和する効果を期待できるでしょう。
④整体院
整体院では、整形外科や整骨院などでの施術と違い、交通事故によって生じた骨組みの歪みを正すことを目的として、施術を行います。
施術を受けることにより、交通事故でずれてしまった脊椎や骨盤を矯正し、身体のバランスを整えることができるでしょう。そして、血液やリンパの流れがスムーズになり、痛みが和らぐ効果に繋がります。
整体院では、整体師が手足を使って施術を行う方法が一般的です。
むちうちの症状を緩和するためのポイント
むちうちの症状は、ケガの度合いや人によって異なります。軽症で済む場合や痛みが強い時期があったり、体を動かすことに支障を及ぼすことがあります。
ここでは、むちうちになった場合に、その症状を緩和するために行うとよいことを紹介します。交通事故に遭って、むちうちになったかもしれない、体が痛いという方は、下記のポイントを参考にしてみましょう。
- 安静にすることを心がける
- 早めに治療を開始する
- 整形外科へこまめに通院する
- セルフケアをする
安静にすることを心がける
むちうちになった直後は、痛めた部分が炎症を起こしている可能性があるため、できるだけ安静に過ごすようにしましょう。安静に過ごした方がよい期間の目安は、数日~1週間程度です。
前述の通り、むちうちになった直後から約1ヶ月までの期間は、「急性期」と呼ばれ、炎症が起こって痛みも激しい時期と言われています。この時期には無理に体を動かそうとせず、できるだけ安静にして体を休めましょう。マッサージやストレッチもおすすめできません。
早めに治療を開始する
むちうちになってしまった場合やむちうちのおそれがある際には、早めに治療を開始することが大切です。
むちうちの痛みは、直後に現れにくいことや、時間が経つうちに様々な症状が出てくる可能性があります。そのため、首に違和感があるかな、という位の頃から治療をすれば、早くから痛みの緩和に向けた治療ができるでしょう。
違和感や痛みがあるのに無視していると、重症化したり、症状が長引いて治りにくくなってしまう場合があるため、早めに治療を受けることが大切なのです。
出典・参照:むちうち症|宇都宮のはせがわ整形外科
整形外科へこまめに通院する
むちうちになった場合、適切な治療を受けるためにも、できるだけこまめに整形外科に通院することが大切です。
もし、むちうちの症状があったとしても、通院頻度があまりに低ければ、治療費を打ち切られたり、慰謝料が減額される可能性があります。通院していないならば、治療の必要はないと判断される場合があるためです。
後に、不利にならないためにも、きちんと整形外科に通うことが大切です。
セルフケアをする
むちうちのセルフケアとして、マッサージやストレッチをすることは有効ですが、時期や方法によっては悪化させてしまう可能性があるため、整形外科や整骨院などで相談をしてから行うことをおすすめします。
例えば、むちうちになってから約1ヶ月間の急性期の時期には、炎症が生じている可能性があり、自己判断でセルフケアによるマッサージをすると悪化する場合があります。
患部に行うセルフケアの方法も症状によって異なるため、整形外科や整骨院などで相談してから行うようにしましょう。
知っておくといい整形外科や整骨院の違い
むちうちになると、整形外科だけでなく、整骨院へ通う選択肢もありますが、整形外科と整骨院などには明確な違いがあります。
それは、整形外科が医療行為を行える医療機関であるのに対して、整骨院などは施術の違いこそあれ、いずれも医療機関ではないことです。
医療機関である整形外科では、医師によるむちうちの検査や治療、投薬といった医療行為を受けることができます。
なお、交通事故の手続きで必要な診断書を作成できるのは、医師のみです。そのため、必ず病院を受診しましょう。
出典・参照:整形外科と整骨院の違い|福岡市堺整骨院グループ
むちうちが後遺症になってしまった時に行うべきこと
むちうちの場合、治療開始から約6カ月経っても回復していなければ、医師が症状固定であると判断するケースがあります。
症状固定とは、これ以上治療を続けても改善の見込みがない状態のことです。したがって、症状固定以降は、後遺症として取り扱われることになります。
むちうちの治療を続けても回復の兆しが見られず、後遺症になった場合はどうすれば良いのか、解説していきます。
後遺障害の等級認定を申請する
交通事故の影響でむちうちとなり、治療を一定期間行っても完治せず、症状固定の診断を受けた場合には、後遺症が残ったことになります。この場合、後遺障害の等級認定を申請することができます。
後遺障害の等級認定の方法には、「事前認定」と「被害者請求」による方法があります。
詳しい請求方法の解説は、後述します。
後遺障害慰謝料を請求する
後遺障害の等級が認定されれば、認定された等級に応じた後遺障害慰謝料を加害者側に請求することができます。
後遺障害は、1級~14級に区分されており、等級によって支払われる金額が異なります。14級から13級と等級が重くなるほど、慰謝料の金額が高くなります。
むちうちの場合、12級13号または14級9号に該当する可能性があります。12級では224万円、14級では75万円相当の金額が支払われることになります(自賠責基準の場合)。
事前認定をする
事前認定では、加害者側が加入している任意保険会社に後遺障害診断書を提出し、その後の手続きを全て任せることができます。被害者が後遺障害等級認定の申請手続きをする手間を、省くことができる方法です。
しかし、事前認定には注意点があります。
それは、加害者側の任意保険会社が主体となって動くため、認定基準や要件を満たす書類が不足し、認定を受けられない可能性が高いことです。
被害者請求をする
被害者請求は、被害者側が加害者側の自賠責保険会社に、直接、請求をする方法です。
後遺障害の等級認定の申請を被害者自身が行わなければならず、診断書などの必要書類を自分で揃える必要があります。事前認定に比べると、大きな手間や時間がかかるでしょう。
しかし、自分にとって有利な書類を揃えて提出することができるため、手間はかかりますが、後遺障害の等級認定を受けられる可能性が高くなります。できればこちらの方法をとることを、おすすめします。
適切な治療やマッサージでむちうちの症状を和らげよう
むちうちの症状やマッサージなどのセルフケアについて、詳しく解説してきました。
マッサージでは、血流を良くすることで、筋肉をほぐし、痛みを緩和する効果が期待できます。しかし、時期によっては、かえって悪化させてしまう可能性があるため、整形外科や整骨院などで相談してから行うことをおすすめします。
むちうちになった際は、決して無理をせず、適切な治療を受け、マッサージも取り入れながら症状を和らげていきましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
交通事故の痛みの緩和に最適な通院先をご紹介!業界最高水準の通院サポートをご提供します。
記載されている内容は※2024年6月25日 11:04:05 ※時点のものです。
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