玉突き事故の過失割合と判断基準は?損害賠償請求についても解説!
玉突き事故について解説していきます。前方の車に追突をしたことで起きる、玉突き事故の過失割合の判断基準について詳しく紹介!ケースによって判断基準のポイントが変わる点や、損害賠償の内訳についてもまとめていますので、ぜひチェックしてください。
目次
玉突き事故の過失割合や損害賠償について知っておこう
3台以上の車両が関係する交通事故を玉突き事故と呼び、関係する車両の数や当事者の人数も増えてしまいます。通常の車同士などの交通事故に比べて、複雑になってしまうことが多くなり、過失割合の判断も難しい場合が多いため、とても分かりにくいです。
玉突き事故の過失割合についての基礎知識と、ケース別の過失割合のポイント、損害賠償の請求先などについて解説していきます。
玉突き事故と過失割合の基礎知識
複数の車が関係して起きる玉突き事故ですが、玉突き事故とはどのような事故を指しているのでしょうか?過失割合の意味も含めて説明します。
玉突き事故はどのような事故?
玉突き事故は、後方の車に追突された車が、追突された反動によって、前方の車に追突する事故です。追突した車がさらに同じ状態で前方に追突してしまうこともあるので、関係車両が増えてしまうことが多いです。
通常の玉突き事故のほとんどは、追突された先頭の車が原因ではありません。後ろから追突をした車に原因があり、過失責任や損害賠償を負うことになります。しかし、何らかの理由でその前の車、または先頭の車が原因という可能性もあります。
過失割合の意味
過失割合とは、発生した玉突き事故での自身の責任(不注意・過失など)を数値として分かりやすく表したものです。比率を出すことで責任が分かりやすくなります。
過失割合は保険会社の損害賠償額を出すために使われるもので、警察が作成する「実況見分書」や交通事故の情報と状況を確認して、過失割合が決定されます。
警察が過失割合を出していると思われる人もいるかもしれませんが、あくまで保険会社が決めるものとなります。過失割合を事故調査会社の調査員が調べて、その結果を基に決められることがほとんどです。
玉突き事故のケース別過失割合と判断基準のポイント
玉突き事故の原因によって、どの程度の過失割合が発生するのか、判断基準をしっかりと確認する必要があります。主な事故をケース別に紹介し、判断基準のポイントを説明していきます。
ケース①停止している前方車に追突
一般的に、追突事故の場合には追突された被害者側には過失がなく、過失割合は0であるということになります。先頭の車は過失責任がなく、後ろを走行していた車が追突により前の車に追突した場合も同様です。
駐停車をした前方の車に追突をした場合の玉突き事故であっても、一般的には最初に追突した車が過失割合100%となります。
追突された車に何らかの過失があるという場合には、玉突き事故で追突された側にも過失があると判断されます。
ケース②不適切な運転操作の前方車両に追突
前方の車が不適切な運転操作をした場合の玉突き事故では、前の車にも過失責任があると判断され、過失割合が発生します。不適切な運転とは、急な車線変更や速度の減速、不適切なハンドル操作などを行ったりすることです。
このような運転で玉突き事故の原因を作ったと判断された場合には、前方の車にも20%ほどの過失割合が認められることになるでしょう。
ケース③前方車両が急ブレーキを踏んで追突
理由のない急ブレーキを前方の車がかけたことによって、玉突き事故を起こしてしまった場合には過失割合が生まれます。運転者は危険を防止するためにやむを得ない場合を除き、車を急停止したり急ブレーキをかけることが禁止されています。
このことによって、理由もなく急ブレーキをかけたことが原因で後方の車が追突した場合は、30%に過失割合が発生します。近年増えている「あおり運転」もこれに該当されるのです。
ケース④高速道路上で駐停車している車両に追突
高速道路で駐停車している車に追突をして、玉突き事故を起こした時も過失割合が発生してしまいます。高速道路は一般道路とは異なり、高速道路は最低速度を維持する義務があり、原則として道路上での駐停車は禁止されています。
高速道路は一般道と異なり、駐停車時に追突された場合、40%の過失割合が適応されます。ただし、実際の事故の状況によっては紹介した過失割合よりも多い過失が認められる場合もありますので、高速道路上の駐停車は極力行わないようにしましょう。
ケース⑤修正要素が適用される場合
追突事故を起こし、過失割合が適応された時には「修正要素」が適用される場合があります。修正要素とは、事故の個別事情によって過失割合の基本を修正すべきであるという考え方です。
追突してきた車が15キロメートル以上の速度違反をしている場合、追突された車の過失割合が10%程度低くなります。30キロメートル以上の速度違反であれば20%です。追突した車はその分だけ過失割合が高くなるのです。
判断基準のポイント
玉突き事故においての、過失割合の判断基準ポイントとしては、先頭の車がどのような理由で停止や急ブレーキ、徐行をしたのかによって過失割合が決められます。
- 前方で車が止まっていたため停止した
- 信号が赤になったため停止した
このような理由によって停止した場合、追突した車の過失割合が100%となります。基本的には追突した車の責任が重くなります。
例え高速道路上で意味もなく急ブレーキを前の車が踏んだため、追突した場合であっても追突した車の過失です。車間距離や、急ブレーキの有無で過失割合を決めることも覚えておきましょう。
玉突き事故のケース別による損害賠償の請求先
玉突き事故の場合、損害賠償を誰に請求すれば良いのか?と思われる人も多いでしょう。ケース別による損害賠償の請求先について説明します。
請求先①複数の相手に過失がある場合
玉突き事故の責任は基本的に後続の車の責任であります。追突された車に過失がない場合には、最後尾の追突をした車が、最前列までの車すべての損害賠償の請求を受けます。直接的に追突していないとしても、原因となるので変わりはありません。
請求先②前方の車両に過失がある場合
過失割合が発生する玉突き事故の場合などは、前方の車にも過失割合が発生するので、損害賠償の請求内容が異なります。先頭の車、または最後尾よりも前の車が急ブレーキを踏んだため、最後尾の車が追突した場合の追突事故の場合は異なります。
それぞれの車に追突した相手へ損害賠償を請求するのが一般的です。しかし、最後尾の車が原因で追突事故が発生した場合には、最後尾の車も過失がある車両の運転手に損害賠償の請求が可能です。
玉突き事故の損害賠償の内訳
損害賠償の請求とは、どのようなものを請求するのでしょうか?内訳とその内容について詳しく解説していきます。
損害賠償請求の内訳①積極損害・休業損害
損害賠償の請求内訳として、請求されるものとして積極損害・休業損害があります。積極損害とは聞きなれない言葉かもしれませんが、事故が起きたことで直接被った被害です。入院・通院費、病院への交通費、車の修理代などが該当します。
休業損害とは、事故がきっかけにより会社など仕事を休んだことで生まれる損害です。仕事を休むことで給料が減ったり、収入が無くなったりした場合に請求されます。
休業1日につき6,100円が自賠責基準となっていますが、あくまで最低限の補償額です。実際には被害者の基礎収入に基づいて算定されることになります。
損害賠償請求の内訳②逸失利益・慰謝料
積極損害と休業損害の他に逸失利益や慰謝料が請求されます。逸失利益とは後遺障害(治らないケガ)を負った場合、将来得られるはずであったお金のことを指します。
後遺障害によって働けなくなったり、仕事を変えることになった場合、将来得られるはずの賃金や収入がなくなってしまったという考え方です。後遺障害には症状によって等級があり、給付金額も異なります。
複数の症状がある場合には、その中で一番重い症状の等級にするか、重い症状の等級を1等級あるいは3等級上げた等級に決定します。
慰謝料は被害者が追った精神的苦痛に対するお金となります。精神的苦痛を金額に換算して支払うものです。慰謝料は、死亡・障害(入通院)、後遺症、どの状態であっても請求することが可能とされています。
玉突き事故の過失割合は状況に応じた修正が必要
玉突き事故などは、先頭の車の過失がないケースが多く追突してしまった車の運転手が損害賠償などの責任を負うことがほとんどです。
前の車が理由のない急ブレーキ・停車、あおり運転のような危険運転を行った場合は異なります。このような運転での玉突き事故が発生した場合には、先頭の車または該当の車に過失が認められるケースもあります。
天候や時間帯、事故内容によっては、過失割合が修正されることもあるので、適切な過失割合を出すことが大切です。
この記事のライター
サトミオリ
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記載されている内容は※2022年1月14日 12:19:29 ※時点のものです。
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