むちうちになったら何科を受診すべき?症状や治療法も解説
この記事では、むちうちになった場合の受診すべき診療科を紹介しています。また、むちうちの症状や、むちうちの損害賠償請求についても解説しています。 むちうちの症状が出たときに、病院に行く重要性も紹介しているので、受診すべき診療科を迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
「むちうちになったときは何科を受診すればいいの?」
「何となく痛みがある・体調が悪いけど、これはむちうちなの?」
このように、交通事故に遭った際はむちうちに関して多くの不安があるのではないでしょうか。
本記事では、交通事故に遭って、むちうちになったときは何科を受診するべきか、そして、なぜ病院を受診するべきかなどについて解説しています。また、むちうちの症状や、損害賠償請求についてもまとめました。
この記事を読むことで、交通事故に遭ったときでも冷静に考え、その後の取るべき行動がわかります。その知識をもとに、適切な治療を受け、安心して日常生活への復帰が目指せるでしょう。
むちうちで不安に感じている方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
交通事故でむちうちになったら何科を受診?
交通事故でむちうちになったら、最初は何科を受診するべきかについて解説していきます。
まず、最初に受診するべき診療科は、病院の整形外科です。
ここからは、なぜ病院の整形外科なのか、その理由についてもご紹介します。
病院を受診することで重症化リスクや、他の怪我にも対処してもらうことができます。このような理由から、交通事故に遭ったらまずは病院に行くということを覚えておいてください。
はじめに整形外科で治療方針を決めよう
交通事故でむちうちとなった場合は、まずはじめに整形外科で治療方針を決めましょう。むちうちによる痛みは、事故当日だけでなく、後から自覚するケースも非常に多いため、痛みの有無に関係なく受診することが大切です。
また、事故直後からおおよそ2~3日以内を目途に受診しましょう。遅くとも1週間以内には受診してください。事故日から期間が空いてしまうと、むちうちの症状があっても、交通事故によるものか判断しにくくなるからです。
整形外科では、レントゲンの撮影で骨の異常を調べたり、MRI検査で筋肉や腱、神経の異常を調べます。この時点で骨折や神経の損傷など、何らかの異常が見られた場合は、適切な治療を受けることができます。
交通事故で病院に行く重要性
交通事故に遭った際は、前述したとおり、痛みの有無に関係なく、病院の整形外科を受診することが大切です。その理由は、診断書を取得するためです。診断書は、医師のみが作成することができます。
一方、整骨院や接骨院では、レントゲンやMRI検査などの医療行為は受けられず、診断書も作成されません。
診断書が無ければ、交通事故に関する損害賠償の請求が認められない可能性があるため、まずは病院を受診して、診断書を受け取ることが重要です。
整骨院や接骨院との併用も可能
むちうちの治療には、整形外科のみではなく、整骨院や接骨院などでの施術も効果的な場合があります。
整骨院や接骨院では、手技治療や運動療法、物理療法を用いて施術が行われます。
むちうちは、レントゲンなどでは、症状の原因を確認できない可能性があるため、実際に患部に直接触れて施術を行うことで、症状が改善されるケースがあります。
しかし、整骨院や接骨院での施術がむちうちの症状に逆効果になる可能性もあり得るため、併用する場合は、医師の同意を得ておきましょう。医師への同意を得られていないまま整骨院(接骨院)に通院すると、整骨院などにかかった施術費の請求が認められない可能性があるため、注意が必要です。
医師の同意を得た後は、加害者の保険会社に連絡をして、併用するとよいでしょう。
鍼灸院での施術も効果的
鍼灸院では、 金属の細い針を疾患や症状に適したツボに指して、症状の改善を目指す施術が行われます。
そもそも鍼治療は、患部に対して体内から刺激を与え、自律神経のバランスを整えることで、痛みの緩和が期待できる治療法です。
鍼灸院の施術では、むちうちの症状に応じて筋肉・経穴・神経に刺激を与えます。鍼を使うことで、手の届かない部分へ効果的にアプローチし、自然治癒力を高められるため、痛みの原因だけでなく、痛みが出やすい体質の改善を目指せるのが魅力です。
出典・参照:鍼灸の基礎知識|公益社団法人 日本鍼灸師会
むちうちにはどんな症状がある?
むちうちになりやすい交通事故といえば、追突事故が挙げられます。むちうちは、交通事故などで強い衝撃を受けることで、首や肩、腕の痛み、めまいなどの症状が現れます。人によって症状が異なり、症状が現れる時期もさまざまです。
交通事故直後は、パニック状態や興奮状態になり、身体の痛みを感じにくい場合があります。そのため、むちうちの症状は交通事故直後ではなく、時間が経ってから現れることがあるのも特徴です。
外傷性頚部症候群の場合
「外傷性頚部症候群」は、むちうちの正式な診断名であり、「頚椎捻挫」とも呼ばれています。
交通事故による、突発的な強い衝撃で頭が激しく揺さぶられ、主に首(頚部)に負担がかかることで痛みや不調を引き起こします。むちうちの大半はこの外傷性頚部症候群に該当します。
主な症状は、首の痛みをはじめ、しびれ、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、手のしびれ、可動域の制限などがあります。場合によっては、吐き気や顎関節の痛みを感じるなど、様々な症状を引き起こすのが特徴です。
症状は、およそ事故直後から数時間後に自覚する傾向にありますが、場合によっては、翌日以降に出るケースもあります。ちなみに、症状の多くは2~3か月以内に回復することがほとんどです。ただし、稀に数か月、あるいは、数年間症状が改善しない方もいます。
出典・参照:「外傷性頚部症候群」|日本整形外科学会
頚椎椎間板ヘルニアの場合
頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が後方に飛び出し、神経根や脊髄を圧迫することで、痛みやしびれなどの症状が出ます。椎間板は、背骨を繋いでクッションの役割をしている重要な部分です。
主な症状は、首だけでなく肩や腕に痛み、しびれを感じます。これは神経根の圧迫によるもので、症状が重くなると、箸の使用やボタンをかけるといった手先の作業が困難になるのが特徴です。
治療法としては、首の安静保持を心がけ、症状の程度によっては首を固定する頚椎カラーを使うケースもあります。あわせて、鎮痛消炎剤の服用や神経ブロック注射で痛みを和らげます。場合によっては、牽引療法や運動療法を行うこともあるでしょう。
また、脊髄が圧迫されると、足がもつれて転倒しやすくなったり、症状が重くなると歩行障害や排尿障害が生じる可能性があります。この場合は、手術を受ける可能性が高くなるでしょう。
出典・参照:「頚椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会
頚椎症性神経根症の場合
頚椎症性神経根症は、椎間板が膨隆したことで、神経根が刺激・圧迫されて起こる症状です。肩から腕にかけて痛みが生じるほか、腕や手指にしびれを感じるケースもあります。一般的には、首を後ろに反らすことで痛みを感じるのが特徴です。
軽い痛みであれば、見上げる動作やうがいをする時などに不自然さを感じます。しかし、症状が重くなると、耐えがたい痛みを感じたり、上肢の筋力低下や感覚障害が生じるケースも珍しくはありません。日常生活に支障が出るほど重い症状であれば、手術を行うこともあるでしょう。
痛みがある間は、首を後方へ反らさないように固定するほか、適切な方向への牽引療法や、症状の程度によっては消炎鎮痛薬を投薬します。完治するまでには数か月程度かかるケースも少なくありません。
出典・参照:「頚椎症性神経根症」|日本整形外科学会
脊髄損傷の場合
脊髄損傷は、骨折や脊椎を脱臼することで脊髄が圧迫されて起こります。名前の通り、脊髄を損傷する症状です。脊髄を損傷すると、運動機能・知覚機能に障害が出ます。
障害の程度によって不全麻痺と完全麻痺があり、完全麻痺の場合は、四肢が全く動かなくなるほか、感覚もなくなります。事故直後は、損傷が広がらないよう脊椎を動かさないことが非常に大切です。
また、怪我をした直後は「脊髄ショック」という状態になり、麻痺の程度を区別することができません。そのため、治療方法は、損傷した脊髄を固定することがメインになります。その後、不全麻痺で脊髄圧迫が残っている場合は、手術で圧迫を除去します。
それでも麻痺が残った場合は、残った機能を上手く使うためのリハビリテーションが行われ、日常生活でできることを増やしていくことになるでしょう。なお、完全麻痺の場合は、一般的に予後の改善は難しいといわれています。
出典・参照:「脊髄損傷」|日本整形外科学会
交通事故の損害賠償で支払われる費用
交通事故では、下記で解説している項目の通り、さまざまな費用が発生します。
費用によって、計算方法や請求の対象が異なりますから、費用項目ごとの違いをよく確認しましょう。
そのため、保険会社から提示された金額に納得がいかない場合には、弁護士への相談・依頼を検討してみてください。弁護士基準で慰謝料などを算定するため、納得のいく慰謝料などの獲得を目指すことができます。
積極損害
積極損害は、被害者が交通事故によって支払わなければいけなくなった費用を指します。
怪我の治療を受けるための費用や、手術費、通院交通費、入院費、付添看護費などが積極損害の対象です。
治療費は、事故による怪我であることが証明されれば、実費全額が損害賠償の対象として認められることが原則です。ただし、整骨院・接骨院での施術費については、医師の事前確認がある場合に認められるという注意点があります。
交通費として認められるのは、公共交通機関(バス・電車など)を利用した料金や、怪我の程度によってはタクシー代の費用が請求できたり、状況によっては自家用車で通院した場合のガソリン代を請求できます。
そのほか、入院雑費や、診断書などの発行手数料(文書料)、装具費、後遺障害の程度によっては家屋や車両の改修・改造費も対象となります。また、被害者が亡くなった場合は葬儀費用も請求できます。
消極損害
消極損害は、交通事故に遭遇しなければ被害者が得られたであろう収入に対する損害です。消極損害は、主に休業損害と逸失利益の2種類があります。
休業損害とは、交通事故で怪我を負ったことで仕事を休むことになり、収入が減少した場合に補填することを目的としています。被害者が主婦(主夫)や無職であっても、休業損害の請求が認められる場合があります。
逸失利益は、さらに後遺障害逸失利益と死亡逸失利益に分かれます。
後遺障害逸失利益は、認定された後遺障害によって、将来支払われるはずだった収入が減収した補償として請求できるものです。後遺障害の等級に認定されなければ請求することはできません。
死亡逸失利益は、被害者が死亡したことによって得られなくなった収入に対する補償として支払われるものです。
なお、休業損害も逸失利益も、被害者の職業によって計算方法が異なる点に注意が必要です。
慰謝料
交通事故で被害者が被った精神的苦痛に対して支払われる損害賠償が、慰謝料です。慰謝料には、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。
交通事故が原因で、病院に入院・通院しなければならなくなったときに支払われる慰謝料が「入通院慰謝料」です。入通院慰謝料は、入院・通院に伴う精神的苦痛を金銭に換算して補償することが目的とされています。金額は入通院の期間によって決まります。
次に、交通事故で負った怪我が完治せず、後遺症が残ってしまい、後遺障害の等級に認定された場合に請求できるのが、「後遺障害慰謝料」です。後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害の等級によって異なります。正しい等級に認定されることが重要なポイントです。
そして、死亡慰謝料は、交通事故の被害者が亡くなったことによる精神的苦痛に対する補償として、支払われる慰謝料です。被害者の立場によって支払われる金額の相場が異なります。
保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら
交通事故の治療費は、加害者が自動車保険に加入していれば、保険会社から直接病院へ支払われますが、この支払い基準は、各保険会社によって異なります。そのため、被害者の予期せぬタイミングで、治療費打ち切りを打診されるケースも珍しくはありません。
治療打ち切りの連絡は、電話や書類で伝えられます。むち打ちの場合は、一般的に症状が和らぐといわれている3か月程度で打診されるケースが多いです。
まずは保険会社が治療費打ち切りにする理由を確認しましょう。そのうえで、対処方法についてご紹介します。
主治医に相談する
まずは、保険会社から治療費打ち切りの打診があったことを主治医に相談してみましょう。
保険会社は、被害者の治療状況のほかにも、これまでの平均的な治療期間を参考にしています。通院頻度が少なかったり、平均的な治療期間に達した場合は、これ以上の治療は不要と判断する可能性があるのです。
このときに、主治医がまだ治療の継続が必要だという旨の意見書を作成してくれれば、治療費打ち切りを延長するよう交渉できます。
まだ自覚症状があって、自分で治療が必要だと思う場合は、ぜひ主治医に相談してみましょう。
完治まで自費で通院する
むちうちの症状が完治するまでは、自費で通院するという選択肢もあります。この場合は途中から健康保険に切り替えることが可能です。健康保険を適用することで、自己負担額を減らして治療を受けられるので、活用するとよいでしょう。
保険会社から治療費打ち切りを打診された場合は、その場で承諾することはせず、主治医に随時相談することが大切です。
また、医師の意見書をもってしても、治療費の対応延長が認められないようなときには、弁護士などの専門家へ相談する方法も考えられます。
なお、医師の診断をもってしても治療費支払いの対応延長が認められないときには、交通事故に精通している弁護士への相談も検討してみてください。
むちうちになったらまずは整形外科で診てもらおう
むちうちの治療で、受診すべき診療科を詳しく解説しました。
むちうちになったら、まずは整形外科を受診して、必要な検査を受け、診断書を作成してもらいましょう。
診断書は、損害賠償を請求するときに必ず必要になりますので、痛みの有無に関係なく整形外科を受診してください。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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記載されている内容は※2022年12月26日 16:03:14 ※時点のものです。
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