むちうちになったら病院へ行くべき理由とは?症状や治療方法を解説
むちうちの症状がある場合に病院に行くべき理由や、むちうちの症状がない場合でもできるだけ早く病院へ行くべき理由を解説!むちうちの症状と治療のための通院頻度、保険会社への連絡方法などについて紹介します。
目次
むちうちは、すぐに症状が現れない場合がありますが、たとえ痛みがなくても、できるだけ早く病院で治療を受けなければならない怪我であることをご存知でしょうか。
この記事では、むちうちになったときや、痛みがなくても病院に行くべき理由を詳しく解説し、むちうちの症状についても紹介しています。
この記事を読むことで、病院での治療が必要な理由や、転院する際の注意点などがわかるでしょう。
むちうちは、首や肩の痛みだけでなく、全身に大きなダメージを受けている可能性が高い怪我でもあります。どのような症状が現れるのか、気になる方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
交通事故でむちうちになる原因とは?
むちうちとは、交通事故の追突などの衝撃で、首に不自然な力が加わることから起こる首の捻挫です。また、むちうちの正式名称は「外傷性頚椎捻挫」、「頚椎捻挫」などと呼ばれています。
「頚椎捻挫」の言葉からも、症状は頚椎だけの損傷と考えられがちですが、ダメージは全身にまで及んでいることもあります。関節や靭帯、筋肉も損傷し、脳や脊髄まで影響が生じている可能性もあります。
むちうちの原因は、交通事故による衝撃が多いですが、時にはサッカーやラグビーなどの激しいスポーツによる衝撃で起こる場合もあるようです。
出典・参照:むち打ち症|深澤クリニック
むちうちになったら病院に行くべき理由
むちうちは、事故からある程度時間が経過してから発症することもあり、痛みなどの症状がないときには、病院へ行くべきか悩んでしまう人も多いでしょう。
しかし、たとえ痛みがなくても、病院の整形外科を受診することが大切です。症状の有無に関係なく、病院へ行く理由を解説します。
後になって痛みが出ることがあるため
むちうちの症状は、事故直後に現れる場合や、数日後に現れることもあります。
事故直後は、アドレナリンなどが分泌されることがあり、痛みを感じにくくなっていることが原因とされています。
事故当日に症状がなくても、興奮状態が収まり、気持ちが落ち着いたころに痛みを感じることが多々あります。交通事故に遭った時には、症状の有無に関係なく病院で診察してもらいましょう。
適切な治療や診断を受けられる
むちうちの治療を受けたいが、病院の何科を受診すれば良いのだろう?と悩んでしまうことがあると思います。
むちうちの症状のほとんどは、首に不自然な強い力がかかったことで起きる首の捻挫(頚椎捻挫や外傷性頚部症候群)とされています。
むちうちの治療を受けるときには、病院の整形外科を受診しましょう。診察を受けることで、適切な治療や診断を受けることができます。
診断書を発行してもらえる
事故に遭った日から時間が経過してしまうと、交通事故と怪我の因果関係の証明が難しくなることがあります。また、むちうちの症状も、後から現れることがあります。病院を受診しない場合、後から現れた症状やその他の症状が交通事故と関係しているのか、判断することができません。
きちんと病院で診断を受けることで、むちうちなどのさまざまな症状が交通事故によって起きたと診断してもらえます。
そして、診断を受けることで、診断書を発行してもらえます。診断書があれば、怪我と交通事故の因果関係を証明することができ、加害者側に対して損害賠償を請求することもできます。
診断書は、後のさまざまな手続きで必ず必要になりますから、症状の有無に関係なく、病院を受診することが大切なのです。
転院や併用を相談できる
治療を続けてると、思ったように症状が改善しないこともあります。病院だと、診療時間が短く、通院が難しいという人もいるでしょう。きちんと治療をしたいと考えている場合には、転院や、整形外科以外(整骨院・接骨院・鍼灸院など)への通院を検討することもできます。
このような場合には、病院を受診していれば、医師に相談することもできます。安易に転院や整骨院などを併用するよりも、医師に相談することで、効果的な治療を継続することが可能です。
医師の確認なく整骨院などへ通院した場合、整骨院でかかった施術費の請求が認められない可能性があります。正しい金額で治療費などの賠償金を請求するためにも、必ずこのポイントを守るようにしましょう。
むちうちの症状とは?
むちうちの代表的な症状は、首や肩周辺の痛み、頭痛、めまい、吐き気などが挙げられますが、損傷した箇所や症状によって、さらに病名が分類されます。
一つずつ確認していきましょう。
頚椎捻挫型
首が強くねじれたり、強い衝撃を受けると、首を固定する筋肉と靭帯が損傷し、頭痛や首から肩にかけての痛みなどの症状が現れることがあります。
これを「頚椎捻挫」といい、一般的にむちうちと呼ばれています。
出典・参照:頚椎捻挫型|木村クリニック
脳髄液減少症
「脳髄液減少症」とは、事故の衝撃で脳髄液が漏れてしまうことにより、頭痛やめまい、倦怠感などの症状が現れる怪我です。
起き上がると激しい頭痛が起こる場合があり、横になるなど安静にしているときには落ち着くこともありますが、絶え間ない頭痛に苦しむことも稀ではありません。
出典・参照:脳脊髄液減少症| 医療法人財団 順和会 山王病院
神経根症状型
「神経根症状型」とは、神経根の障害によって感覚麻痺やしびれ、運動障害などの症状が現れるものです。また、「神経根」とは、脊髄から出ている神経のことをいいます。
衝撃が加わることで、首の骨がずれてしまい、骨の中を通る神経が圧迫されることによって、痛みやしびれなどのさまざまな症状が起こります。そして、右手や右肩など、主に片側に症状が表れるという点が「神経根症状型」の特徴です。
出典・参照:神経根症型|東野整形外科医院
出典・参照:「頚椎症性神経根症」|日本整形外科学会
バレー・ルー症候群
首の交感神経と副交感神経の損傷により、自律神経機能に異常が発生すると、耳鳴りやめまい、吐き気などの症状が現れることがあります。これを「バレー・ルー症候群」といい、事故の被害による心因的なストレスの要因も関与する症状です。
一般的なむちうちも症状が現れるまで数日かかることがありますが、「バレー・ルー症候群」の場合は、他の症状よりも遅く発症するという特徴があります。事故から2~3週間経ってから、異常を感じ始めることが多いとされているため、交通事故に遭った場合は「バレー・ルー症候群」の症状が出ていないか、しばらく注意しましょう。
出典・参照:バレ・リュー型|東野整形外科医院
脊髄症状型
脊髄が傷つくと、下肢のしびれなどの症状が現れます。これを「脊髄症状型」といい、むちうちの中でも重い症状の怪我です。
歩行障害や膀胱直腸障害などが生じてしまうケースもあります。
出典・参照:脊髄症状型|木村クリニック
整形外科で行うむちうちの治療方法
整形外科は、さまざまな検査や治療を受けられます。
どのような治療法があるのか、それぞれ確認していきましょう。
薬の処方
整形外科は医療機関であるため、消炎鎮痛剤などの投薬による治療を受けることができます。
症状に合った薬の処方を受けることで、重症化を防げたり、早期回復を目指すことができます。
また、むちうちの施術を整骨院や接骨院で受けることも可能ですが、医療機関ではないため、鎮痛剤などの投薬による治療は受けられません。そのため、薬を処方してもらえることは、整形外科ならではのメリットといえるでしょう。
ブロック注射
ブロック注射の「ブロック」とは、遮断するという意味です。痛みがある神経の近くに麻酔薬を注射することで、痛みが伝わる神経経路を遮断し、痛みを和らげる効果があります。
1度の注射では完治しませんので、薬物療法とあわせて複数回受けなければなりませんが、続けることで血流がよくなり、筋肉の凝りも和らぐでしょう。
痛みがなかなか取れない人や、薬が効かない人に推奨される治療法です。
出典・参照:神経ブロック|深澤クリニック
理学療法
一般的に、むちうちの急性期は安静に過ごしますが、急性期を過ぎると物理的刺激を与える理学療法を行い、改善を図ります。
理学療法は、物理療法と運動療法があります。
物理療法では、電気治療や首の牽引を行うことで、症状の改善が期待できる療法です。
運動療法では、体を動かすことで、関節の凝りや可動域の改善などが期待できます。
どちらも自分の判断では行わず、必ず医師と相談して決めましょう。
出典・参照:むち打ち症|深澤クリニック
むちうちの症状がなかなか良くならないときには、整骨院などの併用を検討してみてください。その際には、医師に相談して了承を得るようにしましょう。
交通事故によるむちうちの治療を病院で受ける際のポイント
交通事故で負ったむちうちの治療を受ける場合、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?
それぞれのポイントを詳しく紹介します。
- 事故後は早めに病院に行く
- 通院頻度に気をつける
- 保険会社と連絡をしっかりと取る
- 後遺障害等級認定の申請を相談する
- 加害者側に損害賠償を請求する
事故後は早めに病院に行く
事故直後には、むちうちの症状に気がつかないこともあるでしょう。いつもと違う違和感を感じたときには、すぐに病院で診察を受けるようにしてください。
事故から数日経過してしまうと、交通事故と怪我の因果関係の証明が難しくなります。加害者への損害賠償の請求自体が認められなくなる可能性があるため、早めに病院へ行きましょう。
通院頻度に気をつける
むちうちの症状で、病院に通院する際には通院頻度に注意してください。
むちうちの場合、本来通院しなくてはいけない時期に、自己判断で通院をやめてしまう人もいます。
後から症状が出てくることもあるので、医師から完治や症状固定と診断されるまでは、定期的に通院をしてください。
病院へ行く頻度が少ない場合、治療費の支払いが打ち切られたり、診断書を受け取ることができなくなるため、注意が必要です。
保険会社と連絡をしっかりと取る
むちうちの症状で転院や併用を行う時には、加害者側の保険会社にも連絡をするようにしましょう。報告をしないで勝手に転院や併用をしてしまうと、治療費(施術費)の支払いや、保険金の支払いを拒否されてしまう可能性があります。
むちうちの症状は、完治までにおよそ3~6か月程度かかります。3か月を過ぎると加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されることもあります。
まだ改善しておらず、医師から完治や症状固定と診断されていない場合には、治療を継続できますので、医師に相談をして話し合うようにしましょう。
医師から症状固定と診断された時も、まだ痛みなどがある場合には、治療を継続できる場合もあるので、きちんと相談してください。
後遺障害等級認定の申請を相談する
目に見える症状とは異なり、むちうちの症状は他人には分からない部分が多いです。なかなか完治しないことで、症状固定と医師から診断を受けることがあります。
症状固定とは、これ以上治療を継続しても、症状の改善が見込めない状態のことを指します。
怪我が完治せず、症状固定の診断を受けた場合は、後遺障害の等級認定を申請することができます。等級に認定されると、加害者側に後遺障害慰謝料や逸失利益も請求することができます。
ただし、申請すれば必ず後遺障害の等級に認定されるわけではありませんので、注意が必要です。
加害者側に損害賠償を請求する
交通事故の被害に遭った被害者は、加害者側にさまざまな損害賠償を請求することができます。
たとえば、病院に通院するための交通費、怪我の影響で仕事を休んだ場合の休業損害、病院に通わなければならなくなったことで受けた精神的苦痛に対して支払われる入通院慰謝料など、多岐にわたります。
また、後遺障害等級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益なども請求することができます。
症状が完治した、あるいは、後遺障害等級認定の手続きを経たあとは、加害者側と示談交渉をして、損害賠償を請求していきます。この際には、保険会社から提示された賠償金額が適切であるのか、よく確認することが大切です。
そこで、弁護士に相談すれば弁護士基準で慰謝料などを計算することができ、保険会社が提示した金額よりも高い金額で請求できる可能性があります。賠償金額に納得がいかない場合には、弁護士への相談を検討してみてください。
病院を転院する時の手続き
なんらかの理由で転院をしたいときは、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここからは転院する際の手続きを紹介します。
転院することは可能でも、これらの手続きを怠ると補償が受けられなくなる可能性がありますので注意しましょう。
医師に紹介状を作成してもらう
原則として被害者の意向次第で転院は可能ですが、保険会社が転院理由を認めず、転院後の支払い継続を拒否されることもあり得えます。
しかし、医師が転院を了承している場合は、継続して補償を受けられる可能性が高くなります。
転院する理由を医師に相談し、紹介状を書いてもらうとよいでしょう。
保険会社に連絡する
転院する際は、必ず保険会社へ連絡を入れましょう。当然ですが、保険会社が転院を知らなければ、治療費の支払いも行われません。
保険会社へ連絡する際は、ただ「転院する」と伝えるのではなく、転院理由を伝えるようにしましょう。
例えば、より良い治療のために遠方の医療機関へ転院を考えていても、通院交通費が増えることを理由に支払いを拒否されることがあります。
適切な治療を受ける為にも、転院理由と、医師の紹介状を用意して、保険会社へ連絡すると良いでしょう。
病院と整骨院・接骨院を併用するときに気を付けること
基本的に病院と整骨院・接骨院の併用は問題ありませんが、トラブルに発展することもあるため、併用する際には次の手順を踏まなければなりません。
まず、必ず医師の許可を得てから通院するようにしましょう。医師の許可があれば、整骨院などにかかった施術費の請求も認められる可能性があるためです。
そして、 整骨院や接骨院に通院する場合は、必ず保険会社に連絡しましょう。事後報告や未報告では、整骨院などでの施術費の請求が認めてもらえない場合もあります。治療費の打ち切りを迫られるケースもあるため、保険会社へ速やかに連絡することが大切です。
出典・参照:障害が残ったときは? |国土交通省
むちうちで病院に行くべき理由や治療方法を知っておこう
むちうちは、すぐに痛みを感じないことがあるため、事故直後は軽傷と判断してしまう場合があります。しかし、むちうちを放置すると症状が長年改善されず、日常生活に支障をきたしてしまうこともあるのです。
完治させるためにも、速やかに医療機関で検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。その際は、忘れずに加害者の保険会社にも連絡し、治療費などの補償を受けるようにしましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
交通事故の痛みの緩和に最適な通院先をご紹介!業界最高水準の通院サポートをご提供します。
記載されている内容は※2023年1月12日 08:56:40 ※時点のものです。
現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。